- Amazon.co.jp ・本 (712ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062770620
作品紹介・あらすじ
最初の記憶は五歳のとき。公営住宅の庭を眺めていたあたしにママが言った。「逃げるわよ」。母の名前はマコ、娘の名前はコマコ。老人ばかりが暮らす城塞都市や奇妙な風習の残る温泉街。逃亡生活の中でコマコは言葉を覚え、物語を知った。そして二人はいつまでも一緒だと信じていた。母娘の逃避行、その結末は。
感想・レビュー・書評
-
完全な人間に物語など必要がない。でも完全な人間などいないから、誰にでも物語というものは必要…本当にそう思います。完全とまではいかなくても、真っ当な人も物語を必要としないよな、とも。このお話だと、真田みたいな。
圧倒されました。母と娘、お互いしかいないというのは悲劇だけれどとても幸福なのかもしれないです。
幸福から立ち直る…初めて接する言葉だけれどこの感覚はわかるので不思議。とても悲しいけれど、生き続けるには欠かせないです。
母と娘ってこうだな、と思いました。これが濃いか薄いかの違いで。ここまで描写出来るって凄いな。
眞子と駒子の頃と、駒子の余生と。息苦しいけれど、物語の力も感じられました。体力奪われる読書でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人になりきれない母親と、そんな母親にすがって生きて行くことしか出来なかった娘が、不憫だ。
負の連鎖を感じる。
そんな母だけど、娘のことは愛しているんだろうな。重い話でした。 -
幸福から立ち直らなきゃいけない
マコとコマコのどうしようもなく幸せだった時間から
立ち直れないでいることは
普通に生きてきた私からしたら
とんでもなくおかしいのに
おかしいからこそコマコのように生きれるし。
現実味があるようでファンタジーな世界観。 -
第一部の 旅 はそれぞれの町が現実に在りそうで、
少しファンタジーな感じで、温泉街の風習とか
豚の脚とか。
コマコの夢なのかな?とも読めた
第二部のバーでの一人語りにその旅の経験が形を変えて出てくると、コマコが実体験したことなんだと、マコとの濃さを改めて感じた。
読み進めるのが苦しくて
でも読みたくて 終わらないでほしいけど
絶妙なところで終わった -
母娘ものには滅法弱い。マコとコマコの絶望的な愛。前半は、母親の穢れと少女の無垢さが完美に描写されている。後半は、母親を喪った少女が生き抜く姿。これは、比喩的自叙伝なのかなと思わせられる部分もあり、桜庭一樹さんがなぜ男性名のようなペンネームを語っているのか解ったような気がした。眞子は母親なりに、娘の駒子を愛していたし、自分の人生を犠牲にしてまで守りたいものだった。彼女の描くテイスト、かなり私好みであるのは確か。
-
日本語がとてもきれいで、どの話も浮世離れしている感じがとても好きでした。
厚いので、読了前は寂しさがこみ上げてきました。
桜庭さんらしい物語で、言葉の選び方がとても綺麗だと思います。
私の中では、桜庭さんの作品で1番好きかもしれません。
本当に、とてもとても素敵でした。
駒子さんラブ! -
大きな大きな舞台を見ているような感じ。
一部が終わって幕が下りて、10分の休憩を挟んでブザーが鳴って二部が開く感じ。
リアリティを持った、長い長い不思議に非現実な舞台でした。
だけど、俯瞰して見れば誰しも持ってる当たり前な話。
だよね。つまりこれは。