炎の蜃気楼シリーズ/番外編 Exaudi nos アウディ・ノス (コバルト文庫)
- 集英社 (1996年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086142731
作品紹介・あらすじ
直江、二十四歳。信長の『破魂波』に立ち向かった景虎の安否はわからない。長兄の照弘に頼まれて、すすり泣くという観音像を霊査した直江は、それが隠れ切支丹たちが礼拝したマリア観音であることに気づく。直江はその像に強い罪と後悔の念を感じ、興味をひかれていくが…。(『Exaudi nos』)他『GOLD WINNER』『夜を統べる瞳』収録。大人気『炎の蜃気楼』番外編。
感想・レビュー・書評
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アウディ・ノスとgold winnerだけが収録されていたら中古で買っていたかもしれない。アウディ・ノスは長崎のマリア観音を供養する話。キリシタン弾圧、棄教者の苦悩、庇った教会、教会の近くにある原爆ドーム……怨念を浄化する祈念。「祈念する」という言葉は便利で公の文書で使われやすい言い回しだと思うが、本来この話ほどの無念や葛藤の果てにやっと出てくる「思い」なのだろう。登場人物は殉教者に肩入れしているけれども、話全体でみると棄教にも殉教にも、苦悩と楽になりたいという2つの心情を絶えず揺れ動いて生きる人間が見えるように描かれていて良い。揺れ動く人間の落ち着く果て場としての「祈念」。gold winnerは(競馬の話で最初は取っつきにくかったけど、) 誰かに無念を見届けてもらえることの暖かさを感じた。死んだ馬と騎手が夕焼け空に向かって走る描写が美しい。桑原さんの好きなところは描写の美しさと会話の軽みのバランス。
…まあジャンルがジャンルなので、あとの二編も入ってないと読者サービスにならないんだろうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
執筆は神戸の震災前なのかな?神戸のホテルで高耶さんと直江がワインプレイしてる描写でグヒグヒしちゃったおね…!あとがきで作者が「震災のあったあの街の灯り一つ一つが愛しい」みたいなこと書いててジンとしちゃったお
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直江、変態なんて言ってごめんね。いや、変態なのは間違いないんだけどなんかごめんね…。という気分にさせられる表題作。高耶さんと出会う前の危うくて弱い直江が切ない。高耶さんと一緒だとあんなにも強くなれるのにね。
「GOLD WINNER」競馬場ではしゃぐ晴家ねーさんと千秋も、直江から子ども扱いされてむくれる高耶さんもみんなかわいい。
「夜を統べる瞳」の高耶さんがあまりにも素敵でクラっとしました。あんな高耶さんを前にしたらそりゃ呼吸も荒くなるわ仕方ないわ。いいなー直江。 -
2011年2月16日読了。2011年21冊目。
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橘義明24歳。景虎を失っているときの橘さんの危うさが際立つ番外編。この数年後に始まる本編の直江の姿は、この延長にあるのかと思うと、本当に感慨深い。「砂漠殉教」とあわせて大好きな番外編です。(幕末編が出て、二人の歴史がどんどん埋まっていくのが楽しい)
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炎のミラージュ番外編。
若かりし頃のN氏のぐるぐるを描いた「Exaudi nos」、不覚にもちょっと涙しそうになりました、闇戦国参加中の武将の皆さんも本懐を遂げて成仏してほしいですね!の「GOLD WINNER」、千秋氏が相変わらず器用な「夜を統べる瞳」の三本立て。 -
高耶さん行方不明時代の直江。泣けます。
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小話がいくつか・・