江戸幕府 最後の改革 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772136

作品紹介・あらすじ

飢饉や大地震が続き、危機的な経済状況にある天明期の江戸幕府。足軽の子と蔑まれつつ、経済手腕を買われて老中に出世した田沼意次と、借財に喘ぐ下級武士でありながら、狂歌師として、自由な「サラリーマン」生活を謳歌する大田南畝。二人の生き様から、企業人としての武士の懊悩を描いた、本格時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 天明の時代を田沼意次と狂歌師大田南畝の視点から描いた物語
    意次の視点で幕政とその改革
    南畝の視点で文化が描かれる
    意次は財政を担当していたので、実行した改革やそれに対する旧幕臣の反応を読んでいると身につまされる


  • 面白い。

    下級武士からのしあがる田沼意次の出世と悲哀がサラリーマン物語としても楽しめるし、ガバナンス、財政再建、政策の継続性という政治的テーマも考えさせられる力あり。

    反面、大田南畝の物語はサッパリ響かなかった。

  • 内容紹介

    国家を支え、人生を享受せよ!

    飢饉や大地震が続き、危機的な経済状況にある天明期の江戸幕府。足軽の子と蔑まれつつ、経済手腕を買われて老中に出世した田沼意次と、借財に喘ぐ下級武士でありながら、狂歌師として、自由な「サラリーマン」生活を謳歌する大田南畝(なんぽ)。二人の生き様から、企業人としての武士の懊悩を描いた、本格時代小説。

    ※本作品は、講談社創業百周年記念書き下ろし作品として、2009年3月に単行本として小社より刊行された『青雲の梯 老中と狂歌師』を改題したものです。

    内容(「BOOK」データベースより)

    飢饉や大地震が続き、危機的な経済状況にある天明期の江戸幕府。足軽の子と蔑まれつつ、経済手腕を買われて老中に出世した田沼意次と、借財に喘ぐ下級武士でありながら、狂歌師として、自由な「サラリーマン」生活を謳歌する大田南畝。二人の生き様から、企業人としての武士の懊悩を描いた、本格時代小説。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    高任和夫
    1946年宮城県生まれ。東北大学法学部卒業。三井物産入社。’85年に『商社審査部25時』を発表。以降、作家とサラリーマンの二足のわらじを履き続ける。’96年、50歳を機に依願退職、作家活動に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    本の感想(オフィス樋口Booksより転載、http://books-officehiguchi.com/archives/4856743.html

    タイトルが『江戸幕府最後の改革』であることから幕末のことを思い浮かべるかもしれないが、田沼意次の政治の頃の歴史小説である。

    田沼意次とは足軽から老中に出世した人物で知られている。9代将軍徳川家重と10代将軍徳川家治の頃の老中で、株仲間を奨励するなど商業や貿易を重視して幕府の改革を行おうとした。幕府の改革以外では、蝦夷地の探検で、最上徳内を千島列島に派遣したことも有名である。田沼の政治では賄賂が横行した。息子で若年寄の田沼意知が江戸城内で暗殺され、その後に10代将軍家治の死により、田沼意次は失脚した。

    田沼意次ともう一人の主人公は太田南畝である。太田南畝は江戸時代中後期以降の化政文化の頃の狂歌師で、元は幕府に仕える下級武士である。

    この老中と下級武士から見た天明の飢饉後の江戸幕府をこの時代小説を通して知ることができるので教科書にない視点で歴史を知りたい人に勧めたい小説である。

  • 賄賂で悪名高き 田沼意次。実は為政者として、改革を急ぎ過ぎた事で周囲の名家から圧殺され、後世評価も汚されたとする時代小説。
    旧態然の中、その仕組みで巧みに潰される怖さは不変か。やや冗長だが深い読了感。

  • 本屋で、ホリエモンの獄中での読書録を立ち読みしてて、気になり近くの文庫の棚を漁って買った本。田沼意次の幕政改革と狂歌師 大田南畝(この本で初めて知った)の話が交互に出てくる奇妙な味の小説でした。良い一つの時代が終わったという読後感。

    普段読む本と全く種類が違い新鮮だった。そもそも歴史の知識は学校に置き忘れてきており、特に江戸時代の知識はみなもと太郎の漫画「風雲児たち」から得たものだけ。これで得た知識にかなり助けられイメージを湧かせることができた。この漫画がけっこう優れものだったことを再発見したのも嬉しかった。

  • ちょっとボリュームたっぷりでしたね。
    400ページ以上で読めない単語がいくつも出てくるし
    きついっすわ。
    読みやすいんですけどね。

    田沼意次を少しは知ることが出来たかなと思います。

  • 江戸幕府も終焉に近づいている中、田沼意次と狂歌師大田南畝を並行させながら農主体の幕府財政を蝦夷地開拓、諸国との通商、印旛沼開拓と新しい手を打っていった意次は身分の低い出からの出世と周りの半目を受けながら改革を推し進めていく。一方南畝は漢学をベースにした知識を元に世に狂歌師として名声を得ていく。
    賄賂の意次とは違った改革派の意次を上手く表現されている。しかし晩年は意知(子)を殺害され松平容保ら(保守派)から反発を受け改革も頓挫してしまう。

  • 足軽の子として蔑まれながらも老中の地位まで登りつめ、また賄賂政治家としても有名な田沼意次と、下級武士で幕府に勤務しながら、狂歌師として名を挙げた太田南畝。
    二人の人物を対比させながら江戸天明期を語る時代小説。

    江戸時代の初期や末期は激動の時代で良く小説も読んだけど、この時代の話は初めて!
    幕府を『組織』と捉えて人を語る観点が、経済小説を主に著してきた作者の色が出ていて、個人的に新鮮だった。

    時代背景の描写も詳しくて面白い!
    ただ、途中NHKアナウンサーの原稿を読んでいるような中だるみ調査報告オンリー文章がなければ、なお良かったなぁ。

  • <作品紹介>
    飢饉や大地震が続き、危機的な経済状況にある天明期の江戸幕府。足軽の子と蔑まれつつ、経済手腕を買われて老中に出世した田沼意次と、借財に喘ぐ下級武士でありながら、狂歌師として、自由な「サラリーマン」生活を謳歌する大田南畝。二人の生き様から、企業人としての武士の懊悩を描いた、本格時代小説。

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