叙述トリック短編集 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1446
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065230879

作品紹介・あらすじ

*注意! この短編集はすべての短編に叙述トリックが含まれています。騙されないよう、気をつけてお読みください。本格ミステリ界の旗手が仕掛ける前代未聞の読者への挑戦状!


*注意! この短編集はすべての短編に叙述トリックが含まれています。騙されないよう、気をつけてお読みください。

本格ミステリ界の旗手が仕掛ける前代未聞の読者への挑戦状!

よく「叙述トリックはアンフェアだ」と言われてしまいます。これが叙述トリックというものの泣きどころです。
では、アンフェアにならずに叙述トリックを書く方法はないのでしょうか?
答えはノーです。最初に「この短編集はすべての話に叙述トリックが入っています」と断る。そうすれば皆、注意して読みますし、後出しではなくなります。
問題は「それで本当に読者を騙せるのか?」という点です。最初に「叙述トリックが入っています」と断ってしまったら、それ自体がすでに大胆なネタバレであり、読者は簡単に真相を見抜いてしまうのではないでしょうか?
そこに挑戦したのが本書です。果たして、この挑戦は無謀なのでしょうか? そうでもないのでしょうか?その答えは、皆様が本書の事件を解き明かせるかどうか、で決まります。(「読者への挑戦状」より一部抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • 叙述トリックと最初から示されている一冊。
    最初は叙述トリックとは一体何なのかから始まり、読むときにはどんな所に気をつければいいのかという所まで明かした上で展開されていく。


    ここからはネタバレ
    まさか、「別紙」がそれぞれのストーリーで全く別の人物として出ていたというのがとてもびっくりした。そもそも「別紙」という名字が珍しいものである事、趣味嗜好が全員似たり寄ったりだったのでそれがよりミスリードを誘う形になっているのが面白い。
    共通して登場する人物が「別紙」ではなく「羽海」が毎回登場しているという落ちは最後の最後に気づいたのが、そこまで気づけなくてとても悔しかったです。
    そしてこのストーリー自体が「羽海」が子供から大人になるまでの時系列で描かれている所がとても面白かったです。もしかしたら、この本の表紙に出てくる人たちは各ストーリーに出てくる「羽海」なのかなと、そうならば、表紙から二重の意味で騙されていたのと思いました。

  • 頭からネタバレされているようなものなのに
    しっかり騙されてしまう。

    作りが巧みでした、、

    あとがきも含めて読むのがいいです。

  • あらかじめ叙述トリックであると看板を掲げて、「だまされないように」と念押ししている時点で、絶対に見抜かれないように細心の注意を払って作ってあるんだろうなぁという感じ。もちろん、ぜんせんトリックなんか分からないけど、何がなんでも見破られるわけにはいかない"仕掛け"に細心の注意を払ってあるのはひしひしと感じるし、単純に謎がそんなにおもしろくない。
    あとどうして叙述トリックものって、奇抜なキャラが使われるのかな?目眩ましになるからなのかな?イライラさせられるだけで、全く魅力を感じない…そうやって真実から目をそらさせるのが狙いなのだろうか?
    とりあえず仕掛けは凝っていたし、本のカバー&帯も騙し絵になっていたところを評価して星三つ。

  • この短編集は『叙述トリック短編集』です。収録されている短編にはすべて「叙述トリック」が含まれていますので、騙されぬようお読みください。


    最初から「全編に叙述トリックを使った短編集ですよ!」と宣言されているミステリ短編集。
    叙述トリックが使われている小説というと、予備知識なく出会うのが理想で、誰かから紹介されると「うーん、お勧めなんだけどでも何も知らないで読むのが良いと思い! あでもこれもネタバレになるのかな……」みたいな描写で「あっ……(察し)」となるのがお約束みたいなところありますが、最初から作者さんに開示されているというのはそれだけで新しい感じがありますね。
    叙述トリックは読者をいかに騙すかに重きが置かれている雰囲気がありますが、正々堂々と勝負! といった感じで好感が持てます。
    ただ、叙述トリックだと開示されている故逆に答えが明らかにされた時の驚きが薄くなってしまい、そこは少し残念です。

    全体的にドタバタした感じの、日常の謎ミステリ。叙述トリックがメインで、個々の事件のトリック自体は割とバカミス的なノリなので、本格的なミステリファンの方には物足りなそうですが、作者さんが楽しく書いたんだろうな~という雰囲気が伝わってきて楽しく読めました。

  • どの話も良く考えられていて面白い。やられたーと思ったのは「貧乏荘の怪事件」。自分がいかにちゃんと読んでないのかがよく分かった。

  • 似鳥さんの遊び心満載の短編集。
    最初から「倒述トリックで騙されるお話ですよ!」と大胆に宣言。
    読者を騙そうと色々なパターンの仕掛けがされていますが…
    コミカルで軽いタッチだし短編だし、謎を解こうと身構えずに読んだ方が楽しめるような気がしました。なかなかの意欲作です。

    ただ倒述ミステリーは、それと気付かずにいて一転して驚かされるというところに読書の楽しさがあるのになぁ…と改めて思ってしまいました(笑)

  • まあまあ楽しめました。
    別紙さんの雰囲気がいろいろ変わるな?と思ったら笑
    「閉じられた三人と二人」のオチが一番笑えました。
    (いや、笑う小説じゃないんですけど)

  • ’21年10月1日、読了。図書館本。似鳥鶏さんの作品、初です。

    うーん…どうだろう?なんとか最後まで読んで(途中で止めようと、何度か考えました)、騙されましたし、うまく出来てる、とは思いましたが…何か、ちょっと「違う」という感が…。

    確かに「叙述トリック」なんですけど…僕は、満足できなかったです。いわゆる普通の「叙述トリック」ではない、と。いつもの、他の、好きな「叙述トリック」物と比べて、「うわぁーー」という驚き&快感(?)が、ありませんでした。

    でも、この「普通でない感じ」が、ファンの方々は好きなんだろうなぁ、とも思えました。ライトなかんじ、というか…。この人の他の作品も、こんな感じなのかな?

    まあ、僕には合わなかった、という事なんでしょう。矛盾しますが、トリックは、良くできているなぁ、と思いました。

  • 叙述となっているため少し回りくどさを感じ、読むのに時間がかかってしまいましたが、騙されることを前提に読んでいたのでそれなりに楽しめました。
    ここまで叙述トリックに重きを置く取り組みが著者のすごいところだと思います。

  • タイトルとおりの叙述トリックの短編集。最後以外のトリック自体はまぁ理解できるが最後はなかなかの仕掛け。試みとして面白い。

    どうしても短編集なのでキャラや背景にのめりこめずに、いまひとつ熱中ができませんでした。また文章も、高いレベルで書いたブログ小説のような印象で、理解できるようで、理解しづらく、少々読みとるのが大変でした。自分だけならごめんなさい。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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