- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087210217
作品紹介・あらすじ
生物学で最も熱いテーマ「性的対立」研究の第一人者が、「精子をばら撒きたいオス」と「良質な精子を厳選したいメス」、双方の繁殖戦略の違いによって生じる「対抗進化」の驚くべき最新知見を披露する。
感想・レビュー・書評
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自分は理科が大の苦手で、小学校低学年つまり生活科レベルです。
でも物理化学に比べれば生物はちょっと親しめます。
すでに日高敏孝さんや前野ウルド浩太郎さんや高橋敬一さんの本を読み、
さらにこの宮竹貴久さんの本で思ったのは、
この分野がとても文系チックだからなのではないか?ということ。
求愛し交尾するために命懸けなオス。
メスだって子孫を残したいわけですから、
より質の良い精子を厳選したい。
この本ではそんな虫たちの、ある時は壮絶な
またある時は美しいドラマが繰り広げられます。
「嫌がる」という言葉は、まあ、ちょっと極端かもしれないけど、最近話題の#Me Too問題を考えますと、「女性の多くが嫌がっているのだ」と思っておいたほうが無難かもしれない。
話が脱線しましたが、この分野の研究は害虫駆除などに役立っているそうです。
面白がって研究しているのではない、ということを断言しておきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
虫から様々な生存戦略を学べた。
共通してたのは短所を伸ばして勝負するのでなく、長所または戦略を練って行動すること。
大顎が発達しているファイタータイプのオスは、戦うことで縄張りを確保しメスと交尾をする。
逆に大顎が小さいスレンダータイプのオスは大顎が小さいことで腹部が長く精巣や前翅が発達しており
、分散してたくさんの精子を送り込むことができる。また前者のオスが闘ってるときにメスと交尾をしたりもする。(=スニーキング)
自分が持っているものに目を向けてそれを活かしたり、逆に持っていないものは戦略でカバーしたりと虫から学ぶことがたくさんあった。 -
だいぶ面白かった
人に話したい知識がたくさん
頓珍漢な理由で低評価されてるのは看過できない -
昆虫の交尾を研究する学者による、昆虫の(またそこから敷衍して人間の)性行動とオスメスの性対立についての本。
個々の昆虫の性行動の例は面白いものの、全体的に自分の研究成果とそこに至るまでの苦労話が多く、普遍性のないエッセイ的なものになってしまっていると感じた。
自分の研究テーマを熱心に話す教授の授業を受けている感覚に陥ったので、後半は飛ばし読みしてしまった。 -
●筆者は20代の後半に数年間ほぼ毎晩、ハエのオスとメスがいつ交尾をするのかを観察する仕事をしていた。害虫駆除の研究に携わっていたので観察したのはハエだった。そこでもやはりメスとオスの間には相容れない対立が存在した。
●コクヌストモドキを死に真似する個体としない個体を交尾繁殖させ、蜘蛛にあたえた。死に真似する個体群が生き残りやすい事がわかった。しかし後尾機会は積極的に動く個体が有利だった。結果として、「天敵を回避する能力と、交尾する能力とのニ律背反。動かなくなることのコスト」
●ミバエの根絶。戦前に沖縄にミバエが侵入した。沖縄の農家が、ゴーヤやメロンマンゴーをいくら栽培しても、それらは東京や大阪や福岡の市場に出荷できない。本土にミバエを侵入させないためだ。
方法は、不妊化されたされた雄を毎週1億匹空からヘリコプターでまく。数年間続ければ、野生のメスが出会うべきオスは皆無となり、いずれミバエは根絶される。 -
昆虫学からの観点で人間にアドバイスする本かと思いきや、ほぼ昆虫の性戦略の話で退屈。
途中で断念。 -
モテは遺伝するらしい。でもモテないほうが都合がいい場合もあるから、モテないも遺伝するようだ。虫の話をそのまま飼い鳥や人間に当てはめることはできないけれど、したがるダンジョーさん(鳥)と嫌がるヨシヒ子(鳥)を見ていると、そういう仕組みかと納得してしまうところが大きい。コクヌストモドキとかヨツボシケシキスイとか文字だけではなんのことやらわからない虫が主役なので、虫苦手な人も安心して読める。
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<目次>
はじめに
第1章ドーパミンが生き方と求愛を決める
第2章がんばるオス
第3章オスががんばるとメスはどうなってしまうのか?
第4章そして性的対立が生じる
第5章愛の最終決定権を握っているのはメスである
第6章愛はタイミングで決まる
第7章オスとメスの決別
終章性的対立とは何か
おわりに
p226 生きている虫の個性は、遺伝子をつないできた
進化の勝者である。今、生きていることは、進化生物学
的には。すでに勝者なのだ。だから、臆することなく
個性を際立たせて対立や共存の道を生きている虫に
思いをはせ、明日からの毎日を生きてほしい。
虫のことと描きながら、いつも人に置き換える
イメージを持たす文章を書く、著者。 -
進化生物学的な個体の努力と遺伝子の戦略が多くのケースで紹介されていて、知的好奇心をくすぐられる。
からの結論付近の「僕らはみんな生きている」ってのがスッと入ってくる。進化生物学的には今現世に生を得ている個体は勝者であり、一見劣等感を覚えるような特徴でさえ、進化生物学的にはパートナーを見つけるための戦略であるという、ややこしい自己肯定感が生まれる