人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767163

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり館シリーズは面白い

    画家の飛龍想一は、亡き父が残した京都の屋敷に引っ越すことに。その屋敷は、顔や体の一部がないマネキン達がいたるところに置かれた屋敷だった。

    ある日、想一の身の回りで嫌がらせが起こり始める。自分を狙っている者がいることに気がついた想一は、誰がなんのために?と考えるが、危険は刻一刻と迫っていた。

    想一は昔の友人である島田(シリーズにおける探偵の立ち位置の人物)に相談するが‥

    ‥‥‥

    いつもの館シリーズと違う感じ。
    想一の視点と、想一を狙う脅迫者の視点で物語は進んでいく。
    館に何か秘密があるのか?と疑いながら読み進めていったが、予想を上回る真相にびっくり。
    読み終わったあとに、想一と島田のやりとりを振り返るとぞっとする

    2024年2月23日

  • 彫刻家・飛龍高洋が画家の息子である飛龍想一に遺した緑影荘。この館は顔がなく身体の一部が欠損したマネキン人形がなぜか邸内各所に佇んでいることから、「人形館」と呼ばれていた。街で起きる残忍な通り魔殺人事件、何故か姿なき脅迫者に襲われる飛龍想一。破局へと向かっていく物語の驚くべき結末とは。

    解説の「綾辻作品の真骨頂は緻密に構築されていた世界が瓦解し散華するときのカタルシスである」という言葉にとても納得させられました。読んでいて、いつの間にか物語の世界観に没頭させられてしまう綾辻作品に改めて感動しました。

  • 再読なのに、全くといっていいほど記憶になかったので物凄く楽しめた。
    双子館が出るまでに残りもちびちびと再読で楽しむ予定。

  • 館シリーズ4作目
    邸内各所に顔のないマネキン人形の佇む「人形館」に住むことになった男が、姿なき脅迫者の影に脅え、旧友であり、シリーズの探偵役でもある島田潔に助けを求める作品。

    公式の作品紹介に「異彩を放つ」と書かれているが、正にそのとおりの作品だった。
    なんとかトリックを解き明かそうと思いながら読み進めていたが、これまでの「館シリーズ」とは異なる性質のトリックにまんまと引っ掛かってしまった。
    見事な大どんでん返しで、面白かった。

    改めて、読者の先入観、小説という媒体の特性を自由自在に操る著者の力量に感服した次第である。

  • 館シリーズ4作目。
    今回は異色作でした。賛否分かられそうですが、私は好きでした。
    序盤で多重人格なのかも…と勘づいてしまったものの。今回は隔離されておらず自由に外と繋がれる設定に驚きつつも続きが気になり時間を見つけては読んでしまった。

  • 久しぶりの館シリーズ(四作目だったかな?)を一気読み。
    シリーズの従来作とは、ぜーんぜん異なる展開&結末。シリーズでも相当異色?の作品なんでしょうね。嫌いではないが、そこまで強いかというとそうでもない。

    ストーリーはとても読みやすくサクサクでしたが、最初から最後まで色んな意味で実質登場人物は飛竜一人のみ、他の登場人物はほとんど印象に残ってない。わざとなんでしょうが、にしても他が弱過ぎ。父にしても養母にしても、もう少しエピソードなりなんかあれば。。。

    トリックというか、ネタバレ部分は今やそんなに珍しくもないケースだけど、当時はまだ少なかったのかな。色々想定してた範囲内の結末で物足りなかったな。

  • 月毎にゆっくり内容が進んでいく様子が閉ざされた「館」のミステリーとは一線を画す気がして、新鮮でした。
    途中からの島田潔の本格登場を喜びつつ、犯人を推理しながら読み進めていった結果、、、またしても裏切られた。
    読み返してみると、確かにこの真相しかなかった、なと。四作目の意外性もまた良かった。
    次は時計館!

  • 館シリーズの四作目。顔のないマネキンが多数存在する奇妙な館、人形館。ここに引っ越してき飛龍想一の身の回りに起きる不可解な現象。彼は旧友 島田潔に助けを求めるが、すでに破局への秒読みはすでに始まっていた。

    これまで館シリーズとは一線を画す本作。きみの悪い現象に悩み、徐々に追い詰められていく飛龍想一。ホラー要素が散りばめられていて序盤は不気味で怖い展開。(ホラーが苦手なぼくは夜に読めませんでした)

    徐々に破滅に向かい駆け足となっていく展開には、「怖くて読みたくない自分」と「先が気になって読みたい自分」の相反する自身の感情に苦悶しながらも読了を迎えました。

    館シリーズ好きの中でも好みの分かれる作品ではありますが、ぼく自身としては大満足の作品です。興味のある方はぜひ、この奇妙な館へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

  • 芸術家の父が自殺し、息子の飛龍想一に京都の屋敷「人形館」と隣接する「緑影荘」が遺された。顔のないマネキン人形が各所に佇むそこに、想一は育ての母と共に移り住む。街では子どもを狙った残忍な通り魔殺人が続発し、想一自身にも、過去の罪を責め断罪する、姿なき脅迫者の影が迫る。

    作者があとがきで書いている通り、今となってはすっかり定番となった手法だが、最後のシーンは映像で想像するとなかなかシュールで、ぞっとする。

  • 父が飛龍想一に遺した京都の屋敷。
    顔のないマネキン人形が邸内各所に佇む「人形館」。

    街では残忍な通り魔殺人が続発し、
    想一自身にも姿なき脅迫者の影が迫る。

    彼は旧友・島田潔に助けを求めるが、
    破局への秒読みはすでに始まっていた。

    シリーズ中、ひときわ異彩を放つ第四の「館」。

    **************************************

    シリーズって、どんどん面白くなくなるイメージがあるけど、「館」シリーズは、どんどん面白くなっていく。

    毎回、全然違うトリックで衝撃を受けるねんけど、今回も、予想をはるかに超えた内容でよかった。

    どうしても理解できひんかったところもある。
    28年前の被害者は、ほんまにお兄さんやったのか。
    なんで、本人は何も話さずうやむやにしたのか。

    「遠すぎる風景に秘められた恐るべき真実」

    真実がまだ見えてこうへん。
    今回のは読み終えて、ふと、映画の「アイデンティティー」を思い出した。
    この映画は5本の指に入るぐらい大好き。
    なので、余計にこの内容も好きなんかもしれへん。

    ティミーが出てきたんかと思った。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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