- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065269817
感想・レビュー・書評
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遠田さん、銀花の世界からずいぶん冒険…文章から浮かぶ色彩と香りにうっとりしてるうちに急展開!芸術家の生き様は、確かに凡人には狂気を孕んでいるとしか思えないが、それでも誘拐、監禁という犯罪を肯定してまで芸術語るのはいかがなもの。美しいエンディング、「ひとでなし」という軽い言い回しにさらに大きな違和感。背徳、不条理と貶しておきながら、この評価…人間、理性・理屈では理解できない。渋谷大型書店のポップ“令和の失楽園だ!”大丈夫かぁ?でも手にしてしまったが…。
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最後まで濃密な空気に包まれるような感じだった。
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遠田潤子はいつも苦しい
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過剰なまでの愛憎劇は遠田さんの真骨頂だけど、ここまでの救いのなさは久しぶり。少女を誘拐し長期にわたり監禁する罪は、その深い洗脳が解放後も少女の生涯を変えてしまうことだろう。その意味で、康則と清秀のしたことに全く弁解の余地はない。そこに愛などなく、あるのはただ身勝手なご都合主義のみ。
親の愛に恵まれなかった過去も、何かを残したいという芸術家としての焦がれるほどの思いも、その行動を正当化する理由にはならない。あとに残るのは胸糞悪くなるような苦い思いだけ。
清秀父子のみならず、秘書も伯父も兄も、男が揃って自らの欲のために少女を利用しているのが不快で仕方ないし、犯罪に立脚した清秀の行為を、芸術の名の下に美化するような物語に徹頭徹尾気持ちの悪さがつきまとった。
被疑者死亡で不起訴?その作品をニューヨーク近代美術館が購入?ふざけるなだわ。