となりのアブダラくん

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 217
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065175743

作品紹介・あらすじ

自分の趣味を人に知られたくない、悩める小6男子。ある日、日本語を話せないパキスタンからの転校生のお世話係にさせられたのだけれど……。その子は、宗教が違うし、文化も、見た目もちがう。そもそも、うまく話が通じないのに、どうやってわかり合うんだよ? ひとつひとつ大切なことに気づかされる、さわやかでワクワクがいっぱいのお話です。

感想・レビュー・書評

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  • 小学高学年からの児童書だけど、大人にも読んでもらいたい作品です。
    ある日、パキスタンからの転校生がやってきて、その転校生がムスリムであることから、浮いた存在になります。主人公の男の子は彼の世話係を任命され徐々に友達になっていきますが、まわりの目が怖くて逃げてしまい、どうすればよいか迷うというお話。
    この中で、どこにでもいるような『母親』がでてきて、かなり腹が立ちました。主人公の両親も転校生に対して理解がなく、腹が立ちます。
    でも理解がないのはどうしてなのか?
    理解してもらうにはどうすればいいのか?
    この作品を読んで、そんな事を含め、人としての基本的なことや、私たちが忘れているようなことを教わりました。
    親子で読んで、ちょっと考えてみるのもいいのではないでしょうか?
    いい作品でした!

  • 率直に言って悪くはないが、?な点が多かった。
    もちろん、異文化、多様性の共存をテーマにしている点はとても重要だと思うが、物語の細部まで良く練って作られていると良かったのにと思いました。

    パキスタンからきたアブダラ君は、主人公の優柔不断な小学6年生とは全く違うタイプ。先生に言われるままにアブダラくんのお世話係になってしまい、お祈りの為に部屋を開けてあげたりしているのに、ありがとうも言わない。モヤモヤしながら過ごすが、結局、習慣や認識が違っていて、心を開けば友達になれるってことなんだけど、母国語が日本語ではない子のための先生の態度とか、いくら6年生でも1人の子の負担が重すぎること、校長が最後にいい顔をしているが、その前の段階でそんなに本質のわかっている人物像ではなかったことなど、腑に落ちなかった。

  • 児童書というのはとても考えられて書かれているので、どれもこれもいい本ばかりです。
    この本はイスラム圏の子供が転校して、異文化との交流を描いている作品なのですが、リアルだなと思うのが、言葉が分からない、片言である事でその人を一人の人間として見ず、子供のように扱ってしまうことありますよね。特に片言で話す人をかわいく感じてしまったりしますが、母国語を完全に扱えて、多国語を片言というのは僕ら言語弱者からすると上手なはず。それなのに半人前の人間と相対しているような錯覚が生まれてしまいます。
    ブレイディみかこさんの本の中で「他人の靴を履いてみる」という言葉がありますが、共感ではなく、自分からその境遇になる事を想像できる力が大事だと思います。

  • 「自分がほかのひとと違うと思って苦しくなったり、はずかしいと思ったりしたことはありませんか?」
    こう尋ねられて思い当たることのある人は少なくはないはず。
    そんなに簡単じゃない異文化理解、唯一の正解なんてどこにもない多文化共生の現実を、ひとりの少年の視点からていねいにえがき、でも怖がらずに飛びこんでみようよ、と背中を押してくれそうな一冊。
    少し前に出たナディ『ふるさとって呼んでもいいですか』と同じように、小学校高学年から物語を楽しみながらさまざまな知識や情報を得て考えを深められるおすすめ作品といえそう。
    それにしても、この本に出てきたような「多文化共生コーディネーター」がどこの学校にも配置されて、海外ルーツの当事者だけでなく、いろんな悩みを抱えた子ども(や教師や保護者)を励まし支えてくれるようになるといいなぁ…

  • 転校生はパキスタンから来たイスラム教徒。
    みんなと違うってどういうこと? 配慮するのは特別扱い? 合わせないのはワガママ? お互いガマンするのでなく、きいてみよう、伝えよう。
    知らないことは怖いこと。だからブラックボックスに手を突っ込もう。

  • 編み物が好きな小学6年生、大場晴夜のクラスに、パキスタンからの転校生アブドゥがやってくる。晴夜は、イスラム教徒であるアブドゥのお世話係になったことで、クラスから浮いてしまう。
    アブドゥやその妹アシールを巡って、学校では、様々ないじめや事件が起こるが、晴夜は、彼と友達として関わる中で、ありのままの自分でいていいのだというこに気がつき、学校中にイスラム教について知ってもらうため、行動を起こす。
    外国ルーツの子どもたちが、日本の学校にやってくることで経験する摩擦や葛藤、誤解、偏見、不安などが、上手く物語として表現されていて、異文化が接触するときに起こる問題の一端に触れることのできる作品だと思う。特に、異文化感が際立つ「イスラム教徒」の子の存在によって、これまで学校の中で目立ってこなかった、他の外国ルーツの子どもたちの困りも現れてくる所など、よかった。

    ただ、晴夜をはじめ、学校に変化をもたらす多文化コーディネーターのネコスケ先生のキャラ造形や、アブドゥが最後にウルドゥー語でスピーチをするという大団円に向けた予定調和的な展開が、少し引っかかった。終始、晴夜の視点から語られるため、日本にやってきたアブドゥの葛藤が背景化して、晴夜の成長の話になっていることも少し違和感が残った。

    ただ、髪が赤いことでいじめられてしまうあんずや、妹とアシールの関係など、周囲の登場人物たちの動向も面白く、また、編み物が好きだと言い出せない晴夜の気持ちなど、共感しやすく、とてもよい物語だったように思う。

  • 最後のゴモットモ校長先生の言葉が良い。

    文化の違いを子ども達に分かりやすく伝えるには良い作品。
    ハルと美夜のような兄妹が現実に居るのか?と考えると、ここまで単純ではないと思う。
    そのため、物語としては星⭐️3にしました。

  • 「知らないからこわい。こわいからって、だれかを傷つけるのはーー」
    人と人が共に理解しあうための、基本の本。

    大切な本の一冊になった。

  • パキスタン人のイスラム教徒の転校生のお世話係になった主人公。異文化への接し方、受け止め方、多様性の現在を象徴したような物語。

  • パキスタンからの来た転校生アブダラくんのお世話係にされたハル。
    言葉、宗教、文化、食事、見た目など違う。言葉も分からないのにどうやって分かりあうの…⁈
    自分も普通じゃないんだとあらためて気付くかも。

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著者プロフィール

作 黒川裕子(くろかわ・ゆうこ)
大阪府生まれ。京都外国語大学学士、エディンバラ大学修士。2017年に第58回講談社児童文学新人賞佳作入選、『奏のフォルテ』でデビュー。小学生向けから中高生向けまで、幅広いテーマの児童書を執筆している。おもな作品に『天を掃け』『となりのアブダラくん』『いちご×ロック』(すべて講談社)などがある。千葉県市川市在住。

「2021年 『#マイネーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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