人でなしの櫻

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 367
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065269817

感想・レビュー・書評

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  • 読者を物語に引き込む力のある作家さん。大好きです。

    けど今回の作品は読了し、一晩明けてみると、
    絵を描く情熱と、凄まじい性欲の内容だったような気がする。

    死ぬまで描くんや!
    死ぬまでヤルんや!
    どっちもかい!
    このど変態!

    もうちょっと心理描写の深掘りしてくれた方が、わたしは満たされるんだけどな。

  • 図書館でパラリとめくったページに「長谷川等伯」とあったので、つい借りてきちゃったけど、なによ、現代もののミステリーじゃないの。しかも猟奇系。こういうの、山ほど読んだので、もういいですー。

  •  読む人を選ぶのかもしれない。
     いたたまれない程の苦痛は、読む時には感じない。むしろ、遠田作品にしては、サラサラと読めてしまう。
     おそらくは、憎しみをぶつけ合う者達が、生きてぶつかり合っていないからだろう。

  • 表現力はさすがの遠田さんといった感じ。内容は理解不能で、芸術という大義名分のもと人を蹂躙する輩たちの物語。登場人物がまさに「人でなし」のオンパレード。絵を描くという自己満足、小説にし注目を浴びたい欲など…どなたさんもまあ~と言った感じ。最後まで救いなく終わってしまって、この作品から何を受け取ればいいのかわからない。あまり焦点は当てられなかったけど、頭のおかしい人たちに狂わされた一つの家族が不憫。

  • 08月-09。3.5点。
    天才料理人を父に持つ、日本画家の主人公。父親が亡くなったと知らせを受け、現場に行くと監禁された少女が。。。

    遠田潤子らしい、赤松利市とは違うドロドロさ。でも引き込まれるように読む。面白かった。

  • 読み終わった。
    後味悪い。

    娘を持つ親にはウケないと思う。
    話、オチが見えてるのに長い。

    勝手すぎる変態趣味の男たちに遊ばれた女の子が可哀想。

  • 壮絶なお話でした。読んでいて息が詰まるような感覚、でも先が気になり一気に読みすすめました。遠田先生の書く親子はそれぞれの作品でさまざまな問題を私達に投げかけてくる、どれを読んでもすべて辛すぎる。

  • 少女を誘拐監禁して自らの芸術を高めようとする親子の物語。

    誘拐監禁は一人の人生を破滅させる行為で、周囲の人たちも不幸になる犯罪です。
    映画でシリーズ化された「完全なる飼育」も見ていないのですが、自分としては嫌いなテーマです。
    ただ、遠田さんらしく腥く艶かしくどす黒い人間の業をファンタジックな世界観であぶりだしているところだけはさすがだと思いました。

  • 江戸川乱歩に「人でなしの恋」という作品がある。本作にそれと同じ「人間の業」を感じた。
    途中までは世の男達が夢見るファンタジーを描いたものかと思った。清秀の何もかもかなぐり捨てた行動から鬼気迫るものとなり、蓮子の造形も神秘性を帯びる。画家には自己を突き動かす衝動が必要。清秀が蓮子に見たものはその「スイッチ」だったわけだ。
    作中作で「蓮情」が挿入されている。俗物の天才が身内の秘部を暴く。彼は清秀にとっては落ちた偶像に成り下がるが、そのおかげで清秀は自分が観てるものを自覚する。
    画廊主の浅田檀の存在が救いだ。MoMAが買った「人でなし」を願わくば観たい。

  • 遠田劇場、狂い咲き。

    父親と絶縁状態だった日本画家の竹井清秀に掛かって来た一本の電話。
    駆け付けた先で目にしたのは父親の遺体と八歳で誘拐され十一年間監禁されていた全裸で震える少女。

    読者の不快感など想定内だと言わんばかりに物語の衝撃度は更に加速する。

    忌み嫌いながらも己の空洞を埋めるかの如く父の生き様をなぞる清秀。
    芸術へ向かう迸る熱量と承認欲求、生への執着、あらゆる感情の渦が混然一体となって迫り来る。

    淫靡で禍々しい描写に息苦しさを伴う一方で清秀の哀しみが伝染し胸が詰まる。

    凄まじいまでの人間の業の深さに圧倒された。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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