創作の極意と掟 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936958

作品紹介・あらすじ

これは作家としての遺言である――。創作歴60年の筒井康隆が満を持して執筆した、『文学部唯野教授』実践篇とも言うべき一冊。
作家の書くものに必ず生じる「凄味」とは? 「色気」の漂う作品、人物、文章とは? 作家が恐れてはならない「揺蕩」とは?
「小説」という形式の中で、読者の想像力を遥かに超える数々の手法と技術を試してきた筒井康隆だからこそ書ける、21世紀の“文章読本”。豊富な引用を元に、小説の書き方・読み方を直伝する贅沢な指南書です。
小説界の巨人・筒井康隆が初めて明かす、目から鱗の全く新しい小説作法!

感想・レビュー・書評

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  • 《「小説作法」に類するものを何度か求められたのだが、いつもお断りしてきた》という著者が、「作家としての遺言」として著したという、満を持しての「小説作法」本。

    とはいえ、筒井康隆のことだから、凡百の「小説作法」本とはかなり趣が違う。
    「会話」「文体」「展開」「人物」など、32項目に分けて著者の小説作法が開陳されているのだが、項目のラインナップからして類書とは違う。

    たとえば、「凄味」「色気」「薬物」「妄想」「幸福」などという項目は、類書では立項されないだろう。
    「凄味」の項では〝小説にとっての「凄味」とは何か?〟が論じられ、「幸福」の項では〝小説家にとっての「幸福」とは何か?〟が論じられる、という具合。

    本書には、創作入門としての即効性はないだろう。小説家になりたい若者が読んでも、本書の記述を活かして作品がすぐに改善されるというたぐいの書物ではないのだ。
    むしろ、長い間小説を書いてきた人が陥った迷いが、本書の記述をきっかけに消えるかもしれない。そのような、わりと上級者向けの内容だと思う。

    全体が筒井流の文学論としても読めるし、一部は自作解題としても読める。
    たとえば、長めの項目となっている「反復」は、筒井の長編『ダンシング・ヴァニティ』の自作解題にもなっている。

    著者自身が本書を「エッセイ」と呼んでいるように、「論」というほど堅苦しいものではなく、筆致は軽妙洒脱だ。単純に読み物としても楽しめる一冊。

  • 本当は単行本を再読したのだけど、感想を書きたくて文庫版で再登録。

    著者も言う通り、これは創作の指南書ではなく、作家・筒井康隆の創作秘話エッセイとでも言える本である。

    とはいえ、プロの作家が創作にどう向き合っているのかを知ることは、巡り巡って創作の在り方の道標になるのだと感じた。

    書くには読むべし、という当たり前に改めて気付かされる本でもある。

  • 創作に関する技法や覚え書きを書いたもの。エッセイ。
    実験作と言われる文学が読みたくなった。

    「反復」の章は自作『ダンシング・ヴァニティ』の解説。映画・演劇では当たり前の技法である反復を小説に持ち込んだ実験作ということ。その反復の種類を解説している。

    「人物」小説の人物リストを作るのは小説の楽しみ方のひとつ。500人が登場するトルストイ『戦争と平和』、リアリズム小説のゾラ『ナナ』など。

    実験小説として書いた作品。『虚人たち』は「省略」というごくごく当たり前の技法を使わず、原稿用紙1ページを1分として正確に置き換えた実験作。
    『残像に口紅を』は使用できる文字を制限する実験作。これが遊戯なのか意義があるのかは批評家にまかせるが、作者は書いていて楽しかったとのことの。

    『文学部唯野教授』は文芸評論をネタにした小説。

  • 2020/5/28購入

  • 本来ゆっくりかみしめるように読むべき本だが、わりと早く読んでしまった。座右の書にしなければ。

  • 筒井康隆さんが32種類のテーマを軸に、創作の秘密を書いた本。これを読むと、作家の人が何を考えて創作をしているのか、がわかって非常に面白いし、筒井さんの作家としての天才性が浮き彫りになって面白い。なるほど、こういう頭の構造の人が、ああいう芳醇な物語を紡ぎ出すのか、と納得しきりでした。創作を意識している人は読んで損なしな気がします。

  • 小説作法書ではないと言っているが参考になる所も多い
    わざと展開を遅らせて気を持たせたりなど。
    基本的にその作品にあっていれば何でも良いというように思えた。
    実験的な小説についての解説がところどころにある。

  • 言葉遊びの中に
    筒井康隆の小説に対する
    絶対的な愛情と
    圧倒的な覚悟を感じる。
    あらゆる熟語は小説に繋がっているのかもしれない。
    「破綻」
    「凄味」
    「色気」
    「迫力」
    好きな作家が出てきたのも嬉しい。読みたい小説が増えた。

  • 朝日絶賛

  • 小説界の巨人が初めて明かす、目から鱗の小説作法
    作家の書くものに必ず生じる「凄味」とは? 「色気」の漂う文章とは? 「小説」という形式の中で、読者の想像力を遥かに超える数々の手法と技術を試してきた著者が、満を持して執筆した21世紀の〝小説読本〟。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

筒井康隆の作品

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