首無の如き祟るもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2032
感想 : 209
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766456

感想・レビュー・書評

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  • やばい…
    背筋がゾワッとした…((((;゚;Д;゚;))))

    ホラー好きの私としてはもう最高のラストです!
    三津田信三天才!!

    奥多摩にある媛首村では淡首様の祟りや首無の化物の言い伝えがある。
    古くからある旧家、秘守家の一族では、男の子が育ちにくい。
    双子の十三夜参りの日、恐れていた悲劇が起こる。
    これは事故か、首無の呪いか…。
    刀城言耶シリーズ第3弾です^ ^

    帯に、
    「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト 1997-2016」「この20年間で最高傑作!」
    とありました。
    いやもう確かに。
    私のど真ん中を貫いてきました。
    前作、前々作とはまた違う、新たな驚きと面白さ!

    『首無しの如き祟るもの』のタイトルから、首無しという事は、ミステリー好きにはやはり色々推理しちゃうわけですよ。
    仮面的なマスク的なアレ系統かな〜とか。
    そうやって構えていても相手は何枚もウワテw

    1590年、豊臣氏により攻撃を受けた媛神城。
    淡媛は隣国に逃げるが山中で首を斬られ殺される。
    それ以来奇妙な出来事が相次ぐため、媛鞍山に石碑を建て祀られる。
    この媛首塚は淡媛と御淡の二祀神であり、淡首様と呼ばれる。
    以来、媛首一族・一守家の長男は成人する前に命を落とす事が多い。

    このような言い伝えが閉鎖的な村には数多く残り、その性質を最大限に活かしたトリックを扱い、かつ怪談話で登場人物の精神状態が恐怖に偏ってしまうという心理的なトリックも操ってくる。

    第二次世界大戦を跨がり事件が起こるのですが、徴兵制により出兵していく一族もおり、この戦前戦後の時代背景も重要な役割を担う。

    作中作形式で、作家目線であるのと、駐在の警察官、一守家の使用人の3人の目線で物語が進行していくのだが、なるほど、そう言われればそうだと納得する罠が仕込まれていて驚愕です。

    3作読んで思ったのが、山や村や一族の名称にとてもセンスが感じられ、由来の漢字に重要な意味が込められていたりする。
    とても美しい.☆.。.:*・°

    どの作品も素敵ですが、読むたびに面白さが上書きされていくので、この先どうなってしまうのか楽しみで仕方ない。
    読み終わってしまうのが寂しい反面、早く読みたい欲が疼いてたまらない〜!!

  • 刀城言耶シリーズ第三長編。そして最高傑作。読む以前から評価は聞いていたが、ここまでとは。ページを捲るごとに現れる謎、謎、謎。どんでん返しに継ぐどんでん返し。全ての謎が解け、真相が明らかになったとき、最高にスカッとした。読んでいない人は絶対に読むべきである。

  • とにかく凄い。ここ最近読んだ中ではNo. 1です。
    謎が謎を呼びとにかく謎。
    いやー全く気付けなかったです。

    謎は最終的に刀城?がすっきり解決してくれます。


    このシリーズ終わり方が本当に好き。
     

  • たった一つの誤認により、全ての謎がスルスルっと解けていく。しかもその真相の元となる伏線が本当に巧妙。質はもちろんだが、数も尋常じゃない。
    そして終わりかと思いきや、もう一度のけぞらされる。
    そしてそして今度こそ終わりかと思いきや、みたびひっくり返される。
    まさにどんでん返し。

    二つ目の犯人は斧高という説を唱えること自体が(それを受けた反応が)伏線になるというのも見事。

    K.M氏の某作品のせいで兄弟間の性別の入れ替えにはあまり驚くことが出来なかったのだが(見破る根拠は秀逸あうぎる)、それでも性別誤認と入れ替わりを駆使したトリックには脱帽させられる。
    「毬子の死体に偽装するために裸にした」
    「服を手に入れるために蘭子を殺した」
    というのも巧い。
    他にも「編者の記」や首無し死体講義など、見どころを挙げたらキリがない。

    少しご都合主義なところもあるものの、伏線回収や終盤のどんでん返しは素晴らしく、「首無し死体のよる入れ替わり」トリックの最高峰といえる。


  • 本当は★★★★★★。
    久しぶりにミステリらしいミステリを存分に堪能しました。

    関東の奥多摩の奥深く媛首村(ひめかみむら)での神事で起こった事件。それを機に過去からの因縁に呪われたように発するさらなる事件。さて、その真相は。

    「淡首様(あおくびさま)」という祟り神を祭り、「首無(くびなし)」という怪異を畏れる村で起こる殺人。横溝正史的な世界観のフレームでありながら、骨子は新本格という傑作。
    『首無の如き祟るもの』というタイトルから、ミステリがお好きな方なら「ははぁーん、あのネタかな」と察するところはおありでしょうが、そう一筋縄にはいかないところが嬉しい。
    一応、僕もセオリーに則っていろいろ考えるのですが、それではあれとあれが繋がらない。ご丁寧に作中でも探偵小説講義として、ひとつひとつの可能性を検証し潰していってくれるのが歯痒くもあり面白い。

    しかし終盤、オセロの単純な一手によって、真っ黒だった盤面がパタパタと音を立てて、一面真っ白に裏返ってゆくような快感。やられました。

    ホラーとミステリのバランスも絶妙ですが、おどろおどろしいムードが単なる雰囲気作りではなく、ミステリの肝に必然的にリンクしているのがいい。解釈としては怪奇的に思えるエンディングも、きちんと考えればロジカルであるのもすばらしい。

    『宝石』『ロック』『ぷろふいる』や『江川蘭子』など、探偵小説好きにはわくわくするキーワードもいっぱい。雰囲気、伏線、トリック、どれをとっても抜群。
    三津田信三のこのシリーズ。遅ればせながらいいものに出会いました。ドキドキしながら追っかけてみようと思います。

    • 峨眉書房さん
      ミツバチのささやき、実は私も入手できていません。もし先に観られたら、是非感想お聞かせ下さい。★6つ。良いですね~ミステリらしいミステリ。この...
      ミツバチのささやき、実は私も入手できていません。もし先に観られたら、是非感想お聞かせ下さい。★6つ。良いですね~ミステリらしいミステリ。この本の題名もメモさせて頂きます。何冊も教えて頂きありがとうございました。
      2012/11/16
  • いよいよ刀城言耶シリーズの中で
    最高傑作とされている首無の如き祟るもの
    ……ワクワクが止まらい!!
    読むぞーーーーーーーーーーー!!٩(ˊᗜˋ*)و♪

    あらすじ

    奥多摩の山村、媛首(ひめかみ)村。淡首(あおくび)様や首無(くびなし)の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。3つに分かれた旧家、秘守(ひがみ)一族、その一守(いちがみ)家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。本格ミステリとホラーの魅力が鮮やかに迫る「刀城言耶(とうじょうげんや)」シリーズ傑作長編

    す、す、すげぇーーー!!
    や、や、やばいーーー!!

    なんなんだ!! これは!?

    鳥肌たったーーーー!!

    物語に出てくる媛守一族の恐ろしい祟り、
    それに伴い一族同士の禍々しいやり取り
    それに乗っかっての連続殺人!!

    も〜う最初からアクセル全開でおもしろい!!
    禍々しい村好きならもうたまらない物語でした!

    そしてなんと言ってもラストの展開!!
    最高傑作という触れ込みだったので
    だいぶハードルアゲアゲ⤴︎⤴︎⤴ですけど大丈夫?
    と思いながら読んだんですけど……

    飛び越えてキターーキタ━━・(゚∀゚);∴━━ン!!!!

    自分が思って以上のキターキタ━━・(゚∀゚);∴━━━ン!!!!

    もー!真相知った時の鳥肌やばかったーー

    ひゃあああーーー( ☉_☉) パチクリ。
    ってなります!笑笑まじで!
    いや〜ド肝抜かれたぁぁぁ
    そのぐらいびっくりしたし
    トリックもやばかった(´;ω;`)
    犯人当て頑張って考えて……めちゃ外したのを
    さっと!忘れさせてくれた!ありがとうー!

    あと刀城言耶が出てくるとニヤニヤが止まらない
    めっちゃ好きになってもーた!!
    やっぱりこのシリーズ面白いわぁ〜
    ……たまらん!!

    めっちゃ面白かったです!!ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪

  • うわあ、面白かった…!!

    某K極堂の新作がなかなかなかなか出ないので、似た感じの伝承×ミステリ的なのがないかなーと探して出会ったシリーズ。シリーズと言いながら、1.2作目は取り寄せでかなり時間がかかるとの事。感想をチラッとみた限りでは順番関係なく読めるとあったので、本当に大丈夫かなーと不安になりつつ先に手を出してみた。

    やっぱりこれ、最初に読んだらダメだったやつじゃない?
    だって絶っっ対に1番面白いもの!!!

    首無の怪奇、祟りと信仰に異常なまでに囚われた一族、そして彼らにとって何より大事な因習の数々…となにかが起こるしかない舞台設定。文末に何度も「この後思いもよらぬ出来事が~」ってアオリが入るのは少々やり過ぎに思ったけど、あのシリーズに慣らされているせいか文章はすごく読みやすかった。ウンチクもほとんど無いし。笑

    個人的に作品中の謎は全て解明してほしいタイプだが、本作だけは例外。「祟りなぞ地元の人間が盲信しているだけの下らない戯言」と豪語していたら、背後から首に向かってソッと何かの手が伸びてくるような…そんな薄ら寒さを常に感じていた身としては、最後まで説明のつかない出来事がいくつも残ったままなのも、雰囲気を崩さず逆に良かったと思う。

    ホラーとミステリを掛け合わせようとすると、どうしても論理的なトリックの成立に躍起になってしまい前者はおまけになる印象が強いが、こちらは得体の知れないモノの存在が常時意識され、かつ事件の骨組みにきっちり組み込まれており、立派なホラー物であると言えよう。
    かと言ってミステリ部分も決しておざなりではない。全ての疑問を解決するという「たった1点の気づき」に勘づいた部分はあったものの、その後の二転三転には度肝を抜かれた。やり尽くされたはずの「首無し死体トリック」をこうも料理(?)出来るとは。。とにかく伏線が多くて多くて、最終章を読みながら該当の部分を探してほ〜となってまた探して…でかなり時間をかけて楽しめた。もう「編集の記」からしてずるいんだよなあ。笑

    肝心の刀城言耶氏だが、今作ではほぼ出番がなかったせいかあまり魅力を感じなかった。数少ない描写を見ても人好きのする人物には到底思えず、少なくとも3作目だけ読むとこのキャラ設定が1番力任せだなと感じる。前作・前々作では是非彼の本領を発揮してシリーズ化の意義を感じさせてほしいところだ。とは言え最後がアレじゃ仕方ない所もあるよね…

    何はともあれ、文句なく面白かった。このレベルでシリーズを書き続けてるとしたらこの人化け物だよ…早く取り寄せ分来ないかなあ…

  • ホラーとミステリーが巧く融合しています。フェアでトリッキーな書きっぷりが見事です。
    終盤、掛け違いだったボタンを直すような仮説を立てるだけで多くの謎が綺麗に解かれていくさまは、かなりのカタルシスを得られます。首切り死体ものの金字塔としてミステリー史に燦然と輝く傑作と言っても過言ではないでしょう。

  • 刀城シリーズ最高傑作との誉れ高き作品で、首の無い遺体についてこれでもかと語られるので(別にそこにグロテスクな描写はないからスプラッタ耐性がなくても平気)、読むと首無マスターになれます。ちなみに「シリーズ最高傑作」と言いつつ、シリーズキャラクターがぜーんぜん出てこない(京極夏彦のシリーズの京極堂以上に中々出てこない)ため、これから読み始めても大丈夫という親切設計?

    解決編で、わたしは3回ほど「うわー」と呟いて、一度栞を挟んで天を仰ぎました。とんでもないって……

  • 長編ながら先が気になって一気に読破。それなりに多くの本と出会ったつもりだが、凄まじい中毒性、読み終えた後背筋が凍り付く読後感は他書に類を見ません。
    ただ大半のトリックが非現実的だったのが残念。細かい所に目を瞑れるならおすすめです。

著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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