新装版 ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769358

感想・レビュー・書評

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  • 文庫版で再読。火山の噴火で洪水になり、避難した先で流れて来た劇場に住むムーミン一家。なるようになるさ的な彼らとは裏腹に、何にも縛られないはずのスナフキンが、助けた子供達の心配をするのが、これまでの物語で唯一まともな事じゃないかと。それに感謝の気持ちを表す子供達もまとも。それと、スナフキンとムーミンの再会に胸を打たれる。

  • ①あっ!スナフキンが成長している(絵も)。
    ただのいたずらっ子ではなく、
    自由を求める旅人感が大幅アップ。
    ②ムーミントロールがスノークのおじょうさんに
    ベタ惚れなのがわかりやすいが、
    機嫌を取るのにも長けていて「あんたやる男だね~」。
    ③やっぱりムーミンママは安心安定の大黒柱。
    ④これまでよりフリとオチ、伏線の回収がハッキリ。

    (スニフちゃん休憩の中)クセのある仲間が
    次から次へとわいてでてくるし、
    天災からの不思議な冒険は取り残された二人、
    漂流する一人、残された人は劇場デビューと
    着地点が見えない。
    でも、最後には「そうなるとわかっていたよ」
    と言わせられる様な、幸せな結末を皆が迎えられ、
    めでたし、めでたし。

  • 火山が噴火して洪水が起こり、床上浸水になってしまったのに楽しい楽しいドタバタ喜劇。本書で初登場のホランがムーミン一家について何故こんな大変な時に余裕があるのか不思議がっていたが、彼の感覚のほうが一般的だろう。確かにムーミン一家は余裕があり過ぎている。
    もう一人本書から登場したミーサはくよくよいじけてばかりいるちょっと面倒くさい子。それから気難しいエンマおばさんとか小心者のフィリフヨンカとか味のあるキャラクターも登場する。
    それはそうと、最初のシーンのムーミン一家にスナフキンは旅に出ているのでいないのはわかるが、ヘムレンさんやスノ―クのお兄さん、それにスニフも出てこない。そしてミムラねえさんミイ姉妹が家族に加わっていた。スニフはきっと両親と一緒に暮らし始めたのかな?スノークノお兄さんは妹をムーミンママのところに残して自分の研究にでも没頭しているのかな?
    と連想は出来るけど、何も書いていないので前回からの流れが繋がらず不思議な気がした。

  • 結構くせがある書き方なんだなぁと思う。

    翻訳ってのもあるんだろうけれど。

    国によって、日本語に訳しても、その国の考え方であったり、表現の仕方であったりというクセがある。

    多分フィンランドの作家さんは初めてだったから、ちょっと慣れないところがあったのだろうと思う。

    そういえば、「ヘイフラワーとキルトシュー」っぽい感じがあるかも。各自自由なことをしていてドタバタしながら、突拍子もないことが入り込んできて、まぁそれもいいじゃない、と大団円、みたいな。


    それって、とっても幸せなお話だなぁなんて、思う。


    意外だったのは、ミーサの存在。あんまりお話でこういう厄介な人、出てこないよね。

    それもいいじゃない、そんなのもアリよ、という懐の深さは、とてもいいなと思った。

  • シリーズ4作目。
    ムーミン谷に洪水が起こり、流されて来た劇場に移り住むことにしたムーミン一家。一方スナフキンは憎い公園番を追い出して、公園を自由な場にしようと企む…
    家が浸水したり家族とはぐれたりとかなり危機的な状況でも、相変わらずみんなけっこうマイペースに振る舞っているうちになんとかなってしまい、それぞれ自分の道を見いだして生きてゆくことになる。
    今回はスナフキンが途中まで別行動なのだが、公園番を追い出したり子供になつかれて困ったり、いつものクールなキャラとは別の側面が見れて面白かった。ミイとのコンビもいい。ニョロニョロはスナフキンの播いた種から生まれ、公園番追い出しに一役かっていた。

  • ムーミンママにミムラさん、スノークのお嬢さんにフィリフヨンカ、ミィのガールズ多め?

  • ムーミンシリーズ4作目。

    自由と許容を感じた作品。
    家が浸水しようと別の家に移り住もうとその家の住人に小言を言われようと息子と離ればなれになろうと、いつも穏やかで明るいムーミンママ。
    家族とはぐれてしまっても元気を出してスノークのお嬢さんと一緒に道を進み、無事家族と再会できたムーミン。
    自分の好きなものと出会うことで、被害妄想やマイナス思考ばかりしていたのにそれに勝る楽しさや自信が生まれたミーサ。
    公園に立てられたルールの書かれた立て札を全て引っこ抜き自由を勝ち得つつも、ついてきたたくさんの子供たちを子供は苦手だと言っているのに拒絶せず面倒を見て、最終的にムーミンとめぐり会うことができたスナフキン。
    他の登場人物もみんなそれぞれ困難にぶち当たり、しかしそれを受け入れてまえに進む。結果、何事も上手くいき、皆幸せになる。

    この展開は読んでいてとても気持ちのいいものだったし、自分もこう生きたいと思えた。特にムーミンママの心の広さは尊敬もの。

    一番好きな場面はスナフキンとムーミンがめぐり会って、船に乗っているあいだしばらく無言でいるシーン。親友だからこそ会えただけで十分だといって、互いに嬉しさをかみしめているのが素敵。

  • ちびのミィとスナフキン、出会う。

  • 「ゆめのような初日興行」でいつものメンバーが揃うあたりからどんどん賑やかになってきて、最後の章は穏やかで幸せ。とくに最後のページの幸福感はすごい。挿絵のムーミンとスナフキンから木いちごの香りがしてくるような気になる。

    ミーサのひねくれ具合が共感できるだけにすごく心配だったけど、幸せになってくれてよかった…。この本で一番の安心でした。

  • 子供のころ読んで、なんだかムーミン谷のお話らしくない、不気味な雰囲気だなぁ・・・と思っていたこの「ムーミン谷の夏祭り」。

    洪水で家に住めなくなってしまったムーミン一家が、誰もいない劇場に移り住み、その劇場に住んでいた気難しいエンマと共に、お芝居を作っていくお話。
    劇場へ避難する途中にムーミンたちと一緒になった、すべてを自分貝のせいにして悲劇に浸るミーサ、孤独で気難しいエンマ・・・らが、一緒にお芝居を作っていく過程で少しずつ変化していくのも面白い。そしてそんな中でも一向に変わらない、ムーミン一家と、毒舌のミィの存在もまた、人を惹きつけるのだ。

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著者プロフィール

1914年、ヘルシンキ生まれ。画家・作家。父が彫刻家、母が画家という芸術家一家に育つ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。66年、国際アンデルセン賞作家賞、84年にフィンランド国民文学賞を受賞。主な作品に、「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)、『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(以上講談社)など。

「2023年 『MOOMIN ポストカードブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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