AGE/楽園の涯 グラスハートex. (グラスハートシリーズ)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 232
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086143509

作品紹介・あらすじ

鋭く切ない青春群像を活写する異色短編集。幻のデビュー作「AGE」のなかには、高校生の高岡尚がいる。「楽園の涯」「オクターヴ」には大学生の藤谷が、尚が、そして「テン・ブランク」につながるふたりの出会いがある…。「ハイスクール・オーラバスター」シリーズなど若木未生ファンタジーの世界を支える、青春への確かなまなざしが感じとれる1冊。書き下ろし小説2本もあわせて収録。

感想・レビュー・書評

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  • テン・ブランク誕生前夜という短編集。

    特筆すべきは、尚っ!
    こんなかっこいい人が、一般人と同じように自動車学校で二輪教習の際に転んだりしたのかなぁとどうでもいい想像をしていたのですが、一発で取りに行ったと書いてあって、軽く絶望。やっぱりかっこいい人はどこまで行ってもかっこいいんだな、と思いました。
    藤谷さんと尚はなんていってもやっぱり絆が深いな、と思わされる一冊です。

  • この短編集は、一番読み返す頻度が高いかもしれない。
    自分にとってとても大事な小説。

    AGEは若木氏のファンになってから図書館で発見して読んだ。
    確かに荒削りで、歪に感じられる表現や展開もあるのだが
    そこがかえって若さがリアルに感じられる青春小説。
    これと続きで読む楽園の涯はすんなり受け入れられるが
    久し振りに読んだとき主人公が智孝くんであることが嬉しくて仕方なかった。
    高岡の親友で、長い付き合いで、本当に大事に思っていても
    出来ないことはある。
    かわってギターを弾いてやったり、バンドで歌ってやること。
    それを聞いて驚く藤谷くんまでもが、とてもリアルに感じる。

    誰かが頑張ればバンドなんてなんとかなる、というのも、とても痛いが
    まったくもって真実で。
    それなりにやりたくて集まってるんだから、それでなんとかなる。
    が、なんとかなる程度の集まりでは、本当の音楽はできない。
    これは音楽以外のことでもあてはまることだろう。
    本編では飽く迄朱音ちゃん視点で、大人である尚が
    真実の中でもがいている様子が胸に響いて苦しくなる。

    好きだ、ということが、ただ好きだとか趣味だとか
    そういう意味でしか伝わらないことはよくある。
    本当に命懸けでやっている人にしか伝わらない。
    なぜやってるのか、なぜそこまでするのか。
    そんなことを言われても
    『そういう次元のことじゃなくてだからただ。
    喉が乾いたら水を飲むだろ。』
    だからそういうこと。
    そんな気持ちでやっていても、だからうまくいくとは限らない。
    「元の形で弾く」といった瞬間腐っていく気がする
    尚の気持ちがとてもよくわかる。

    仲間とやっていても、自分だけが頑張っていて
    そこをやめても必死に弾くだけ。
    そこから逃れて学生になった藤谷と尚の立ち位置が違う
    タイミングや運命といったものに、切なくなる。


    素晴らしい日々は一等好きだ。
    土岐喧介の喋りが小気味良い。
    彼の言うように、世の中はくだらないことで溢れていて
    しかし無茶苦茶すげえやつもいて、それが、原動力になる。
    彼もまた、必死で彼の世界でプロになるために生きてきて
    プロになれば好きなことをやっていれば良いかといえば
    そんな簡単なものでもなくて
    それでもその場所にいられない間もがき苦しむ。
    怖気がくるほどに、気持ちの悪い不愉快なこと。

    プロになっても、プロで居続けることは難しいし、
    イメージが順調であれば現実も順調かと言えばそうではない。
    しかし、それが『成功』なのだ。

    『ヘン』と言い合えるこんな土岐のような友人が
    ”外”にいることの幸せに、ほっとする。

    勝ッテ、殺セ。
    この言葉は響く。人生は戦いで、好きなことを真剣にし続けることが
    幸せになれるとは限らない。
    寧ろ、そうではないのだろう。

    ”どうせ昨日までの答えは、今日には通用しないだろう。ひとつ完成しても、次にはそれを覆したくなるだろう。永久に。”
    こうして、終わりのない戦いを続けていくのだ。

  • 感想は最終巻にて。

  • ここから 始まる

  • オクターヴが好きだ。高岡尚の一人称。この人も狂ってるなあ。

  • エライ本。<BR>
    尚の一人称がたまらない。

  • うまい下手ではなくその時にしか書けないものって本当にあるんだろうね。うまいってのは読みやすくて整理されていて読み手に負担がないのが条件だと個人的に思います。うまく世界に連れて行ってくれて入り込むのに労力を割かなくていいってこと。熱心な人を見るとつい色々考えたくなります。

  • グラスハートが好きだが、この短編も大好き。単純に泣いてしまった。
    受験のときにお守りに持ち歩いてた。

  • 前のブグログ参照

  • 尚の話がほんとうに好きだ。どこからあんな言葉が出てくるんだろう。

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著者プロフィール

1968年生まれ。早稲田大学文学部中退。89年、大学在学中に第13回コバルト・ノベル大賞佳作入選。同年のデビュー作、『天使はうまく踊れない』に始まる《ハイスクール・オーラバスター》シリーズは、昨2021年、完結した。同シリーズを筆頭に、《イズミ幻戦記》、《グラスハート》など、多くの人気作を持つ。近作に、『われ清盛にあらず』『ハイスクール・オーラバスター・リファインド 最果てに訣す』、『ゼロワン』、『永劫回帰ステルス』などがある。

「2022年 『戦をせんとや生まれけむ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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