- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087201444
作品紹介・あらすじ
寺田寅彦は実験物理学者にして文筆家。「天災は忘れた頃にやって来る」という格言を吐き、一方で多数の科学エッセイを書いて大衆の心をつかんだ。茶わんの湯、トンビと油揚、金米糖といった身近な話題を通して、自然界のぞっとするような奥深さを見せつけてくれたのである。明治に生まれ、昭和に没したが、その鋭く豊かな着想は永遠のものであり、混迷の二一世紀にあって、あらためて注目されることを願う。夏目漱石、正岡子規といった文学者との交流も懐かしい。高知、熊本、東京にまたがる生涯と魅力的な人物像を追う。
感想・レビュー・書評
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身近な現象を追求した実験物理学者としての顔と、文学者としての顔が良く分かり、大変面白かった。後半の生い立ちを追う件は若干マニアックだが。
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寅彦さん大好きだー!夏目先生との師弟コンビでも大好きだー!!
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明治の文豪はよく歩いた。ということで、寺田寅彦の散歩ルートを地図上に書き起こして、「めっちゃ歩いてるやん」となったところは面白かった。
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請求記号:289.1テ
資料番号:011315918
寅彦は、地震や津波といった自然災害は、文明が進歩するほど被害は大きくなることを心配していました。 -
寺田寅彦の人物像と人物史のまとめ。物理学者、地震学者、随筆家、作家、俳人、画家等等、肩書きの特定に苦慮する寺田寅彦だが、その生涯において「遊蕩家」が目指すところだったらしい。なんとも羨ましいが、当時においてこの価値観は、いろいろと面倒なこともあったようだ。本書は、漱石との交際や、高知時代の話が比較的詳しく、寺田自身の著述だけからは見えてこない寺田像が見えてきた。青空文庫には寺田寅彦の文章が充実しており、気軽に読ませてもらえたが、その前に、本書に目を通しておけば、愉しさ倍増だったであろう。関東大震災をして、「天災は忘れにやってくる」と述べた寺田、今の世の中を見て、何というだろうか。
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以前に随筆全集に挑戦して挫折…。「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉は寺田寅彦氏の言葉だったそうな。全く知りませんでした。寺田寅彦という物理学者/随筆家について、彼自身の生い立ちや人となり、そして周囲の人物や環境を含めて書かれています。代表的な随筆についてももちろん触れられています。「猫の用足し」「一杯の茶碗の湯」「トンビと油揚げ」「団栗」など。どれもこれもはっとさせられるような視点と、私のような科学音痴にはなかなかできない発想、含蓄のある言葉、やはり稀代の随筆家だったのだなぁと思う。
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[ 内容 ]
寺田寅彦は実験物理学者にして文筆家。
「天災は忘れた頃にやって来る」という格言を吐き、一方で多数の科学エッセイを書いて大衆の心をつかんだ。
茶わんの湯、トンビと油揚、金米糖といった身近な話題を通して、自然界のぞっとするような奥深さを見せつけてくれたのである。
明治に生まれ、昭和に没したが、その鋭く豊かな着想は永遠のものであり、混迷の二一世紀にあって、あらためて注目されることを願う。
夏目漱石、正岡子規といった文学者との交流も懐かしい。
高知、熊本、東京にまたがる生涯と魅力的な人物像を追う。
[ 目次 ]
1 寺田寅彦は忘れた頃にやって来る
2 赤門教授のステイタス
3 小説に描かれた寺田寅彦
4 一生つづく「電車の混雑」
5 随筆家としての出発
6 大地震の体験
7 科学の花園
8 物理学を志願した頃
9 ゆかりの地・熊本と高知
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
寺田寅彦の紹介本
あまり知らなかったので楽しく読めた
今の時代にこういう生き方が可能かはさておき、
あこがれる人は多いのではないだろうか -
●稀代のマルチ学者・寺田寅彦あれこれ録
「天災は忘れたころにやってくる」オリジネーターの評伝。
マクロからミクロまで、幅広い視座を持って執筆活動を行った
寺田寅彦のポテンシャルが丸かじりできて、非常に示唆に富んでいる。
ネガティブファクターを挙げるならば、構成、筆致の硬さ。
新書飽和ブーム前に書かれたものであり、著者の年齢も考慮しないといかんが。
もうちょっと今様のアレンジメント、21世紀日本人にとっても「身近やん」と
思えるような描写が欲しかった、かなーと思う。