誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
3.82
  • (21)
  • (47)
  • (30)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 261
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990691

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『僕の想い、彼女の考え、二人を取り巻く状況。そういった一切合切を無視し、法の字面だけを追う。それが司法か。正義か。ならばそんなものに意味はない。』

    『花田さんは小松凪さんが好き、小松凪さんは藍川さんが好き、藍川さんは私が好き、私はお金が好き。どろどろしている。』

    「それ以外にもいろんなセンスが合って、まるでずっと探していた自分の片割れに巡り合えたような気分でした。だからお願いします。僕と一つになってください」

    「冗談ですよね。そんな言葉遊びが、人の一生を左右する国家の法に通用するわけないでしょう」
    「法こそ言葉遊びの最たるものではありませんか」

  • ミステリの裏サブジャンルとして、バカミス、イヤミスはわりと知られてるけど、これは言うならばエロミス。援交探偵とは、一晩5万円で援助交際フルサービスのスーパー女子高生が、趣味で探偵もやっちゃうという、T聖学院なら完全に説諭(せつゆ)もののヒロイン。お客様に警視庁刑事がいるイージーな設定はいいとしても、ミステリファンとしては、エロ要素に謎解き上の必然性があるのか、に注目せざるをえない。そして、、、前に読んだデビュー作は、ネタ隠しが恣意的すぎてムリだったが、これは立派なバカミス。エロの必然性もありまくりで、レイプ目撃は動機に、初エッチはアリバイに直結し、しかも法の意味を問うサブテーマの舞台になる。エピローグでは不覚にも、人の不思議な力強さに感銘を受けた。史上初の「社会派エロミス」の看板に偽りなし。ヒロインの語り口もカラッと明るく、ミステリファンだけでなく18歳から親世代まで、幅広く読まれてほしいユニークな傑作。いろいろマニアックすぎるとは思うけど。

  • 「援交探偵」上木らいちの元に、名門企業の社長から「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。社長と家族の暮らす異形の館で起こる連続殺人事件。
    一方、埼玉県に住む高三の戸田公平は、資産家令嬢・埼と出会い互いに惹かれていく。埼の家に深夜招かれた戸田は、ある理由から逮捕されてしまう。

    すっかり騙されたし、肩透かしのような解決もお見事。
    面白かった。
    (図書館)

  • ちょっと都合良すぎ

  • 途中、分かり易すぎる、と思ってしまったのは、早計でした。伏線が回収されていきます。
    (とは言え、伏線やトリックはわかりやすいです。ちなみに、○りそうなこと自体は、初めっからオープンでも良いくらいです)

  •  バカミスではなくなっている。

  • エロミステリ。
    援助交際探偵にメイドの衣装付きの招待状が届く。行くとそこで次々に殺人事件が起こる。しかも不可思議な状況で殺されてしまう。謎を解こうと頑張るがライチの魅力が通じない状況に戸惑う。
    殺人方法が面白い。意外とスッキリとミステリな状況が解決する。入れ子構造もオチがつくし建物ミステリとしても読める。まぁドラマ化出来ない内容ではあるがVシネマあたりで映像化してほしい。

  • (大いにネタバレ)
    らいち、復活!
    シリーズ第3作となる今作ではなんと「社会派エロミス」という前人未到のジャンルに挑戦。社会派と本格の融合だけでも困難な道のりなのに、それに加えエロまでとは…。
    『これが新時代の講談社ノベルスです』なんて大言壮語まで袖で言っちゃって、どうなるのと思って読み始めたのですが、いや、これは大傑作でしょう。
    偶然出会った美女との逢瀬が、未成年印行条例に引っかかって逮捕されちゃう「社会派」パートと、「援交探偵」らいちが謎の○りそうな館に招かれ発生する連続殺人の「本格」パートが同時並行で進むわけですが、それらの事件がどう絡み合って来るのか、逮捕された公平はどうなるのか、展開が読めず一気読みさせられました。
    (以下ネタバレ)
    埼=京については、途中でこれらが絡み合うとしたらそれしかありえないよなとぼんやり思いましたし、「成増」という地名が出てきて(その他極めて露骨に地名を冠した登場人物が出てきたり)、自分は東京から埼玉まで高校で通学していたため「あそこは確か埼玉とすごい近いよなぁ」とまで思ったにも関わらず、真相にはたどり着くことができませんでした(基本的に推理しながら読む人間ではないので)。○るとまで直接言及されて、まあ実際回ったというのは、前例のいくつもあるトリックであり使い古されたものではあるのですが、それらをこう組み合わせて全体の事件を組み上げるのは見事な手腕だと思いました。公平の釈放される理由になる「CA事件」についても耳に挟んだことがあったので、それをこう持ってくるか!と驚きの連続でした。早坂、恐るべし…。
    エロに関しては、前作までのある種なポップなエロではなく、今作ではシリアスなエロだったのが若干残念ですが、まあ、「社会派」なのだから仕方ないでしょう。
    あと個人的には勾留の描写の生々しさが読んでて辛かったです。(公平のような未成年の場合は実際の流れとは違うとAmazonのレビューで書かれていましたが、まあ、自分はこれでいいと思います)

    それにしても見事に「社会派エロミス」を成し遂げたと思います。色仕掛け作戦が通用せず落ち込んじゃったらいちですが、また次作で男どもを大いに翻弄していただきたいと思います。探偵パートも抑えめだったしな。

  • 今回も一気読みさせられた!
    二つの事件が同時に起きていて、複雑だけどやはりそうかと最後で納得。
    後味が少し悪いような、切ない気持ちになる。

  • 図書館で借りた本。
    上木らいちシリーズ。らいちの元に突然メイドとして雇いたいという手紙と一緒にメイド服一式が送られてきた。早速メイド服を来て、指定の日に指定の家に行ってみる。裏では戸田という高校生男子が事件に巻き込まれている。戸田とらいちの二つの立場から話が進んでいて、つながりが面白かった。

全41件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

早坂吝の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×