知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884396

感想・レビュー・書評

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  • 日本に存在する「ウラの掟」のほとんどは、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
    今までニュースで報道されるたびに、なぜ一向に解決されないのかと思っていた沖縄米軍基地の問題や歴代自民党政権の従米姿勢の意味がようやく腑に落ちました。議論されて然るべき問題が、国民の間で全く共有されていない。政治に興味を持たない若者の多さも問題ですが、いい歳した大人も無関心な人がいかに多いかということ。本当に恐ろしい国だな、日本。イラクの戦後の話は全然知りませんでした。参考にすべき先人がいるのだから、今からでも日本の主権を取り戻すべき。子供たちの世代までずるずる引き継ぐ負の遺産はなくしましょう。

  • いたってまじめな本だし、わりとよく調べているけれど、これは大体みんな大学入るくらいには一度は腹を立てることなんじゃないだろうか。そんなに知らない人が多いように書かれているのがどうも。
    それに、ソ連の衛星国とかプエルトリコとかのことを考えても、この程度の主権についてあまりキリキリいうのもどうかなあと思うところはある。

  • 知ってはいけない隠された日本支配の構造

  • 今週突然、オスプレイが当初予定を前倒しして配備される旨の発表がされました。
    ちょうどこの本を読んだ直後だったのでまさに!と今驚愕の思いでニュースをみています。

    本書は、日本と在日米軍の関係性について解説した本です。
    目次からして衝撃的。

    ・日本の空は、すべて米軍に支配されている
    ・日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある
    ・国家は密約と裏マニュアルで運営する
    ・自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う
    等々・・・

    戦後処理の不手際が現在まで多大な影響を及ぼしており、だから日本は米軍の犯罪にも寛大だし、オスプレイの件も口出し出来ないし、基地もなくならないんだとやっとわかりました。
    だからって自国を守れない日本の現実もあるし、本当に難しい問題なんですね。

    北方領土問題も、実はこれらの密約のせいで100%絶対に解決できないそうです。
    アメリカの思惑もロシアの思惑もわかるだけに、確かに解決できるはずはないと納得してしまったよ・・・

    とりあえず、国民が一人でも多くこの事実を知り関心を持つことが大事だと思いました。

  • 他の方のレビューにも散見されますが、本書は評価が難しい。いわゆる出典や一次資料となるものの記述が断片的で、肝腎要の結論部分は、状況証拠からの筆者の推測によるところが多分にあるためです。

    指摘されている事項はいずれもあり得るもので、むしろ考えなしに脊髄反射で全否定してしまうほうが認識不足です。ただ、所々論理が飛んで誘導的に見える箇所が混在します。筆者の言う「密約の方程式」は、要するに本書で指摘するダークサイドを全て密約という見えない部分に押し込める便利なツールになってしまっています。そうなのかもしれないが、そうでないかもしれないと言う話を無限後退させているに過ぎない。

    ならば必ずそこにはなんらかのポジショントークが含まれているはずであり、読み手には自身できちんと咀嚼しながら読み進めることが求められます。

  • 日米間の不平等な関係やどうしてそのような状況になったのかは
    歴史的経緯を含めてよく分かりました。
    日本全土のどこにでも米軍は基地を作ることができるということや
    横田空域のことなどは知らなかったのでそういった事実は
    知る必要があるとは思いますし、あまりに世界標準とかけ離れた
    日米関係は是正すべきだとも思いますが
    この著者の目指したい場所が伝わってきませんでした。

    結局戦争のない平和な世界というのが現状絵に描いた餅である限り
    自国のことは自分たちで守るかそれが出来ないのであれば
    米軍(国連)に守ってもらうしかないと思います。
    ただ著者は今のままだと米軍の指揮命令のもと自衛隊が国内外で戦争行為を
    行うかもしれないとも煽っています。

    日本が現状の米軍支配から脱却した後、国防についてはどうするのか
    という話になった際に自衛隊の軍隊化は避けられない議論だと思いますが
    そこにはどうも反対のような感じを受けました。

    結局どっちつかずで中途半端な印象を受けました。

  • ・日本における米軍の地位を定めた重要な条約に地位協定がある。ただし、その中に記述されているのは、「具体的なことは日米合同委員会で協議する」。
    ・そして日米の(秘密)合意として、日米合同委員会の議事は原則公表しない、そこでの日米合意は国会の承認を必要としない、となっている。
    ・例えば、公表されている議事として、「日本当局は、所在地のいかんを問わず米軍の財産について、捜索、差し押さえ、または検証を行う権利を行使しない」となっている。
    ・サンフランシスコ講和条約と同時に発効した旧安保条約では、「平和条約および安保条約の効力が発生すると同時に、米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利を、日本は認め、アメリカは受け入れる」となっている。アメリカは米軍を、日本国内およびその周辺に配備する権利を持っている。

  • 政治の事は詳しくないが、ビジネスで行われている交渉と似ているとすると、絶対に譲れない部分を除くと、結局はどこかで妥協してトータルでは自国のメリットとなる様な方向にもって行く事になるかと思われる。

    ところが、日本は敗戦後米国の要求を全て受け入れ、まやかしの独立で成り立っているというのであれば、それはあまりにも情けない。米国の軍事力を金で買うという方針ならばそれで良いが、果たして日本国が判断する権利を有しているか自体が疑わしくなってくる。

    ただ、書かれている内容について、本心からの納得がいっていない。論拠の正確性や適切性についてしっくりこない。間違っているとか、誤認だとか言っているわけでは無く、あくまでも感覚のレベルで。その「しっくりこない」感覚は、著者と同じレベルの情報を得られるまで続くのではないかと思う。

  • 戦後日本に存在する「ウラの掟」、日米両政府のあいだではなく、米軍と日本のエリート官僚のあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約。

    各章の1ページマンガが、とてもわかりやすかったです。

  • 「過去にこのような文書が存在するから現在もこうだ」というのは、「過去に大日本帝国憲法があったから今も日本は軍国主義だ」というようなものだろう。
    ただし、著者の言うことに納得してしまうのは、過去の検証をしない、過去を教育しないという日本の脆弱性に基づくものだと思う。
    このままでは、過去の文書によって他国に拘束されてしまう。

著者プロフィール

(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著「図説 世界の歴史」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

「2019年 『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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