- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062768788
作品紹介・あらすじ
『機動戦士ガンダム』の好敵手、シャア・アズナブル。激動の宇宙世紀を駆け抜けた、不世出の英雄の生涯が、数々の名台詞とともに蘇る。『機動戦士ガンダム公式百科事典GUNDAM OFFICIALS』の編著者が精緻な考証のもと、正史と異説の比較を織り交ぜて、孤独と革命の理想が交錯する人間像を描いた傑作評伝。
感想・レビュー・書評
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本書は、皆川ゆかという名の歴史家が、宇宙世紀にかつて存在したシャア・アズナブルという男の軌跡を、おおむね時系列にまとめたものである。
歴史家ならではの細微な手つき、さらに一人の男を貫いた人生観とはどういうものだったのかを総合的に解釈する際のいわば「慎重な飛躍」、どちらの筆致も美麗と感じるほどだ。
シャアという男に関しては、幸いなことに映像資料が多く残されているので、後世彼のイメージを蒐集し耽溺することは容易だが、総合的解釈を下すのは容易なことではなかった。
映像資料はあまりにも断片的にすぎるため、行動は見えど真意は測り難いためだ。
皆川ゆかという歴史家の記述を杖に、再度シャアに関する映像資料を振り返るのは有意義なことであろう。
唐突に「サボテンが、花をつけている……」と発言したことは、ひとつの謎として残ったため、いわゆる「迷言」と見做されることがあるが、
歴史家の手つきで6ページにわたって真意が解きほぐされる。
ここが本書随一の見所だと感じた。
ちなみに「ファースト」に関しては劇場版を正史、テレビ版を異説、
「Z」に関してはテレビ版を正史、劇場版を異説、と見做す。
「逆襲のシャア」はもちろん正史である。
また「THE ORIGIN」などの異説も、切り捨てることなく「一説には~」と盛り込んでいる点も、興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いつか、「ナポレオン」や「リンカーン」の隣に並ぶ日が来るかもしれません。(笑)
ブクログのフォロワーさんが読んでおり、“すごく気になってるけど、図書館には無い。買う価値あるのか?”と悩んでました。
アマゾンにて中古本を450円送料無料で購入。利益あるのか・・・
いい歳してガンダムですが、恐ろしいほど内容が濃くて驚きました。シャアとアムロの「ガンダム」については、おおよそ知っている積りでしたが、まだまだ知らない事が多い。解説本的な物をを読んだほうが良いかも。と今さら思いました。
改めて「ガンダム」と言うSF小説の深さに、感慨ひとしおです。
本書内で「ラプラスの箱」について、少しだだけ触れられていましたが、現在楽しみ中の「UC」についてネタバレは書かれていません。良かった。
ともあれ、「アムロFAN」より圧倒的に「シャアFAN」が多いのは周知の事実。
スターウォーズが実は「ダースベーダーの生涯の記録」だったように、ガンダムも「シャアの生涯の記録」なのかもしれません。
とりあえず、猛烈に“Z”が観たい所です。 -
一年戦争からグリプス戦役、そして第2次ネオ・ジオン戦争まで、
ガンダムでのシャアの軌跡を追った一冊、、妙にロジカルに。
- 自分が二流であることを自覚しながら、一流の目標のために動かねばならぬ人間は不幸だ
この言葉にすべてが込められている、そんな気がします。
久々に、TV版のZを見返したくなってきたなぁ、なんて。-
はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。
ohsuiさんのレビューは、無駄な言葉がないのに温かくて、
しか...はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。
ohsuiさんのレビューは、無駄な言葉がないのに温かくて、
しかも作品の良さがまっすぐに伝わってきて、素敵だなぁと思います!
「自分が二流であることを自覚しながら、一流の目標のために動かねばならぬ人間は不幸だ」
って、まさにシャアですね!
ザビ家兄弟を倒すまでは、復讐と理想の両輪で
自分を駆り立てていればよかった、
まだ青臭くて育ちの良さを隠しきれなかったシャアが
理想の実現のためには美しい夢想家ではいられない、
汚れることを意識しながら、泥をかぶって生きなければならない
という自覚を持って動き始めるZの頃って、私も好きです♪
私は本のチョイスが偏りがちなので、ohsuiさんの本棚とレビュー、
これからも楽しみにしています。よろしくお願いします!
2012/05/26 -
まろんさん
はじめまして、ご丁寧にありがとうございます。
イロイロと雑食な自分ですが、過分なお言葉がとても嬉しいです。
まろんさんの本棚...まろんさん
はじめまして、ご丁寧にありがとうございます。
イロイロと雑食な自分ですが、過分なお言葉がとても嬉しいです。
まろんさんの本棚を拝見して、なんだかとっても楽しそうだと感じて、
フォローさせていただきました、ツボを押された感じです。
あらためてよろしくお願いします~
2012/05/27
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ガンダムの宇宙世紀を実際の過去の歴史とみなして、そこに「実在」していたシャア・アズナブルを分析した本。遊び心もここまでくると立派。
ガンダムはファースト・ガンダムしか見たことがなかったが、この本をちゃんと読むためにZガンダムのDVDを購入した私。さすがに逆襲のシャアまでは入手できていない。 -
2014年12月31日読了。一年戦争からグリプス戦役、ネオジオン戦争の中心にあった人物シャア・アズナブル。その生涯を、ガンダム公式百科事典の編著者が評伝としてまとめた本。宇宙世紀の歴史を現実の歴史のように扱う、という試みは今では珍しくないと思うが、「シャア」という劇中の一人物に焦点を当て、しかも「その人物を読みとく」という企画は面白い。他の人物ならいざ知らず、シャア=キャスバル=クワトロという人物には、それだけの魅力と語られるべき要素があるということだ。「一流の見識、二流の才能」という表現が本書中では繰り返されるが、誰よりも戦局とニュータイプの価値、人類の未来が見えていながら、アムロやララァ、ハマーンらにニュータイプとして勝つことができなかったこと、ダイクン家の遺児という重い出自を背負わざるを得なかったことなどが「優秀な凡人」として生きることを彼に許さなかったのだなあ・・・。読み応えのある本だった。
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「これでは道化だよ」というシャアの声が聞こえてきそうなほどに、シャア・アズナブルという存在が実在の人物扱いされている本でした。あくまで著者個人の考察なので重力に魂を引かれた人(ガチガチのガンダムファン)にしてみれば「認めたくないものだな」とか「よくもずけずけと人の中にはいる。恥を知れ、俗物!」なんて言いたいところもあるのかな? とは思いますが、シャアから見た宇宙世紀というか、シャア視点のガンダムシリーズのあらすじとして読んだので、映像だけでは良くわからなかった点を解説してもらったようでとても楽しめました。
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ジオンの息子である「キャスバル・ダイクン」への期待、<赤い彗星>である「シャア・アズナブル」への期待。その二つを背負う彼はなまじ能力を持つが故に大きすぎる周囲の期待に応えようと、演じるしかなかったのか。「キャスバル」と「シャア」が別人だったら良かったのかも…。あるいはカミーユやアムロが側にいたら、その行く末は変わっていたのか?
「君の生まれの不幸を呪うがいい」とはガルマへの言葉だが、そっくりそのまま彼にも当てはまるのではなかろうか。 -
“赤い彗星”シャア・アズナブルの宇宙世紀における歴史を辿る歴史書のような本。
主役以外の視点を追いかけることで、これだけ深い話になるあたり、シャアという存在の大きさを再認識させられました。一流の存在という認識を持っていましたが、それだけではないからこそ、歴史に大きく名前を刻んだという解釈はとてもおもしろく、読み応えがありました。
理由のない出来事は存在しないのだ。背景を理解するということはすなわち、歴史に「必然」を見出す作業といえる。(P70) -
2013/10/1
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評伝なので、あくまで作者のシャア・アズナブル像です。が、膨大な情報量故、納得させられてしまいます。