- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065160435
作品紹介・あらすじ
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!
感想・レビュー・書評
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ハザードマップを作るのを観光地は嫌がるが、20万以上の麓住人だけでなく多くの観光客の避難のために様々な事態を想定して避難経路の想定は不可欠/火山灰は粉末ガラス類似で、空中にあると航空機の飛行が不能。道路上にあるとクルマの走行が困難となる。噴火の空電で電波障害も起こりネット接続など通信も困難になるかもしれない/放射能という見えない脅威「だけ」の原発事故避難でも数々の不手際があった。噴煙、火山弾、溶岩流、火砕流、に加え道路途絶など地震被害が加わり想定上限以内でも首都機能が麻痺する事態が考えられるが対策はあるか
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文章は一般向けに分かり易く、図も豊富でこれをベースに行政が発表するハザードマップをアップロードしていけば、富士山噴火に対する防災対策はある程度取れるのではないだろうか。
静岡や山梨、関東に住んでいなくても、活火山の周辺に住む人にとって読んでおいて損はしない一冊だと思う。
ジュンク堂書店草津店にて購入。 -
2030~2040年の間に確実に南海トラフ大地震が起こると思っておいた方がよい。
地震に対する対策は東日本大震災の経験もあり、ある程度できるだろう。しかし富士山噴火に対する対策は現在のところ逃げることしか思い付かない。
富士山は噴火しないだろうというのは根拠のない楽観的観測だ。富士山も過去の歴史を見ればいつか確実に噴火する。しかも南海トラフと連動する可能性が高い。最悪、山体崩壊もあり得る。経済損失は計り知れない。
常に対策を考え続けることが大切だ。考えているか考えていないかが生死を分ける。 -
地学の専門家がこれから起きるであろう富士山噴火さらには南海地震について詳細に述べた本。影響範囲を幅広く記載してるあたり、非常に有用な本ではないだろうか。下手なハザードマップより参考になると思う。
私は鹿児島の人間でもなければ、噴火に立ち会ったことはないが、この本を読んで、自然災害には備えたいと思った。 -
息子が地球科学科を受験するというので、読んでみた。科学の入門書はやはり定番ブルーバックスでしょと、中でも出版年が新しい物を選択。著者は地学のみならず科学の伝道師として広くご活躍されている先生のようです。確かに読みやすく分かりやすかった。
仕事上、国の防災会議が出す地震発生確率の長期評価や津波の被害想定、自治体のハザードマップや地域防災計画に目を通してはいて、自然災害については一通り分かったつもりになっていたが、こうして体系的に噴火や地震という事象について読んでみると、表面的な結果だけをなぞっていたんだなという自らの浅学さが分かる。専門家ではないので、すべてを知る必要はないが、専門家たちがどのようなモデルや調査手法を用いていることは知っておくべきかなと。予測や想定の数字を小難しい解析をして出してはいるけど、そもそも論としてモデルや調査精度がどうなのよ?という事実もありそうだし。
地学だけの話じゃなくて、コロナ絡みで医学に対してはそれってどうなのよと疑ってみる人が増えたんじゃないか(あくまで科学的にね、感情的ではなく)。そしてそれは健全な方向性だと思う。
ひとつ疑問だったのは火山灰でコンピュータが壊れ、車のフィルターが詰まるとあったが、桜島から火山灰が日常的に降ってる鹿児島はコンピュータの故障率やエアフィルターの交換頻度が高いんだろうか?それとも建物や車が対策済みだったりする?
被災すればそれどころじゃないんで不謹慎ですが、地学ってホットな分野で面白いかもね。息子も面白いと思って学んでくれればよいなー。ま、その前に受かってもらわないとだけど。
→後日談:無事合格。ヘルメット買ってあげないとな -
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「溶岩流」果たしてどこまで到達するのか…「富士山が噴火した」ときの「衝撃的な被害規模」(鎌田 浩毅) | ブルーバックス | 講談社(1/5...「溶岩流」果たしてどこまで到達するのか…「富士山が噴火した」ときの「衝撃的な被害規模」(鎌田 浩毅) | ブルーバックス | 講談社(1/5)
https://gendai.media/articles/-/1054352023/02/13
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基礎的な部分からかなり専門的な部分にまで踏み込んで火山と地震について述べられていた。
3.11はそれだけでインパクトが大き過ぎて、その4日後に富士山直下でM6.4、最大震度6弱の地震があったことは知らなかった。それ以降、山体が側火口のある北西ー南東ラインと直角の北東ー南西方向に伸びているらしく、宝永噴火から300年の沈黙もどうなることやら…。
2030年プラスマイナス5年のうちに南海トラフ地震が起きる可能性が高いとあったので専門家にはその被害をできるだけ少なくする対策を練ってもらい、一個人はそれに備えてやれることをやっておくしかないように思いました。「正しく恐れる」ことが大事なのだね。
7000年前の縄文日本人は鹿児島沖の薩摩硫黄島のカルデラ型巨大噴火で絶滅したらしいし、自分が生きているときにそんな日本の危機が起きちゃうのだろうか…。
新型コロナもなかなかだけど、そんな時代の変遷を冷静に目撃できる準備を物質的にも心理的にも用意しておこう。