JAL再建の真実 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881760

作品紹介・あらすじ

JAL再建は本物か?実質的な破綻をスクープしたジャーナリストだからこそ書ける、再上場の功罪を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 「稲盛和夫最後の戦い」と「沈まぬ太陽」を埋めるにちょうどよい1冊。この2冊と大きく違うのは、視点が中立的なこと。JALがどうしてこうなってしまったのか?数字を交えてもの凄くよく理解できた。

  • JALの破綻前から上場までを時系列で解説。
    会計に関する記述もあり、特に会計処理が微妙だった「機材関連報奨額」について、具体的に取り上げています。

  • P60 機材関連報酬額➡物を買って利益が出る

    P75 JFE社内のルート確認

    P82 JALの労組の反合理化、法外なベア要求

    P91 繰延税金資産の計上指針

    P154 JAL支店長の陳情と、プレパッケージ型の法的整理

    P195 稲森会長のアメーバ経営

  • JALが、なぜ破綻したのか?
    という 質問に対して 明快な 切り口で 書かれている。
    1章 隠れ破綻→近似値的粉飾決算
    いろいろな 破綻の原因 がある中で、
    貸借対照表と損益計算書から読み砕いて、
    「隠れ破綻」→簿外負債や年金積み立て不足から、
    実質的債務超過であると指摘をしたことに、先見の明がある。
    機材関連報償額;買った機体の リベートを営業利益にいれる。
    ありえないような 航空業界の慣例的会計処理。
    粉飾決算に近い症状で、公認会計士が認めるとはなにごとや。

    2章 都バスでかよう西松社長
    財務畑で、財務を知り抜いているが、経営者らしいとは言えない。
    都バスで通い、社員食堂で食べ、年収カットをする。
    そういう、パフォーマンスでは 解決できないと言う認識が薄い。

    3章 JALを倒産に追い込んだ 前原国土交通大臣
    前原は、あかんなぁ。自分が目立ちたいだけで、
    軽はずみな発言と行動で、JALの自主再建を放棄させ、
    倒産に追い込むことで、丸抱えとなる。

    4章 破綻効果と稲盛和夫効果
    破綻することで、処理することが簡単となった。
    その上で、アメーバ経営を貫いて、稲盛効果がでて、
    再建することが できた。
    しかし、ウイルコムや第3者割当増資問題など、
    周辺では 煙が上がっている。

    四つの部分に分かれているが、JALの倒産が、
    なぜ起こったのか?という疑問には 気持ちよくわかる。

  • JALはずいぶんと政府の支援を受けてきたという新聞の論調を鵜呑みにしていたが、前原大臣の迷走ぶりなど、一筋縄では行かなかった状況を把握することができました。
    また国策会社として出発してから民間会社に移行した歴史があるJALですが、破綻原因として政府の責任もあるのかなとも。
    JRにしろ電力会社にしろ政策絡みの企業は、政府という最大の制約を踏まえながら、今の環境変化を睨みながらの経営を舵取りすることの難しさを感じます。真の経営状況を隠匿しようとする組織体質など。
    個人的には、稲盛会長のV字回復のための具体的なアメーバ経営の手法を期待していましたが、本書であまり触れていなく、その点のみが残念でした。

  • JALがなぜ破綻したのか、そして公的資金を投入(最終的には再上場時にすべて完済)しなければなかったのかが書かれている。JALの粉飾決算にも近いその場しのぎの会計と放漫経営もさることながら時の政権与党だった民主党の特に国交大臣の前原の短絡的かつ稚拙な対応が民事再生も可能だったものを法的整理へと導いた、その対応は批判されるべきだし民主党が政権与党を担う力がないことを改めて知ることとなった。
    兼子、新町、西松の3代の社長がJALの膿を出せなかったのでドラスティックな改革が必要だったのは否定しないし、JAL派としては、このテツを二度と踏まないで欲しいと感じながら読了した。

  • JAL破綻から稲盛氏の手に経営が委ねられるまでの経緯を事実ベースで丹念に追った点では、価値ある一冊。ジャーナリストとしての筆者が意見を述べる部分に関しては、このレビューでは評価の対象としません。

  • 面白くなくはない。特に民主党政権の「JAL再生タスクフォース」が、政治的な思惑により機能不全のまま主導権を握ろうとしたことの顛末や、同時期に再生支援を受けたウィルコムと稲盛氏新会長就任の関連性の指摘は鋭いと思う。

    しかし、第一章のJALの実質破綻状態を指摘する段、一番大事なところで債務超過の定義が間違っている(筆者は「負債額>自己資本」を債務超過としているが、正しくは「負債額>総資産」)のには脱力。本当はこの時点でこれ以上読むのをやめようかと思った。筆者は元日経新聞経済部キャップとありますが?

  • 新聞報道をただ読んでるだけではつかめない事実があることを痛感。タスクフォースの話はびっくり。なにも知らなかったことが情けない。

  • JALのトップは本当にひどかったようだが、それに反論すべくトップらも本を書けばよい。
    JALはデルタとの提携という話があったんだ。
    最近は少しは良くなったけど、一時は本当にひどい航空会社だったのは確か。JALなんて乗るのが怖かったからな。

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著者プロフィール

町田 徹(まちだ・てつ)
 経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。1960年大阪府生まれ。
 神戸商科大学(現兵庫県立大学)商経学部経済学科を卒業。米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに日本経済新聞社より社費留学。甲南大学マネジメント創造学部非常勤講師。
 日本経済新聞記者、雑誌編集者を経て、独立。著作活動を軸に、雑誌への寄稿や講演活動も手掛けている。
「日興コーディアル証券『封印されたスキャンダル』」(月刊現代二〇〇六年二月号)で二〇〇七年「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞。
著書に「JAL再建の真実」(二〇一二年 講談社現代新書)、「東電国有化の罠」(二〇一二年 ちくま新書)、「日本郵政 解き放たれた『巨人』」(二〇〇五年 日本経済新聞社)、「巨大独占 NTTの宿罪」(二〇〇四年 新潮社)ほか。

「2013年 『行人坂の魔物――みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに取り憑いた「呪縛」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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