仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065199350

作品紹介・あらすじ

新型コロナウイルスのパンデミックに伴い、
グーグルやアップル、フェイスブックなど巨大IT企業が、
得意のクラウド業務システムを自社活用して、
従業員にテレワーク(在宅勤務)を呼びかけた。

にもかかわらず、その試みが
必ずしもうまくいっていないのはなぜか?

グーグルとアマゾンという、世界をリードする2大企業は
なぜAIを駆使した「仕事自動化」より、
精神的・人間的な要素を重要視しているのか?

・・・・・

いま世界各国で増えている新たな職業、
アメリカで自動運転車が憎まれている理由、
医療に応用される「ワトソン」の限界とは?

はたして、AIが切り開く未来は、
本当に私たちを「幸せ」にするのだろうか?

・・・・・

AIやロボットが人間の労働者を置き換えるのではなく、
両者が共存共栄を図るにはどうしたらいいか。

人と高度技術の関係が今ほど問われる時代はかつてなかったでしょう。
それを考える一助になることを願って、この本は書かれました。

本書はまた、ここ数年で急激に盛り上がったAIブームの後日談、
ないしは冷静な評価・総括でもあります。

筆者は2015年に著した『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』(講談社現代新書)の中で、
高度な数理統計学や脳科学をベースに急激な進化を遂げたディープラーニング、
あるいは世界の自動車産業を根底から覆す自動運転技術、
さらにはグーグルが開発中の人型ロボットなどAI開発の最前線を紹介しました。

今、振り返れば当時はAIブームの走りとも言える時期でしたが、
その後、ブームが過熱する中で、AIが全人類の知能を凌駕するシンギュラリティ(技術的特異点)や
AI万能論、あるいはAIやロボットに仕事を奪われる新種の雇用破壊、
はてはAIによる人類絶滅の危機など、
プラスとマイナス両極端のイメージが社会に形成されました。

それらの中には、現実離れしたものも少なくありません。

当時から5年余りが経過した今、実際のAIあるいは自動運転車や次世代ロボットは
どんなフェーズにあるのでしょうか?

本書はそれらの現状や実力をつぶさに見ていきます。

・・・・・

【本書のおもな内容】
第1章 誰のための技術革新なのか?
第2章 自動運転車はなぜ人に憎まれるのか?
第3章 AIロボットの夢と現実
第4章 医療に応用されるAI
第5章 私たちの生産性や創造性はどう引き出されるのか

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    はじめに
    第1章   誰のための技術革新なのか?~AIに翻弄される世界の労働者たち
    第2章   自動運転車はなぜ人に憎まれるのか?~ギグ・エコノミーの先にあるもの
    第3章   AIロボットの夢と現実~我々(人間の労働者)と競う実力はあるのか?
    第4章   医療に応用されるAI~人から学ぶ人工知能は人(師)を超えられるのか?
    第5章  私たちの生産性や創造性はどう引き出されるのか~GoogleとAmazonの働き方改革

    <内容>
    科学系ライターを経て情報セキュリティ大学院客員准教授。現状のAIについて、バラ色ではなく、かといって批判一辺倒でもなく、わりと客観的に書かれている本。5年後には笑い話かもしれないが、このルポは価値があるのではないか?

  • この種の話題は怪しい自称ITジャーナリストがいい加減な取材といい加減な理解でトンデモな話になることがままあるのだが,この著者はちゃんと取材して,理解して書いている。

    断片的にしか知らなかった裏話的な話題も面白かった。

    ラジオの番組で知ってAmazonで購入

  • 自動運転のような未来のAI開発を縁の下で支えているが、ビッグデータ工場で働く多数のラベル付けワーカー

    多面的で奥深い能力の中で、これまでAIが目立った成果を上げたのはパターン認識のみ

    人から何かを学んで一人前の医療用AIに成長するという点においてワトソンとディープラーニングは基本的に同じ

    ワトソンが人からマンでいるのは宣言的知識
    ディープラーニングが人から学んでいるのは手続き的知識

    暗黙知 言葉で明示的に説明するのが難しい知識 ディープラーニングの発達によって、そうした暗黙知までも実装できるようになった

    AIが何らかの診断結果や治療法を提示したとしても、そこに至った理由や経緯を説明できなければ、患者やその家族の理解を得られない

    グーグル プロジェクト・アリストテレスでわかったこと

    社員一人一人が会社で本来の自分をさらけ出すことができること、そして、それを受け入れるための「心理的安全性」、つまり他者への心遣いや共感、理解力を醸成することが、長い目で見ればチームの生産性を高めることにつながる

    医師の診断 過去に無数に患部画像を見てきた経験に基づいて、半ば直感的に診断している これはまさしく手続き的知識、あるいは暗黙知に該当する その点では医師の頭の中もブラックボックスといえるわけで、一概にAIだけを責めるのは不公平

    アマゾン 給与水準きめるため12段階のレベルがある
    レベル1−3 配送センターのアルバイトや契約社員
    4 フルタイムの正規従業員
    レベル12がジェフ・ベゾス

    制限付き株式 restricted stock

    アマゾン Lab126
    Aはキンドル
    B ファイアフォン 失敗
    C AR失敗
    D エコー

  • 背ラベル:366-コ

  • 内容としては、AIやテクノロジーの話よりもその背景となる企業の利益追求の課題という話。メリットばかりではないよ、というデメリット中心なので、そういう負の要素を知りたい人にはいいかも。
    ただ、両論では書かれていないことと、警鐘ばかり鳴らしても、建設的なアプローチではないよなと個人的には感じたので、これだけを読むはいかがなものかと。
    シン・ニッポンのような本との違いは感じる。(あれもポジティブ寄りかもしれないけど)

  • AIが発達した今後、世界的に仕事がどう変革するかを描いた一冊。

    著者は日本の未来に希望的だが、実際のところは難しいのではないかと感じている。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/635984

  • 「こんなことを言ったらチームメートから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性」と呼ばれる、こうした安らかな雰囲気をチーム内ではぐくめるかどうかが、成功のカギを握っている。

  • AIは規則に沿うことも計算出来るけど、考えることができない。それ故、設計によって今ある差別を助長しかねない、というのが新鮮だった。
    つい夢の技術だと思いがちだけど、そこにあるのは現実なんだよなぁ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745772

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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