- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087205275
感想・レビュー・書評
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情報が整理された上で、平易かつユーモアも備えた文章で読み易くわかりやすい。良書。
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今後も整理すべき事項が山盛り。
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デジタル複製が容易になり、多くの人がインターネット上で情報発信や多次的創作を行える現在、近代的な個人(作者)の意識に基づいて作られた著作権という制度のあり方が問われている。この本では、「おふくろさん騒動」「464jp」など近年のアクチュアルな問題を扱いながら、著作権をめぐる現在の動きをコンパクトにわかりやすく説明してくれている。個人的には、19世紀のベルヌ条約が基本となっている著作権という発想それ自体が、もはやかなりそぐわないものとなっている気がする。DRMなどアーキテクチャによる制限が先行しそうな現状にあって、豊かな芸術文化を生み出すために、著作者の権利として何を/どこまで守るべきなのか、議論を深める必要があると感じた。前著「著作権とは何か」とセットで読むと良い一冊。
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ネットの本格的な普及、社会のデジタル化を受けて最も議論が多いイシューの一つである著作権。本書は弁護士である筆者が豊富な事例を挙げつつ現状の問題点や論点をわかり易く説明している。
なによりも、現場に近い筆者の「簡単ではないが皆で考え変えていかねば」というアツい気概が、しかしソフトに伝わってくるのが良い。 -
多次的作品(コラージュ、モンタージュ)、アーカイブ化、著作権リフォーム、フェアユース、擬似著作権問題等々の懸案ポイントを網羅的にスキャンしており、問題全体を俯瞰できた。
主張が錯綜した事柄、法的にグレーな事柄を形式的に割り切らず、事柄に即してクリアに出来るまで説明していて、具体的な争点の把握に便利。
特にお袋さん問題での著作権人格権とJASRACの問題などは興味が持てた。 -
「著作権とは何か」の続編のようなもの。バージョンアップし、中身も発展的に。今回から「索引」が付いたので、調べたいものがある人にとっては便利だと思います。
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特に勉強になったこと
擬似著作権(著作権以外の権利として保護されているものと、そもそも保護されていないものの両方)についての部分
許諾を得るためのコストのうち、権利者に支払われない部分の膨大さ -
[ 内容 ]
著作権は、「作品」という情報を占有するための、最強の制度である。
ディジタル化やネット化で情報の海が爆発的に広がり、作品の囲い込みが技術的に難しくなっている状況下、著作権の存在感はますます大きくなっている。
世界的にコンテンツ産業の再編が進行している現在、著作物の独占と共有のバランスはどうあるべきか。
豊かな芸術文化が育まれる制度とは?さまざまな事例を挙げながら、変りゆく著作権のかたちを第一人者が解説する。
[ 目次 ]
第1章 情報の独占制度
第2章 対立するテクノロジーと著作権
第3章 多次的創作の時代‐カヴァー、アレンジと二十世紀芸術
第4章 PD、オア・ノットPD、それが問題だ‐著作権は何年間守られるべきか
第5章 アーカイヴィングの現在‐電子図書館、番組ライブラリー、フィルムセンター
第6章 変容する著作権‐リフォーム論、DRM、パブリック・ライセンス
第7章 擬似著作権と情報の「囲い込み」
終章 情報の「世界分割」
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
最近ニュースになった著作権絡みの問題を例に挙げている。
著作権を死守!という立場を貫くものではなく、メディアの多様化、
ネットの発達等にあわせ、
今後著作権をめぐる問題は様々な方向へ向かっていくことが予想され、
そのことについて考えさせられた。
クリエイティブ関連の仕事に携わる人にとっては、最初は自身の想いを発表できれば満足であったはずなのに、やはり利権や金銭が絡んでくると、
著作人格権、著作隣接権について主張していってしまうのが人間の性かもしれない。
日本と諸外国のビジネスモデルの違いもあるので今後めまぐるしく変わる分野であるが、キャラクターやコンテンツビジネス大国日本としては、
いっそう規制がかかってしまいそうな気がして、非常に悲しい。 -
勉強になりました。
なんでもかんでも著作権、な昨今の状況を整理するのに
役立つ本です。
こうしてレビューを書くときや、ブログに写真とかアップするとき、
身近に関係することたくさん出てきているしね。
そもそもグレーな領域の多い決まりごとではある。
でも建設的に議論していかないと、文化が尻すぼみになる危険もあると思う。