後宮の烏 7 (集英社オレンジ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804417

感想・レビュー・書評

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  • 『後宮の烏』シリーズ最終巻。

    最後まで登場人物の気持ちを一つ一つ丁寧に掬い上げていく作品でした。気持ちを抑え、冷静に見えるけれど、心の中に静かに強く燃えるような気持ちを抱えている彼らが少しでも幸せになれるよう願いながら読み続けた作品です。
    このシリーズ心に残る言葉が多すぎて、『後宮の烏語録』を作りたくなるくらい‼️
    特に4巻の最後、高峻が自分の決意を寿雪に語る言葉が忘れられません。

  • 最終巻だとは知らずに読んだら、いきなりあっさりと終わってしまってびっくり。せっかく面白かったからこそ、最後はもっと丁寧に書いて欲しかったなというのが正直なところ…。番外編とか出たらいいな。

  • こんな終わり方も悪くないかな?でも鼇の神と烏の戦いや、高峻と寿雪の絡みも、もう少し書いてほしかった。二人の活躍の場面がほとんどなかったのは悲しい。
    烏から解き放たれて自由になった寿雪は、海商になって海を渡る。寿雪が、血縁者のものがよいそうだからと、衛青から航海の護符にするため手巾を貰い受けるシーンはなんか泣ける。「寿雪……元気で」「兄上と呼ぼうか。兄さまの方がよいか」T_T
    ラスト3行から…晩年は穏やかであっただろう高峻と寿雪の友としてのふたりに切なさと安堵がこみ上げてきた。世が世なれば結ばれていたかもしれないけど。

    アニメになるらしい!!

  • きれいにまとめたな、という印象。世界観を崩さないためには、二人の関係はあれでよいと個人的には思うので、そこに不満はないが、二人の出番そっちのけで某一族がメインになった点と、意外と神々の戦いがあっさりだった点は、最終巻としてはどうよという気もしなくはない(苦笑)。登場人物たちの身の振り方をすべてそれなりの形でおさめたことは評価できるし、これはこれで有りなのだが、今まで主役だと思っていた存在がその他大勢と同じ小さな駒の一つでしかなかった残念感は拭えず、人によっては物足りないだろう。

  • あー、やっと読めた!とうとうラスト。ササメ家の一族が詰まったラストでした。結局、血のつながりってなんなんだろう。そこまで重たいのか、はたまた軽いのか。
    白銀の髪をたなびかせた少女が新天地を切り開く、そんな話も読んでみたいと思いました。
    それはまた、別の話。

  • 高峻や花娘との別れはもちろん大号泣だったけど、個人的には衛青が「寿雪」と名前を呼び、初めて妹として接して別れる場面で一番泣いた。これが最初で最後なんて嘘だよね、、?!という思い。
    二人ともどう接していいのか分からないといったもどかしい兄妹のやりとりが好き。

    自分の行いを悔いて泣く封一行を見苦しい、と一括して叱りつけるところは、封一行も言っていた通り、本当に「よく似ておいでで…」!!!
    これ、どちらかというと義に厚いというか、情け深い人だからこそこういう言葉が出ると思うのだけど、二人のこういう性格は父親譲りなの?ろくでなしだという二人の父親というのはこういう感性の人だったのかな?だとしたらあんまり悪い人にも思えない、、妓女を取っ替え引っ替えはもちろん最低だけど、、

    この兄妹、実は琴線というかそういう部分が本当に近いところにあるんじゃないかと思う。美貌を持ちながらもつれなく素っ気ない雰囲気が似通っているらしいし。

    兄上と呼ぼうか、兄さまの方が良いか?と言って衛青に顔を顰めされるあたりが寿雪が衛青の妹だと実感する場面かも。

    とにかくまだまだこの兄妹見続けていきたい気持ちでいっぱい。


    7巻への感想というよりはシリーズ全体への感想という感じ。


    寿雪と高峻はお互いに離れ難いと思っていて、欒家の生き残りだから亡命しなければならない、と理由もなくなったのだから別れなくてもいいじゃん!!とも思ってしまう。
    でも仮に妃になったとしても寿雪は後宮から出られないままだっただろうし、祀典使という用意された役職から高峻を支えるという道もあったかもしれないけれど、後宮に囚われ続けて一生を終えるはずだった寿雪が誰よりも自由になって、自分の意思で広い世界に飛び出して行くというのは良かったと思う。

    だからこの結末に不満は無いけれど、寿雪が高峻や後宮の人々と今後会えなくなるのかと思うと切なさの方が強い。
    文中に「最後」とか「二度と会えない」とか、これが今生の別れであるかのような言葉が多くて悲しい。
    だからこそ、寿雪が後宮を出た後も夜明宮の面々と共に過ごしていることと、文を通じてでも高峻とのやりとりかあることが知れたのは嬉しかった。

    海商になったその後も高峻たちや後宮の人々と会う機会が度々あったのならいいなあと思う。帰国する度に宮城に立ち寄って、旅中の出来事を高峻たちに語って聞かせてあげてたらいいのに。衛青との兄妹としての絡みももっと見たいし、花娘や他の妃たちともまた仲良くおしゃべりしていてほしい。後宮が簡単に立ち入れる場所ではないのは重々承知だけど、そこはきっと高峻が何とかしてくれるはず!
    そういう外伝みたいなお話是非読みたいなあ、、!

    二人の間に恋情があったのかは物語中で明記されていなかったけれど少なくとも寿雪は高峻に対してそういう思いがあるのかと思ってた。他の妃たちや之季(こちらは友情?)と高峻との関係を見聞きしたときに心穏やかではいられないような描写があったから。寿雪は自分のそういう感情に疎そうだから自覚がなかっただけなのかなと。初期の頃は高峻も寿雪への思いは恋情だったのではと思う。個人的には。それがそんなものでは収まりきらないくらい大切に思えてきて半身という答えに落ち着いたということなのかな?
    私は初め、原作の存在を知らずにアニメから入ったタイプの読者だったので、「あぁこれは最後に皇帝とこの子がくっついてハッピーエンド!って感じのお話かな?」と思っていて、だから甘い雰囲気で容易に終わるという展開にならなかったのは、良い意味で期待を裏切られたという感想。
    好きとか愛してるとかそういうものよりも半身というのは欠け替えがなく重たいもの。人と関わることを禁じられ、誰かを大切に思うことも、思ってもらうことも許されなかった寿雪がそんな人に出会えたのはきっと幸せなことだと思う。
    ただ、本当に二人ともそれでいいの?!ほんとうは好きなんじゃないの?!という感情も少しある、、、


    烏と寿雪の関係の終わり方も少しさっぱりしすぎていて寂しかった。ありがとうとは言っていたけれど、その後なにもなく烏と寿雪が会話できなくなってしまったのが悲しい。巫として一度選ばれたのならその後も声を聞き続けることはできないのかな?烏は寿雪の身体に何度でも出たり入ったりできるみたいなこと言ってたから、、

    寿雪は神の声を聞く力がなくなってしまったから祀典使にはならないと言っていたけれど、なくなったのは烏漣娘娘の力だけで、巫術を使う力はまだ残っているのでは、、?と感じた。
    烏妃としての苦しみから解放されたのは喜ばしいことだけど、今まで持っていた力を全て失ってしまうというのも切ない。

    杼王朝との関係も気になる。星星が寿雪にあまり懐かなかいような描写が所々にあったのは杼の血を引くからだったのかな?烏は杼の人間に対してあまりいい思いもないだろうに寿雪が杼の血を引く者だと知った上で烏妃に選んだのか。鼇の神は寿雪を欲しいと言っていたのに手に入れようとする素振りが全くなかった気がする。そもそも両者、今回巫に選ぶ人間が、相性のいいという血筋的に丁度反対になったのは偶然だったのか?…とか。

    烏に関しては、自分の声が聞こえる数少ない人間という理由で初代烏妃…というか自分の巫を香薔にしたとあったけど、寿雪やほかの烏妃たちはそうでないのか。気まぐれに選ばれた、と寿雪は思っているようだったけど、本当にそれだけなのかとか…。
    もし誰でも良いのなら、巫を殺されることが一番怖い、とまで思うかな。それともそもそも巫と烏妃は別物なのか。

    あとは梟や朝陽はそれぞれ烏と晩霞の本当の名前というものを口にしている描写があったから、それが最後まで明かされなかったことは少し心残り。
    何か大事な鍵になるようなものかと思ってた。
    白雷の本当の名前も、これが偽名であることを所々で明言していてどこか意味深だったのに、本当の名前は最後までわからなかった。別に重要な情報ではなかったということ、、?

    白雷に関しては殺そうとするくらい寿雪を(烏漣娘娘を?)憎んでいたのに、案外あっさりだったな、という印象。一族を根絶やしにされたことへの恨み、以上のエピソードが何か今回で明らかになると思っていたのに。自分の一族を殺した一族が祀っていた神が烏漣娘娘だったから憎いみたいな話だったと思うけど、それだけで烏妃個人をああも憎むものかな?
    月真教、八真教に関する揉め事の責任も感じていなくはなさそうで、子供を見捨てられず、(ずっと行動を共にしていたアユラはともかくイシハのことまで!)なにかと世話を焼いてくれる辺りは根は悪い人じゃなかったのだろうな、と思う。

    それと度々出てくる八という数字についても、もう少しなにかエピソードがあるのかと少し期待してた。
    聖数だからという理由だけ?

    そういうことも含めてまだまだ続きを読みたいと思う作品!アニメから入って、数日で7巻分一気読みしてしまったからロスが激しい、、( ; ; )
    既にラストで晩年のことまで描かれてしまっているから望み薄かもしれないけど続編といかないまでも外伝やスピンオフとして海商冒険譚なんか出て欲しい!

    個人的に温螢&淡海コンビが大好きなので、二人の絡みや寿雪、九九とのやりとりをまだまだ見ていたいなあ、、! 

    淡海の歳は作中になかったかと思うけど、温螢は20歳前くらいとあった!あんなに普段寿雪に対して過保護で甲斐甲斐しく仕えているのに最大でも寿雪と3つしか変わらないってこと?!
    淡海の方が温螢よりも歳上なのだとしたら、年下に小言言われてあしらわれてる立場というのもなんか好き!

  • 最終巻。
    え?信じられない、これで終わり?
    ぱたぱたと急いで閉じていく感じ。
    置き去りにされたまま、力業で強制終了。
    いろいろ足りない。

    あっけないのはもちろん、圧倒的に足りないのは高峻と寿雪のくだりかな。
    結ばれないにしても、もう少しふたりの場面を読みたかった。
    なのに沙那賣家の兄弟の話ばかりで、そんなに思い入れもないキャラクターたちの話が、最終巻だというのに延々続く。
    その後の物語も沙那賣家の話。
    高峻と寿雪のくだりは、ドラマのナレーションのように数行だけ。
    もどかしい。モヤモヤした。

  • えーこんな終わり方なの。。
    ここまで盛りあがったのに、神の戦いも、その後の寿雪もなぜか納得いかない感じだったな。

  • 完結。
    読む前から口コミはチェックしてたけど、私は良かったんじゃないかと思う。
    寿雪と帝が結ばれなかったのは個人的に残念だったけど、そこに重きを置いてる話ではないし一生仲良く碁を打ってたんだなとわかる終わり方だった。
    登場人物のその後までしっかりかかれてたけど、白雷が女難で命を落とすのはどんなエピソードか気になった笑
    やっぱ青と温鎣が推しです。
    ずっと一緒にいれたみたいでよかった。
    ということで、アニメみます!

  • 之季が復讐を踏み止まったとこはうるっときた。
    よく我慢した!偉い!
    でも、これで妹の小明は成仏したね。

    白雷、最終巻までに一番変わった気がする。
    阿兪拉を護るために、黒刀を鼈の神に渡さず、山奥に逃げ込んだからビックリしたよ。
    そして、阿兪拉を護るために、鼈の神に対峙するなんて。
    星星〜(泣)
    衣斯哈達を守るために…。
    ハタン族は烏にとって最初の巫だから、とても大切なんだね……。

    烏が半身取り戻せて良かった!
    寿雪の中から出てったっぽいけど、寿雪が無事で良かった!
    それにしても、完全な烏は強いね。
    鼇の神があれこれ策を練るのも納得。

    慈恵すごい…!
    よくぞ亘を止めてくれた!
    亘の頑なところから、どうなることかとヒヤヒてたけど、丸く収まった〜。
    慈恵の跡取りとして、第二の人生を歩んだ亘が幸せになっていて良かった。
    孫娘を甘やかしまくってる慈恵に笑っちゃた。

    朝陽が素直に高峻の命に従って驚いた。
    晨の言うとおり、沙那賣を滅ぼしたかったのかな本当は?
    な、なるほど……確かに高峻は冷徹だわ……。
    隠居や蟄居とは自害しろってことなのか
    晨から言わせることで、従わなかったら晨がどうなるか……と。
    高峻、ちょっと怖いわ。

    あと、晨が継がないことで沙那賣が潰えると言ったのはなんで?
    亘か亮では駄目なの?
    ハラハラしてたけど、最後、亮が妻とうまくやってる様子見てホッとした~!
    そして、亮、かわいすぎない?
    妻が晨に嫁ぐ予定だったから、晨に会うときに未練とかないか探りを入れるなんて。笑
    まさかその妻が結構嫉妬深くて、自分のことを好きだとわかって機嫌良くなるのかわいい。
    従者はあの女やべえぞって意味で言ったんだよ!笑

    沙那賣家のみんな、それぞれちゃんと幸せになってくれて良かった!
    晨も皇太子の教育係という生き甲斐を見つけてくれて良かった。
    皇太子は高峻にも晩霞にも似ていて、可愛かったな。

    寿雪、海商に!?
    花娘の父、知徳の話を楽しそうに聴いてはいたけど、まさか海商になりたいとまで考えてたとは。
    淡海も温螢も九九もついていって、幸せそう!
    隠居した高峻と離宮で時々碁を打ってるのが良かった。

    寿雪の言ってた次が育つは、阿兪拉のことだよね。
    きっと次の烏妃は阿兪拉なんだろうな。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白川紺子の作品

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