人生百年の教養 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065277218

作品紹介・あらすじ

自分の人生と戦い続けるためにーー老いてこそ真価を発揮する教養とは何か。
読書、音楽、外国語、老い……、ドストエフスキー研究の第一人者が多角的な見地から真の「教養」に迫る。

●時を経た「再読」が、老いてからの可能性を教えてくれる
●教養人の知識は、つねに「哲学」に裏付けられている
●苦手なもの、嫌いなものこそ可能性の泉となる
●大江健三郎と村上春樹から考える「教養の継承」
●難解な長編小説を読むコツは、冒頭三十ページの二度読み
●英語を学ぶことで失うもの、母語の重要性
●検索エンジンでの複数の語をぶつけあって生まれる「知」
●豹変を恐れるな、隣人の「愛」を模倣せよ
●老いをどう乗り越えるかーーエネルギー源としての「忘却」

本書の内容
序章   人は信念とともに若く
第一章  「教養」、すこやかな喜怒哀楽
第二章  少年時代 「私」という書物1
第三章  青春時代 「私」という書物2
第四章  「私は外国語が苦手」
第五章  モンタージュ的思考
第六章  実践の技法
第七章  俯瞰的思考
第八章  老いの作法

感想・レビュー・書評

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  • 亀山先生御自身の哲学と,そこに至るプロセスが語られている.結局哲学あるいは思想は,自らが試行錯誤する上で獲得する以外に方法はないので,高校生・大学生あたりがロールモデルとするために活用する書物だろうか.

  • やっと読み終わったー。時々、積読していたので、半年かかってしまった。
    外語大学長にして、ドストエフスキーの研究者。作者の教養と博学と、癖のあるものの考え方に蹴躓きながら、(凡人の私とは悩みのレベルが違いすぎるぅー)終章までたどり着いたら、いつのまにか卒業生への餞の言葉になっていた。
    とはいえ、沢山折り目をつけているので、参考にしたいことだらけだったことは確か。
    例えば「読者とは他者を受け入れること」。書くと身もふたもないが、作者の体験を通じて提示されるので、ごもっともですと敬服致すのです。

  • 「変えられることと変えられないことの境界を区別できること」「そして変えられないことは受け入れること」
    この人の話を聞いていると、文学や音楽というものが、将来自分を振り返ってみた時、かなり大事なものになる、それらから何を得たのか、見ることができたのか、考えることができたのか。自分も後半に入ったのは間違いないのだから、大袈裟でなく、残りの一日一日を考えながら生きたいと思った。

  • ドストエフスキーの訳書などで知られる亀山氏の教
    養について語られた自伝的著作です。

    そもそも教養とは何か。から始まり、自身にとって
    その教養を身につけるためにどのような人生を歩ん
    できたかを語ります。

    納得させられたのは、高校生の時からの読書量とそ
    の中身です。

    重厚な文学小説に挑んでいます。

    やっぱりその頃の読書は後の人間を形づけるのだな
    あと思い知らされます。

    ちなみに亀山氏の「教養とは?」の問いに対する答
    は「もっとも高価だけれど、もっとも安く手に入る
    最高のブランド品」だそうです。

  • 亀山氏というと、ドストエフスキーの翻訳が有名だね。いくつか本を読んでいるし、佐藤優氏との対談も読んでいる。本書は、亀山氏の読書を中心とした知の変遷。興味は惹かれつつ、ドストエフスキーとかロシア文学から感じられるカタサのようなものから、退屈なんじゃないかなぁなんて思ったものだけど、予想よりも面白かった。学生運動が華やかだった亀山氏の学生時代から、研究に向かう懊悩、ソ連に行ってスパイと間違えられてほんとに殺されるんじゃないかと思ったような体験など、引き込まれて読んだな。俺自身は夏目漱石の『こころ』は教科書以外未読なんだけど、十代で読んだときと、大人になってから読んだ印象がまったく変わっていたというあたり、読書人の成熟を感じられるエピソードだった。音楽や、大学人としての話、英語とのつきあい方など、話題も幅広く、楽しかった。

  • ちょっと難解。
    ロシア文学者の著者が教養について書いた内容。
    特に通底にドストエフスキーがあり。
    あまりよくわからないことが多かったです。

  • ロシア文学者であり東京外大学長である著者における教養とは?何が語られるのか、興味を持って読み始めた。人生百年と銘打ったタイトルから、どんな提言が出てくるのか、教養について、一般論的に本質論が展開されるかと思ったが、そんな期待は肩透かしにあった。著者の人生を辿る形で、ドストエフスキーとの関係性を底流に、個人史的な歩みの中で教養というものを捉えている。教養は個人の中で閉じるものでなく、他者との関係性をもって初めて生きるものである、という論旨は納得できる。
    還暦を過ぎたあたりからの教養に基づく人生観が語られ暗い印象が落ちてくるが、最後の段になって、ロシアのウクライナ侵攻に触れる段落には警句とすべき文言が見出される。

  • 人は信念とともに若く、疑念とともに老いる
    人は自信とともに若く、恐怖とともに老いる
    希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる
    教養というものは、現役で活躍しているときよりも、老境に入ってからその真価が問われる。家族と隣人と、同好の人とみずからの持てる知識と言葉によって、良い関係を築いていく
    長い人生を最後まで自信を持って生きていく支えをあらかじめ探し出しておく必要がある。
    長い人生を生きていくうえで、勉強なしで幸福になれるゾーンには広げられない

  •  最初はとっつきにくい本だったけど、内容の幅広い厚みのある人生の指南書て感じ。ドストエフスキーを縦糸に人生を横糸にして書いたしてあるが、色路教えられ勇気をもらい本を紹介してもらっている。
     これからも人生の伴奏者として百歳に向けて我々の檄文を寄せてほしい。
     若いころは酒とかけ事にのめりこんだと書いてあるけど何にのめりこんだのだろう。

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著者プロフィール

名古屋外国語大学 学長。ロシア文学・文化論。著書に『甦るフレーブニコフ』、『磔のロシア—スターリンと芸術家たち』(大佛次郎賞)、『ドストエフスキー 父殺しの文学』『熱狂とユーフォリア』『謎とき『悪霊』』『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』ほか。翻訳では、ドストエフスキーの五大長編(『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』)ほか、プラトーノフ『土台穴』など。なお、2015年には自身初となる小説『新カラマーゾフの兄弟』を刊行した。

「2023年 『愛、もしくは別れの夜に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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