- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883382
感想・レビュー・書評
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「あの時あの薬があったなら(なかったなら)世界の歴史は変わっていたかも」
有史以前から動物や昆虫が本能で発見して使用していた薬。その薬と人類史の流れが一目瞭然。
今や薬ひとつで治る病がかつては死に至る病であり、原因が分からないものは悪魔の仕業で片付けられていた時代。現代において携帯やネットのなかった時が今や考えられない、どころの話でなかったのだ。
教科書で学んだベーシックな知識だったペニシリンやビタミンCの発見やその意義などがもう少し深く、でも超文系にも理解できる平易な文章で掘り下げられている良書。
ノア・ゴードンの『千年医師物語』はシリーズ文庫5冊のボリュームで、中世ヨーロッパから現代アメリカまで医師の一族を追った冒険譚だが、まさにその世界を一冊に「薬」に特化して纏めたようでとても面白かった。
この著者は製薬会社の研究者からサイエンスライターに転向した方だそうだが、何より化学の知識と歴史好きなオタクの匂いがチラホラ散見できてとても好ましく読める入門書にはぴったりで興味深く一読。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。一気に読んでしまった。学校で教えられる歴史は、あくまでも一面的なものにすぎず、この本のように、薬(あるいは病気)という視点から見直してみると、また違ったものが見えてくるということが、本当に身にしみた。
amazonのほうでは、化学的に簡略化しすぎではないか、という批判もあるようだが、私のように、世界史の授業では意識がしっかりしていても化学の授業では気絶してしまっていたような超文系人間には、薬というモチーフは歴史を眺める上での新たな立ち位置であって、あくまでもこの本のメインは「歴史」であると思って読んでいるので、あまり気にならない…というか、化学的に詳細な記述はいらない(^^;)。だから、私個人的にはこのくらいでちょうどいい。一気に読めてしまったのも、この点もかなり寄与してくれているかもしれない。どちらに期待して読んだかということで読後感がかなり変わってきてしまうのかもしれない。私は、とても満足できた。 -
2021-05-03 amazon p385-
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古代に遡って、医薬の歴史を学ぶことができた。いかに今が恵まれた状態か、改めて思い知らされた(全ゲノム解析が進んだ未来から見たら、今も遅れているのかもしれないが)
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めちゃんこポップで知的な薬学の快著。
短いながらも情報力が多くわかりやすい。
まさに薬学入門として最適な一冊。 -
病気と薬に関する歴史や雑学が多くて
読んでいて楽しかった。
医療系の人はぜひおすすめで
薬への興味を持つきっかけになるかもしれない。 -
この本、シンプルな表紙とは裏腹におもしろい。
人に薦められる医薬品関連の本ってこれぐらいじゃないかな? -
全編通して読みやすい。アスピリンに癌やアルツハイマー予防効果がありそうとか初耳だった。人類の次の課題は自己免疫疾患への対処。
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NDC499.1
「「あの薬」がなかったら、世界の運命は変わっていた!もし、コロンブスがビタミンCを知っていたら。もし、チャーチルが感染症で急死していたら。もし、モルヒネの構造が原子ひとつ違っていたら。世界の歴史は、全く違っていたかもしれない!?
」
目次
医薬のあけぼの
ビタミンC―海の男たちが恐れた謎の病気
キニーネ―名君を救った特効薬
モルヒネ―天国と地獄をもたらす物質
麻酔薬―痛みとの果てしなき闘い
消毒薬―ゼンメルワイスとリスターの物語
サルバルサン―不治の性病「梅毒」の救世主
サルファ剤―道を切り拓いた「赤い奇跡」
ペニシリン―世界史を変えた「ありふれた薬」
アスピリン―三つの世紀に君臨した医薬の王者
エイズ治療薬―日本人が初めて創った抗ウイルス薬
著者等紹介
佐藤健太郎[サトウケンタロウ]
1970年、兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。医薬品メーカーの研究職、東京大学大学院理学系研究科広報担当特任助教等を経て、現在はサイエンスライター。2010年、『医薬品クライシス』(新潮新書)で科学ジャーナリスト賞。2011年、化学コミュニケーション賞 -
【請求記号:499 サ】