恋と禁忌の述語論理 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065139950

作品紹介・あらすじ

それは、「推理」でなく「検証」。
探偵を補完するもう一つの存在・推理の「検証者(ベリファイア)」、見参!
大ヒット『その可能性はすでに考えた』はここから始まった!?

雪山の洋館での殺人。犯人は双子のどちらか。なのにいずれが犯人でも矛盾。
この不可解な事件を奇蹟の実在を信じる探偵・上苙丞(うえおろじょう)が見事解決
ーーと思いきや、癒やし系天才美人学者の硯(すずり)さんは、その推理を「数理論理学」による検証でひっくり返す!!
他にも個性豊かな名探偵たちが続々登場。名探偵を脅かす推理の検証者、誕生!

『その可能性はすでに考えた』『探偵が早すぎる』の
大人気作家・井上真偽のメフィスト賞受賞作、ついに文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 探偵が既に推理したトリックが実現可能かどうか、数理論理学を以て検証するという珍しい小説だった。
    テーマが難しいので、もっと読むのに時間がかかるかと思っていたけれど、地の文の軽さや、キャラクターのコメディ感でバランスが取れているのかテンポよく読めた。
    有識者が読んだらどうコメントするのかわからないが、数理論理学に興味を持つきっかけになる一冊だと思う。

  • 名探偵が披露する名推理に潜むバグを瞬時に見抜く天才学者
    4つの事件とエピローグで明かされる本当の目的で二重構造のミステリー
    がっつり「数理論理学」の難解な講義を読む…ことをクリアできるかできないか…それが問題だ
    □P:この本を最後まで読めたらクリアできた
    True or False

  • とてもむずかしい内容だったけど、斬新なアイデアがとても面白かったです。ラストが最高でした!

  • 著者のデビュー作であり、第51回メフィスト賞受賞作。
    自分は文系の人間なので、作中に登場する大量の数式には眩暈を感じたが、しっかりと説明がなされるので、特に困らなかった(理解したとは言ってない)
    理系ミステリは多数あるけど、理系っぽさの演出を、蘊蓄などで表現するのでは無く、謎を論理学の公式に当てはめて解いていくというのは、斬新だった。
    最初2つの話は正直なところ、ビミョーな感じだったが、3話目は雪の山荘の足跡の謎という、クラシカルスタイルで、トリックも面白かった。

    そして3つの話が終わった後に判明するとある真相は驚かされました...!
    読み返すと、しっかりフェアに書かれてるんですよね〜、しっかり騙されました。

    次作の「その可能性はすでに考えた」は本作に登場したウエオロ探偵がメインとなるみたいですね〜ウエオロ探偵のキャラも好きですが、硯さんもいつか出てきて欲しいなぁ〜

  • 動機フル無視の検証がとても面白くて、かっこいい。
    数学の専門用語がたっっくさん!理系にはたまらん!
    難しいからそこは理解できないけど、最後まで面白かった。
    キャラクターも良かった。

    まさかの結末に驚き

  • 理系の教科書のような小説。
    文系の私には難しかったですが、だんだん説明も理解できるようになり、理系のおもしろさを少し知る事ができました。
    推理で止まらず、それが真相かを数理論理学で検証する。
    今までにない新感覚でおもしろい発想のミステリーです。

  • 美しい叔母に恋にも似た思いを抱いている大学生、詠彦。
    彼は叔母に相談に来た。殺人事件の解決に関する検証について。
    若くして数理論理学の天才として大成した叔母、硯。
    彼女は検証し、真実を導く。

    なるほどこの手があったかーってカンジですね。
    ただしこの検証が成り立つのは、「正解に見える推理が存在していること」。
    つまり、このお話には最終的に真実を断ずる硯サンの他に有能な探偵が必要。
    ということで、なかなかヒネった推理をさらに検証するという二重構造。贅沢。

    難関は「数理論理学」の講義少々。
    ま、多少なりともこの講義をかじってルールを把握しておかないと楽しめないですから、仕方ないですが、なかなかハードゥ・・・・。
    んで、このルールに慣れたころ(=ラスト)にやってくる〇〇〇〇〇〇。
    お楽しみのために伏せておきます。
    ふぉーっと感心して読み終えました。
    頭が冴えているときにオススメ。

  • 探偵が解決した事件を、数理論理学で検証する、というのは新しく面白かったです。
    ゲーデルの不完全性定理、ウカシェヴィチの公理、バナッハ=タルスキの定理など…ちんぷんかんぷんでもさすが東大、わからなくても十分楽しめました。
    日常に数学を、こんなに生かせるとわかれば高校時代にもう少し勉強してたのになあ…

  • 探偵の推理を検証するメタ探偵・数理論理学者の硯と、甥の森帖詠彦コンビが活躍する連作短編集。
    それぞれの短編に登場する探偵たちも超個性的な曲者ばかり。
    連作短編ならではの全体におよぶ最後のもうひとひねりもお見事(ひっかかりも雲散霧消)。
    解説にも書かれていたが本書の目玉である「数理論理学」による検証が難解で、その過程にカタルシスがないのが玉に瑕か。
    著者の作品は本書以外にも読んでいるが、ラノベ的会話のやりとりにおけるユーモアセンスがずば抜けていると思う。一度たりとも浮いてしまったり、すべってしまった場面に遭遇した記憶がない。

  • その可能性は既に考えたの始まりの物語!

    とは言うもののオッドアイで頭脳明晰!そして借金まみれの探偵 上苙丞!
    今回も理路整然と全てを否定し一番正しい答えを導き出したかと思いきや・・・


    本作の主人公は森帖詠彦、殺人事件に巻き込まれやすい大学生!
    彼は個性的な探偵達が解き明かした事件を叔母の硯さんに相談に行く!?
    硯さんはかなりの資産家で童顔の美女で論理学の申し子!少ないヒントで最適解にたどり着く安楽椅子探偵!!?

    詠彦君が持って来る解決済みの事件を硯さんが検証すると言う新しい構図のミステリー!

    本シリーズはギャグ漫画のようなコミカルさが有りテンポが良い、しかし論理の問題は・・・

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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