千億の夜をこえて ―炎の蜃気楼(ミラージュ) 〈40〉 (コバルト文庫)
- 集英社 (2004年4月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086004121
作品紹介・あらすじ
直江に抱えられ、傷ついた身体で天御柱に向かった高耶。二人がその中で見たものは思念の歴史を刻む心御柱だった。過去を遡り、思念の激流に放り込まれた高耶は、懐かしい人の思念と出会い、導かれるまま魔王・信長を追う。一方、伊勢合戦は全国に飛び火し、苦戦する嶺次郎たちのもとに現代人の僧侶たちが集まった。壮大な"闇戦国"の果てに待つものとは!?「炎の蜃気楼」完結編。
感想・レビュー・書評
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最終巻、本屋で手に取ったときに震えていたことだけやたらと覚えております。
ページを捲るたびに血圧が上がるほどの興奮はしない歳になっていましたが、それでも最後は燃え尽きました。
高耶さんの、「約束、かなえられそうにない」で号泣し、それでも直江が足掻くだろう! と一縷の望みを抱きながら読んでいたのが悪かったのか、桜のシーンで茫然。
確かに作ったようなハッピーエンドは彼らには似合わないと思ったものの、ここに辿り着くまでの軌跡が濃密すぎたために、ここが彼らの終着点だとすぐには脳が認識しなかったのでしょう。
しかし…オリジナルアルバム、アニメDVD、OVAと、己の腐人生の中でもダントツに私財を投じたシリーズでした…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
苦しいけどやめられない読書ってのを初めて体験しました。
あまりに苦しくてのた打ち回りながら読了。
もっと若いころに読みたかったな。
涙は一滴もこぼれませんでしたが胸に突き刺さってます。
やりきれない。鬱入ってます。きっと一生忘れられない。
その後天啓を得て全てを納得。感謝の言葉しかありません。 -
嗚咽をこぼしながら本を読んだのなんて何年ぶりだろう。あははうふふな終わり方じゃないことは知っていたのだが、この終わり方はまったく想像していなかった(絶対に直江がどーにかしてくれるもんだと思ってた)。ラスト数頁になっても救いがあることを期待してた。
あの形が2人の望んだ「最上」なのかどうかはわからないけど、高耶と直江が生きた400年の結果としては「最上」だったんだと今は思う。つらいけど。かなしいけど。未だ消化できないけど。
学園サイキックアクションからはじまって、5巻あたりから執着ほも小説の体をなしてきて、いったいこの物語はどこに向かっていくんだろうと思ったものだが、40数冊を読み切って胸に残るのは個々の鮮やかな生。
高耶さんは最後まで優しくて、そんな高耶さんに出会えてよかった。読んでよかった! -
炎の蜃気楼40
いろいろな伏線を回収して物語が終了した。35巻の終わりで綾子が見たのは、燃料にされた冥界上杉軍だったのね。霊視ができる綾子だから見たということか。
高耶は死んだ。譲は岩になった。よく分からないのだけど、譲は何がしたかったんだ?
高坂は桓武天皇の頃の人だった。
涙なしには読めないという感想を読んでいたので期待していたのだが、予想通り高耶死亡直江は永久に換生し続けるというオチだったので、特に涙はなく、「お。予想が当たった」くらいの感慨しかない。
しかし、輪廻転生もしないルートとは意外だった。
直江は高耶を調伏しなかったのね。高耶の死は、普通に魂が消滅するのにまかせた完膚なきまでの死亡だった。だから、輪廻転生もしない。
だからこそ生前(なのか?換生していたとき。仰木高耶だったとき。)に願っていた「幸せに生きること」を自ら体現したと言えるのだろう。美しい終わり方である。
この作者さんのすごいところは、すみずみまで自己設定を貫き通しているところだな。
長編になればなるほど、当初用意しておいた設定を忘れて矛盾を書きだす作家も多い中、ちゃんと最後までキャラの設定や物語の中の世界観の設定を壊さないで書き続けた作者はすごいと思う。読んでいる方としては、(ときおり誤字脱字人名の書き間違いはあったけど)頭空っぽにして物語の世界に没頭できるのでよかった。
あと、歴史観。さすがに大学で史学部だっただけある。歴史が簒奪者側から記述されやすいことをちゃんとふまえている。
潮が死ぬとは思わなかったな。残念。魂だけになって四国へ行ってたりはしないのかな。
晴家は浄化してしまうのか。安田長秀と直江信綱だけになった先の話も読んでみたい気がするが、そこはもう作者さんは書かないだろうな。あとがきに「もう書きません」って書いてあるし。
心御柱から帰ってきた直江は、かっこいいなー。永久に換生し続けるっていう設定もロマンがあっておもしろい。
未来のイセにいた神官は、パラレルワールドの直江でOK?現在の直江が懐かしいと感じたのは、未来の直江神官の中にも高耶の魂のかけらが残っていたからということか。
そういえば、未回収とまではいかないけど、物語に一回も出てこなかったのが、直江の他人を換生させる能力だわ。
美奈子の体に高耶を換生させたっていうことは、回想シーンには出てきたけど、実際に使ったシーンは出てこなかった。
邂逅編、幕末編、昭和編あたりで出てくるのかね?あ、昭和編なら必ず出てくるか。美奈子が登場するし。 -
はー……読み終わったー……
結局これは直江のエゴの物語だったのかな……高耶さんまじ聖母でした。 -
ついに信長との戦いに決着がつき、完結。
長かった!
直江の最後の最後まで換生しつづけるという決心に、高耶への果てしない愛を感じて感動。
「永劫の孤独を、埋めてあまりあるほどの幸福を。」「私はもう充分にそれを授かってきた」
読んでよかったと思えた。