- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065164907
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戦国の教科書 天野純希ほか著 歴史の勘所が学べる短編集
2019/9/7付日本経済新聞 朝刊
戦国時代を象徴する言葉に「下克上」や「軍師」がある。それを歴史作家の矢野隆は黒田官兵衛を主人公とする「一時の主」という短編小説で"解説"する。豊臣秀吉が自分の死後、天下を簒奪(さんだつ)する男として官兵衛を挙げていたという話に始まり、関ケ原の戦いにおける官兵衛・長政父子の謀議へと展開する。
ほかに木下昌輝、天野純希、武川佑、澤田瞳子、今村翔吾という気鋭の作家たちが、戦国を知る上で重要なテーマに基づき短編を書き下ろした。「合戦の作法」を担当した木下は「又左の首取り」で前田利家が織田信長に続き「礼」に目覚める姿を描く。「宗教・文化」担当の澤田は、秀吉という権力者に左右される僧侶、応其を主人公とする「蠅(はえ)」を執筆した。
文芸評論家の末國善己による「解説・ブックガイド」も興味深い。例えば、各地域で独自の「家中」を持ち、年貢徴収や公事(裁判)をしていた「国衆」を取り上げ「最近の歴史小説では、こうした国衆の研究の発展に伴い、国衆に気を使う戦国大名を描いた作品が増えてきている」と記す。
史実に基づきながらも、虚実のはざまで勝負するのが歴史小説とされる。そんな物語の面白さを味わいながら、歴史の勘所が学べるアンソロジーである。「幕末」など続編にも期待したい。(講談社・1500円) -
短編小説+豆知識+他の小説の紹介、という構成が読みやすい。と、思いましたが、豆知識部分はもうちょっとわかりやすい方が…とはいえ、大事なところは進研ゼミのようにマーカーが引いてあるので、そこを読んでも大体はわかります。