私たちは空になれない

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 120
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065261439

作品紹介・あらすじ

「時は確実に、私を大人へ押し出そうとしている。」

衝動的に、姉の形見のペンダントを、川に放ってしまった「育音」。
そんな時に声をかけてきたのが、青年「沖田」だった。
レンタル役者を生業としている彼に、「育音」は「共犯者」を演じてもらいたいと願う。
「沖田」の仕事を手伝い、かかわるうちに、「育音」の想いは次第に変化してーー

「俺に演じてほしいのはどんな役?」「共犯者」
切ない衝撃が胸を打つ、メフィスト賞作家快心の傑作青春ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 七尾とアテナの物語がいつか重なって、
    いつか終わるときにハッピーエンドであることを願ってしまう。
    アテナがハッピーエンドを願うのはどこへ向かうかわからない自分の将来への不安とお母さんを傷つけたくない切実な願いであるような気がする。
    七尾もアテナも誰かのために偽物を演じていて、
    だけど違う側面から見るとちゃんと本物でもある。
    本物でも偽物でもない何にも分類されない瞬間もある。
    七尾がアパートでアテナにキスした瞬間は、
    どちらにも分類されない瞬間だったと思う。

  • 岡本歌織さんの装丁からチョイス。冒頭の方はなんだこれ……状態だったが、後半に進むにつれ登場人物の秘密が明かされ、腑に落ちた。

  • 表紙が美しかったから手に取った。

    「空」っなんだろうって思いながら読んだ。
    手に届かないもの?理想?

    周りが求める「自分」を演じることは相手のとって救いになる。だけど、その「自分」というラベルによって自分を苦しめる必要はないんだなと知って心が少し軽くなった。

  • 違和感を覚えたのは、はじめの数ページ。あとはするすると読めてしまった。歪で一筋縄では行かなさそうに見えて、実はとっても純粋な青春小説。きちんと現代を切り取って。

  • Amazonの紹介より
    衝動的に、姉の形見のペンダントを、川に放ってしまった「育音」。
    そんな時に声をかけてきたのが、青年「沖田」だった。
    レンタル役者を生業としている彼に、「育音」は「共犯者」を演じてもらいたいと願う。
    「沖田」の仕事を手伝い、かかわるうちに、「育音」の想いは次第に変化してーー
    「俺に演じてほしいのはどんな役?」「共犯者」
    切ない衝撃が胸を打つ、メフィスト賞作家快心の傑作青春ミステリー!


    レンタルを依頼してくる人が登場するたびに主要人物の裏の顔が明らかになっていくのですが、その秘密に心苦しくなりました。全てを理解することは難しかったですが、みんな、心が繊細だなと感じました。

    なかなか周囲に打ち明けられない「秘密」をもつ登場人物達が、どのようにして「心の溝」を埋めていくのか?
    それぞれが自分自身と向き合い、苦悩しながらも日々を過ごしている姿が、微笑ましくもあり、幸せになってほしいと応援したくもなりました。

    後半での秘密が明らかになる展開は、驚きの連続でした。
    果たして、それぞれの登場人物が言う嘘は悪なのか?
    相手を傷つかせないためについた嘘なのに、その影響に翻弄される描写が、何とも切なく胸を打ちました。

    ミステリーではあるものの、それぞれの事情に胸を打たれるヒューマンドラマとしても楽しめた作品でした。

  • 登場人物やシチュエーションが決まっていて、そこに事件が起こる連作集だと思って最初の3章ほど読んだ。テレビドラマの「相棒」や「はぐれ刑事」みたいな。
    ところが4章以降で登場人物の秘密が明かされるにつれ、そのご都合主義的な話の運びに、なんだかな…と倦んだ。入れ子式のナゾのつもりだろうけれど、主人公のアテナについてはヘンさが透けて見えるし。「レンタル役者」という設定も、「素の自分」も既視感だらけだし。アテナの母親の類型的なところもうんざり。


    読文

  • 2021/12/18読了

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著者プロフィール

3月7日、東京都調布市生まれ。『渦巻く回廊の鎮魂曲 霊媒探偵アーネスト』で第49回メフィスト賞を受賞し、デビュー。ほかの著作に、『私たちは空になれない』などがある。

「2023年 『獏の掃除屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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