居酒屋の世界史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881203

作品紹介・あらすじ

居酒屋を覗くとヨーロッパ文明が見える。悪への誘惑の場所か、それとも社会の安定装置か。お酒と酔いどれたちをめぐる、ヨーロッパ、イスラム、東アジアの比較文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 居酒屋の世界史、タイトルも壮大ですが、まさに世界各地の大衆娯楽の世界史でした。
    ヨーロッパから始まる貨幣経済の流れとともに、コミュニケーションの場としての居酒屋が発展した歴史がわかって面白かったです。
    この本を読んで、発展途上国の居酒屋によると、意図せずして、その土地の貨幣経済の浸透度を測ることができるはずです。
    居酒屋の日本史を考えてみるのも楽しかなあとふと思いました。

  • 本書で扱う「居酒屋」とは「対価を払って酒を提供する場所」と、やや定義が広いが、ヨーロッパから中東、東アジアまでもカバーしている。居酒屋の酒類や店の形態には捉われず、その機能に着目しているのが特徴。洋の東西問わず、酒、食、宿、そして春を売ってきた歴史が共通するのが面白い。特にヨーロッパでは顕著なのは、酒・食・宿・春以外に、銀行(金融)、裁判所、賭博場、芝居小屋、一揆や革命の集会所など、数多の機能を提供してきた歴史である。時間軸も地理的な広がりも大きい内容なので、深い話は出てこないが、いろいろなことが見えてくる世界史である。

  • かつて居酒屋は、単に金銭に替えて酒を飲む場である以上に、社交場であり、娯楽の場であり、商取引の場でもあった。特に、ヨーロッパではそれに加えて、祭り・冠婚葬祭の宴会の場であり、銀行であり、巡礼宿であり、さらには裁判所であり、病院であり(当時、外科手術は「芸」であった!)と、実に多様な機能を持っていた。そして、そんな居酒屋の農村地帯への進出(普通、居酒屋は都市部にしかない)こそ、ヨーロッパが、世界に先駆けあまねく貨幣経済を浸透させた証左ともなっている。やがては、その多機能性から、ドイツ農民戦争、フランス革命、ナチス成立の舞台ともなった居酒屋。しかし今日、居酒屋はその繁盛のほとんどを失ってしまった。もとより宗教革命で教会から引き継いだ多機能性は、時代を経るごと、それぞれに分離独立していったのだった。古今東西の居酒屋を比較することで、ヨーロッパ文明の特徴を明らかにする一冊。

  • 居酒屋から歴史がみえる
    金銭の見返りに種類を提供する営業空間
    農村への貨幣経済の浸透
    居酒屋の多様性
    棲み分け
    通史編
    第一話  古代オリエント・ギリシア・ローマ――居酒屋の誕生期
    ハムラビ法典
    看板の起源
    第二話  ヨーロッパ中近世――居酒屋の最盛期
    デフォーがみた乱行
    修道院居酒屋
    第三話  ヨーロッパ近現代――居酒屋の衰退期
    大衆カフェ登場
    ミュージックホール
    第四話  イスラム圏の居酒屋
    ワインかコーヒーか
    インドの居酒屋
    第五話  中国・韓国の居酒屋
    第六話  日本の居酒屋
    テーマ編
    第七話  教会と居酒屋
    第八話  売春と居酒屋
    第九話  芸人と居酒屋
    第一〇話 犯罪・陰謀と居酒屋

  • 歴史

  • 2011-8-27

  • 第四章 イスラム圏の居酒屋のみ、目にとまり。コーランでは、飲酒を戒める章句はあるが、それほど厳しいものには感じられない、と著者。アブー・ヌワースの詩にあるように実際には、市井に居酒屋はあった、と。またオマル・ハイヤームやハーフィズにも飲酒を詠う詩があったと。ヨーロッパの多機能な居酒屋とは違い、社交の場としてはモスクがその役割を果たし、飲酒、エンターテイメント、売春といった機能に限られていた、と。オスマン帝国ではカフェにその役割が移っていった、と。読み落としたのかもだけど、アラビア語やオスマン語では居酒屋に当たるのはなんだったのか気になるところ。アブー・ヌワースは読み返したくなって来た。

  • 本邦初の居酒屋の世界史ってことだけど、酒場の文化史みたいなので結構ありそうだけどなあ。
    ま、ともあれ酒好きとしてはなかなか興味を引く記述がたっぷりでよろしい。

  • 新書文庫

  • 13/12/11 期待したほどのことはなかった。

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著者プロフィール

宇都宮大学教育学部教授

「2017年 『世界文明史 人類の誕生から産業革命まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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