壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778961

感想・レビュー・書評

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  • '22年10月27日、Amazon audibleで、聴き終えました。堂場瞬一さん、5作目だったかな…久しぶり、です。

    このシリーズは未体験でした。とても良かったです。

    まあ、大体想像した通りのストーリーでした。なので、ちょっとキツかったかな…。
    自分が主人公だったら、被害者家族だったら…と、聴いている間、常に考えさせられました。もちろん、登場人物達の思考や行動に、違和感を感じる点もありましたが、作者の「熱い語り」で、そのへんはねじ伏せられてしまったかな。

    堂場さんらしい、「熱い物語」でした。満足!

  • 「警察小説史上、最も読者に近いところにある物語」との文庫本帯の惹句につられ読み始め。
    警視庁犯罪被害者支援課というのは、どうやら著者のオリジナルらしい(犯罪被害者支援室というのはあるようだ)。しかし、恰も実在するかのようなリアリティーのある警察小説。
    著者の小説は、センテンスが短く、小気味よい描写力があって、読みやすいのが特徴といえるか。
    作中の、「『犯罪被害者支援基本三か条』1.常に自分のことと考えて被害者に接する2.過剰な思い入れを排する3.時には沈黙を選ぶ」は、一般の対人関係にも応用ができそう。

  • 【警視庁犯罪被害者支援課シリーズ第1作目】
    アナザーフェイス・警視庁追跡捜査係・警視庁失踪課シリーズを読んできて、時々登場する犯罪被害者支援課の村野。少し足を引きずって登場し、被害者の気持ちに寄り添うために、捜査の事情聴取を断ったりする。
    警視庁追跡捜査係・警視庁失踪課と並んで犯罪被害者支援課の3つは嫌われ部署。
    堂場さんのシリーズは好きで、他のシリーズも読み終わったので、何度も手にしてきたが、通学中の子供の列に車がつっこみ亡くなった子供の親を支援する、という内容を重く感じ、なかなか読めずにいた。

    やっと読めた。
    まず、他のシリーズの主人公が40歳以上のおじさんたちであり、その主人公たちが一目置く村野のことを勝手におじさんだと思っていたが、35歳と若くてびっくりした。
    犯罪被害者を支援していく話となるとただただ重いストーリーかと思いきや、単なる事故が殺人事件に発展していくなかで、常に村野が被害者に寄り添いながら解決していく、という話。
    ただ被害者支援といっても、いろんな被害者感情があり、そこに寄り添っていく。ただまだ確立された部署ではなく、マニュアルも参考程度のもので臨機応変に対応していかないといけない。
    「犯罪被害者支援基本三か条」があり、1:常に自分のことと考えて被害者に接する、2:過剰な思い入れを排する、3:時には沈黙を選ぶ、はすごくいいなと思った。
    実際に存在する部署ではなく、フィクションのようだが、警察は犯罪被害者支援も行っているし、被害者支援センターも存在する。刑事ものの小説はたくさん読んできたが、被害者の支援という目線で小説を読んだことがあまりなかったので新鮮だった。

  • 月曜日の朝、登校途中の児童の列に、暴走車が突っ込む事故が起き、出勤中の妊婦を含む数人が死亡、負傷者も発生した。通常の捜査員の中に、警視庁犯罪被害者支援科の村野らの姿が…。犯罪に巻き込まれ、死亡した被害者の家族の支援を行う部署。しかし、終盤に死亡した妊婦の旦那が黒幕と判明?? 犯罪被害者の支援すべき部署で、序盤から大波乱が!?

  • 復讐が大きなテーマ、復讐することが唯一願いとなっていくことで、心が壊れ闇に堕ちていく。被害者も加害者と同類の人間になってしまうことでもある。
     被害者に寄り添い加害者に罪を認めさせていくこと、同じ被害を繰り返さないための糸口を見つけ出していくことが再生の道であるように思えた。

  • 犯罪に巻き込まれて亡くなった遺族に寄り添う支援課だが、思わぬ事件に発展したのは、驚きました。

  •  月曜日の朝、豊洲の小学校の前の通学児童の列に暴走車が突っこんだ。妊娠7ヶ月の女性が亡くなった。園児なども含めて死者は5人。警視庁犯罪被害者支援課の村野が主人公であり、ラストラインのスピンアウト小説。主人公の村野は、自らも事件の被害者、交通事故に遭って怪我を負い、捜査一課から志願して犯罪被害者支援課に移動した。被害者の心に寄り添い、傷が癒えるのを助ける。正解も終わりもない仕事。警察において、犯罪被害者の心のケアをするという仕事があるのだね。
    「100の事件には、100通りの哀しみがある」という表現がいい。
     暴走車は、ボルボ。そして、運転手は逃亡する。ひき逃げ犯であり、荒木を割り出した。
    ブレーキ痕も、なかった。荒木は、酒酔い運転なのか?それとも故意に暴走したのか?そのことが、次々に暴かれていく。
     大住茉奈は妊娠7ヶ月で、母子とも死亡。夫の大住は妻を失うことで、悩み、苦しみ、そして、失踪、さらに復讐をする。支援課の村野の眼差しは、優しい。被害者家族にとことん寄り添う。
     この大住という男が、被害者の一つのパターンとなる。
     支援課には、大学時代の同級生、松木優里がいる。常に冷静で的確なアドバイスがある。また、村野の元恋人も同級生で、二人が復縁することを期待している。新人の女子支援員を、丁寧に村野は教育する。支援課は、警察の中で、落ちこぼれのような部署だと思っている。
     同僚の長住光太郎は、支援課にいながら、支援課の仕事を馬鹿にしている。こういう人物を配置することで、村野の心情が鮮明となる。

  • シリーズもの。
    他の話を先に読んでしまっていたが、それはそれで楽しんで読むことが出来た。
    人の心を扱う仕事って難しいよなぁと。

  • 正解のない仕事。
    1つの大事故が大きな事件へなるなかで、正解でないかもしれないが、事件と向き合う主人公の行動がかっこよかった。

  • 説明調な文章な感じがするものの頭の中で絵が描ける作品。

    物語のすべてが現実味がないストーリーであれば割り切って読むのかもしれないが、最初の事件(事故)の時点では、自分の身に起きてもおかしくないようなできごとなので、そこから終盤の展開に向けては気持ちの切り替えが必要だった。それは作品の出来良しあしとは関係ないけど。

    刑事でない警察官が事件と関わる新しい視点が面白い。
    今刊行されている本シリーズ、全部買っちゃいました^^
    未読がたくさんあるって幸せ~

著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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