- Amazon.co.jp ・マンガ (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063871661
作品紹介・あらすじ
妄想癖が悪化し、兄弟の手に負えなくなってしまった妹。大切に思っているはずなのに、煩わしいと感じてしまう人間の矛盾に迫った『水平線JPG』。ある日、死んだ恋人からとんでもないプレゼントが届く『ダンくんの心配』や、爆弾魔の孤独を描いた『成人ボム 夏の日』等、煌めく九編を収録。
感想・レビュー・書評
-
ここに至ってようやく、良い漫画とは良い詩である、という確信をえた。
漫画におけるコマ割りが、詩における行分けであると見立てて。
「お別れの挨拶は/慣れっこだけど/いつもそうなんだ僕は/さよならの時にやっと/みんなを好きになる」
ー
「あんなに苦しかったのに・・・/オムツが鳥みたいにきれいだよ」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
弱い人たちが登場します。
親の支配から逃れられない人。純粋すぎて俗世では生きられない人。犠牲を強いられる人。庇護という束縛を受ける人。虐められっ子。病弱な人。犯罪者や変人や奇人。
痛ましいです。
でも、どの話にもささやかな救いがある。
細い不安定な線は危うく幻想的な世界を描き出します。綺麗な絵というわけではないのに透明な美しさを感じます。この雰囲気は好き。
お気に入りな短編集です。 -
ふわふわの綿を手に取ったら、針が仕込まれていた。そんな読み心地。
-
表紙絵がものすごい好みだったので買いました。
地雷をかこみながら世界平和をうたっているようなシュールさがにじみでてきています。久しぶりに読み応えのある漫画に出会えました。
平和な日常にじわじわとぶっこまれてくる寂しさと異常さがたまりません。
それですんなり変に感じることなく消化できるのが不思議。
個人的にエミリーが大好きです。ほっぺたひきちぎりたい。 -
何が凄いって良く載せたな。モーニング・ツーよ。大英断ですよ。これは。21世紀のニューウェーブ漫画の台頭を肌で感じる。市川春子、西村ツチカ、ふみふみこなど…そして、今、宮崎夏次系が加わり、この作品群をリアルタイムで追っていけている事に至福を感じます。
大体、こういう類の作品は余りにも物語の特異性、特質性で読み手によっては置いてきぼりをくらってしまう。それによりこの部類の作品はかなり人を選びます。それと、特質な世界観の為に不条理になり、感想を書いてもそれは、すべて皆無な存在と化すがこの漫画は書ける。何がいいって後味がいいです。この手の漫画は最終的には締めくくりは半端な感じで終わってしまうが、それを感じさせる事のない最後のピースがパチッと綺麗にハマり、在るべき姿のジグゾーパズルが完成したような終わらせ方と、この独特な独創性広がる世界により他の漫画では味わう事が出来ない読後感を残し、感じた事がない余韻を与えながらも…また、読みたいという渇望に繋がる仕組みはなかなかのヤバいです。いや、かなりヤバいです。しかし、前述しましたが人を選ぶ作品。注意しましょう( ´ー`)あ、絵柄もこの作風に相応しくクセというか、個性のアクが強いのでそれも評価に起因しますね。もろガロ系だな。しかし。 -
味気ない人生が、
とても、
凝縮していく。
そんな瞬間。 -
極端な二項対立から現実的で一般的に幸せとされる解に落ち着く話が多いが、最後の二つの話は、ありきたりなのにも関わらず、絵柄と相まって絶妙に詩的な余韻を残す違った読み味となっている。レトロSF的な背景も曖昧で現実から微妙な遊離した世界感にマッチしている。
-
やるせない。
でも人生って、人間ってこんなもんだよねって感じ。 -
うーーーん、シュールすぎ…
-
表紙のデザインと、立ち読み用の冊子を読んで続きが気になったので購入。
お話は、「ダンくんの心配」 「成人ボム夏の日」 の2つが特に好きです。
この方の描く人物のこぼれそうに光る瞳が美しくて、それが一番魅力的でした。
どのお話もラストに希望を感じられる内容で、ふわっと明るい気持ちになりました。