明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)
- 講談社 (2015年5月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883023
作品紹介・あらすじ
「最近なんだか伝わっている手応えも実感もない」
「以前はもっと反応があったけど、近ごろそれもなく、やり甲斐がない」
「広告もコンテンツも効いてる気がしない」
「苦労してバズらせても、一瞬火がつくもののすぐ忘れ去られてしまう」
「SNSが重要かと思ってがんばってるけど、効果が感じられない」
……そうお嘆きのあなたに。
あなたがどうしても伝えたいその「情報」は、どうすれば相手に伝わるのか。
広告、宣伝、広報、販促、営業、メディア……
「伝える」仕事に携わる、全ての方への処方箋――。
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◆「情報“砂の一粒”時代」というおっそろしい情報環境◆
ある調査によると、2010年の1年間に、
世界には約1ゼタバイトの情報が流れたという。
ゼタバイトという単位、ボクは初めて知ったのだが、
これ、調べてみて驚いた。
1ゼタバイトは「世界中の砂浜の砂の数」なのだそうである。
具体的にイメージしてみてほしい。
たとえば日本を代表する砂浜のひとつである九十九里浜のすべての砂の数。
あれですら「無限」に近いと思いませんか?
でも、世界規模で見たら小さな日本にある小さな砂浜なのだ。
対象は世界中の砂浜だ。
世界中の砂浜の砂の数と同じ量の情報が、流れたというのである。
この現実から目を背けてはいけない。
送り手側は「いいものを作れば伝わるんじゃないかな?」とか、
甘い希望を持ちがちだ。
でもそれはほぼ幻想なのだ。
「もう絶対に伝わらない」という圧倒的絶望から始めないといけないとボクは思う。
とはいえ、そんな絶望の中でも「伝わる方法」はある。
ボクが思うに、「ひとつ」ある。
無限の砂嵐の中で、自分が伝えたい砂粒を相手に届ける方法が
少なくともひとつはあると思っている。
そしてそれは何か冷たい触感がするテクノロジー的なものではなくて、
とてもアナログで人間的で喜びに満ちたやり方だ。
情報“砂一時代”、ファンベース、オーガニックリーチ……。
圧倒的にわかりやすい、伝える仕事「虎の巻」!
感想・レビュー・書評
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衝撃を受けたなぁ。
ファンといってもお客さんの事ばかり考えていたが、まずは社内からなんだ。
"社員という「最強のファン」の共感を作る。"
そうだよな。そうだよな。絶対コレだ!
凄く納得できました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
同じ議論が様々な文脈で語られるが、要点は、
日本では半分がマスで通じるが、半分はファンで通じる。
ファンに届ける為には、ファンを大切にする、ということ。
広告=インパクトを与えてこっちを振り向かせるものだと無意識に思っていたことに気付き、それも前時代のものであると気づかされた。 -
【知人友人は最強メディア】
→情報が多すぎる中で最も信用できる情報。
・今までの情報
テレビ、新聞などの、メディアによって直接情報が入ってきていて、影響力が強かった。
大々的に広告を打てば、販促につながっていた時代。
・これからの情報
誰もが発信できる時代になり、情報が増えすぎてしまった。(筆者は、砂一粒時代と呼ぶ。地球上のすべての砂を15倍にした数の情報が溢れている)
その結果、そもそも届かないし、届いたとしてもスルーし、記憶の彼方。
というかうざいし、興味ない。
今までのやり方では興味を持ってもらうどころか、逆に嫌悪感を抱かせる可能性すらある。
・どうあるべきか
新規のお客さんを得るために動くよりは、現在応援してくれているファンを大切にし、特別扱いをすること。特別な体験をしたファンは、その感動を熱量を持って友人やSNSなどを通して熱弁する(オーガニックリーチ)。
あらゆるエンタメで溢れた今でも、友人知人が発信する情報は関心ごととして耳に届く。
そしてそれが嘘偽りのない熱のある言葉、オーガニックな言葉であればあるほど人から人へ電波していく。
★結論
これからの時代、「ファンベース」という考え方がいかに大切かが分かる。
ある年を境に情報洪水を起こしているが、
その情報洪水よりも「前」の人に届けるのか、
「後」に届けるのかによってアプローチの仕方が全然違う。
マーケティング書に興味がある方にオススメ。 -
情報砂の一粒時代のコミュニケーションプランニングの仕方は2つ→ファンベースとマスベース。
個人的にはネットに触れない国民がおよそ半数いるから、旧来のマスメディアをつかったマスベースアプローチも依然として重要なことは目から鱗だった(ウェブマーケティングばかりもてはやされているので) -
誰にどうすれば届くのかを分かりやすく解説した本です。
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感覚をアップデートするにはちょうど良い本。
マーケティング初心者には読みやすくて、歴史を踏まえて考えながら読み進められるのが楽しい。 -
SNSのインパクトを丁寧にわかりやすく分析している良い書籍。
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続編のファンベースを読めば、本書は読まなくても。
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なぜファンベースが必要なのかを、データを用いてじっくり解説されていたので納得できた。概要として重宝し、教科書的に読み続けていきたい。
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現代の情報量の多さにより、本当に大切な情報が埋れてしまう。発信したい情報は砂漠の中での一粒の砂であり、情報を拾うほうも大変だという話。
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かなり久しぶりに新書を。
頭の中で漠然と思っていたことを、平易な言葉で整理して提示してもらった。世に出回る情報量が格段に増えて、1年間に世界中の砂浜の砂粒の数と同じ量の情報が流れた。これを「情報”砂の一粒”時代」、略して「砂一時代」と呼び、その境界を総務省のデータなどから2005年と定義した。そして、伝える対象を「砂一時代の人」と「砂一時代以前の人」に分けて、それぞれ個別に伝える戦略を立てるべき、と説く。
ソーシャルメディアの発達によって「自分ごと」と「世の中ごと」の間に、「仲間ごと」が増えたという整理は、非常にクリア。また、従来のマスメディアであるテレビで「ネットで検索!」とやっても砂一時代の生活者には効果が薄いという指摘には、なるほどと頷いた。
ただ、一方で少し矛盾も。それはこの著者の文体と語り口。これはもう完全に「砂一時代の人」のもの。頻繁な改行と口語が入り混じったブログのノリ。著者が指摘する「月に一度もパソコンから検索しない7,000万人」、つまり「砂一時代以前の人」の大半には、多分受け入れ難いトーンだろう。この人たちには、この本の内容がリーチする前に、読んでいる途中で拒否反応を示されるのでは。
もっとも、この本を手に取るような人は皆「砂一時代の人」なのだと言われてしまえばそれまでだが。 -
ユーザー体験とかカスタマージャーニーマップとかペルソナとか小難しい言葉で言っていることにかなり近い内容がとても平易に書かれている。もちろん著者の佐藤尚之さんご専門の広告やコミュニケーションの文脈ではあるが、UXに関わる人は本書「明日のプランニング」を読んでみるといいと思う。
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マスベースも捨てたもんではないけど、広報に対象をしっかり把握しないと響かない。ファンベースの重要性を認識しつつも手間がかかり、速攻性がなく、結果が可視化しにくいのともあり認知されにくいのでは? でもいち早く取り入れたものが生き残るのではないかなぁ?
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砂一時代のファンベースの伝え方には同意。一方で、この本は砂一時代においてどのようにリーチさせようと思ったのだろう。内容が薄いのはターゲットとする読者層を意識した戦略的なものだろうか。
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情報が世界中の砂の量くらいになった砂一時代、人口の半分はネットを日常的に使わないのでマスベースのリーチが効く。ネットを駆使する相手にはファンベース、つまり友人知人を介した自然な声を伝えること、そのためにファンを支援しファンとともに育つこと。
今はまだ、砂一以前の人も多いし、砂一であってもマスを経験してきている。砂一ネイティブな世代ばかりになって、意志ではなく年齢や境遇などの要因で砂一アクセスとの距離の差が開くようになると? -
一番のファンとしっかり向き合っていく、それが生きる上でも大事だなぁと思います。
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砂一時代
ファンに伝達する
わかりやすい一冊。プランナー目指すなら一度は読んでおくべき本。 -
まず
・5670万人は毎日検索しない。
・コミュニケーションは売り上げのためではなく、お客さんの喜びのため。「この情報に会って良かった」
マイルドヤンキーも1000万人くらいいる
テレビ効果あり
友人知人が砂一時代の最強メディア
SNS最強という意味ではない
メディアとはミディアム「中間」の複数形
競馬を語るオーガニックリーチは影響大
競馬の動画がシェアされるだけでは競馬の興味は大きくならない。