「闇学」入門 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207231

作品紹介・あらすじ

最近、ナイトハイク、夜散歩などの「闇歩き」が人気だ。その提唱者で、闇と人体の関係や、文学、住居、信仰など多様な視点から日本文化を支える闇を研究してきた著者が、最新知見も交え、闇の謎と魅力を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • vol.244「鈍感」と「敏感」の間に横たわるモノとは?日本の空を異様に明るくした原因。
    http://www.shirayu.com/letter/2014/

  • 先月下北沢B&Bであった「仲俣暁生×中野純×南陀楼綾繁「サリーだって語りたい!…男⼦が見た少⼥まんがの歴史と変遷」を聴講した時に登壇された中野さんの著書を買って読んでた。夜這いのことが出て来るかなーと思ってたら少しだけ取り上げられてた。宮本常一さんが『日本人を考える』という対談集の中だったかで「夜這いが無くなったのは街灯がついたから。明るかったらあんなことは出来ない」と発言されたのがずっと連想されてたので。

  • 女ま館の館主でもある中野純さんの本。少女まんがだけでなく、闇も彼のテーマ。風俗、文学、信仰、健康といった視点から闇を見つめている。これを読み。改めて中野さん主催のナイトハイクに参加したくなった。

  • [ 内容 ]
    古来、日本人は月光を愛で、蛍狩り、虫聴きといった闇のレジャーを多彩に楽しんだ。
    江戸庶民は夜を徹して富士山に登り、『陰翳礼讃』で谷崎潤一郎が「洞穴のような闇」と評した日本家屋の暗がりは西洋の建築家たちを魅了した。
    つまり日本人は闇の達人だった。
    だが今、オフィスでは一日中電灯がともり、深夜でもコンビニの光が溢れる都市から闇は駆逐されている。
    本書は風俗・文学・信仰・健康…などさまざまな視点から闇を見つめる。
    衰えた五感を再生し、地球の未来を明るく照らす、豊穣な闇世界への招待状である。

    [ 目次 ]
    第1章 闇の現代史 光に鈍感になった日本人(光の国、日本;日本人の目は光に鈍感? ほか)
    第2章 闇を遊ぶ 闇を使った賢い生きかた(闇に休み、闇に遊んだ電気以前の暮らし;花虫風月、夜の虫を愛でる文化 ほか)
    第3章 夜目と夜覚の世界 五感は闇の中で磨かれる(ただ暗いだけで五感が敏感に;夜目とはなにか ほか)
    第4章 日本の闇はやわらかい 日本文化は闇の文化(江戸時代の灯りと闇;暗順応を前提とした照明 ほか)
    第5章 明るい未来から、美しく暗い未来へ(祭りの光は闇を意識させるためにある;広重が描いた両国花火の暗さ ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 日本の夜は白い。
    闇の中のささやかな光は蛍。
    日本では古くから人が死ぬと魂は高い山に登るといわれていてた。つまり山之上はあの世だと思われていた。
    闇を歩けば歩くほど、光の美しさ、ありがたさがわかる。闇があってこそ、光。

  • 日本人の楽しみは、実は闇の世界にあった?実際に戦前、ほんの少し前までの日本は闇に支配されていた国であり、そのような闇の中に想像力を働かせて様々なクリエイティブな遊びをしてきた歴史がありました。

    たとえば『暗夜行路』という志賀直哉の有名な小説があります。クライマックスでは、主人公が深夜の大山に登っていく様が描かれ、それがタイトルにもなっています。今風に言えばナイトハイクですね。

    実際にナイトハイクは、『夜のピクニック』などで取り上げられたように、様々な地域や学校でイベントとして実施されています。そして我々日本人の大半が大晦日には夜を徹して寺社にお参りしに行くという習慣を持っています。昔は山が神様でしたから、深夜に山に入り山頂でご来光を拝むという行為は生まれ変わりを示しているというわけです。

    つまり、このようなナイトハイクや深夜に登山するといった伝統は、昔から綿々と続けられてきた日本人のDNAに刷り込まれた行動であり、闇の中で自らを振り返り、新しい自分に出会うという内省の機会こそが日本人にとっては一大コンテンツとなっていました。

    春は曙、夏は夜、そろそろ闇が楽しめる季節になってきましたよ。

  • 夜の散歩、キャンドルでの入浴、月を見ながらぼんやり過ごす時間。どれも大好きだったけど大きな声で言いにくかった。でも、いいのね。日本人は昔から闇を楽しんできた。日本の自然の中で文化として育ってきた、なんて聞くとカッコもつくというもの。著者に感謝です。闇を楽しみましょう♪

  • 仕事の九割が闇関連という著者による、闇学入門。
    古き良き時代に戻りたいから闇を求めるのではない、としながらも、日本文化を引き合いに出すと、どうしても古き良き慣習や生活がちらついてしまう。しかし、個人の感覚がどう変化するかということにも十分触れられていて、闇の中に少しづつ落ち着いていく感覚を光のなかでもぼんやり味わえる。
    僕は早寝早起き派で、暗闇なんか寝てしまうに限る、と思っているが、そんな生活だからこそ、闇に通夜・徹夜というのがすごいレジャーでもあり、感覚のリセットにもなるのだと教えられた。闇が足りないと光も足りなくなる。
    書を捨てよ、闇へ出よう(たまには)。

  • 闇という着眼点。もうそれだけで専門を究めていこうという独創的なところがいい。

    闇を語るのだから当然それと対になる光について、ある程度触れないわけにはいかない。しかし、エコに戻れとか、スマホばっかり見てんじゃねーとか、そういう話ではなく、闇そのものの魅力をじっくりと紹介する。

    昼夜問わず光あふれる現代のライフスタイルに、人間の本能はどこまでマッチできるのだろうか。

  • 闇の素晴らしさを古典から近代文学まで引用しつつ大変平易に書いている。ナイトハイクやってみたい。

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著者プロフィール

中野 純
<プロフィール>
体験作家、闇歩きガイド。一橋大学社会学部卒。闇をテーマとした文筆活動やナイトハイクの案内の傍ら、夫婦で少女まんがの専門図書館「少女まんが館」を運営。主な著書に『「闇学」入門』(集英社新書)、『闇と暮らす。』(誠文堂新光社)、『庶民に愛された地獄信仰の謎』(講談社+α新書)、『闇を歩く』(光文社 知恵の森文庫)、『月で遊ぶ』(アスペクト)、『少女まんがは吸血鬼でできている』(大井夏代との共著、方丈社)など。東京造形大学非常勤講師。

「2022年 『闇で味わう日本文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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