「他者」の起源 ノーベル賞作家のハーバード連続講演録 (集英社新書)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210859

作品紹介・あらすじ

なぜ人は「他者」を差別し排除してしまうのか。
黒人初のノーベル文学賞作家が、米社会や白人文学の欺瞞を突き、そのからくりに迫る。

感想・レビュー・書評

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  •  曾孫である、彼女たちを見て「この子たち、異物が混入しているね」と曾祖母が言った言葉の「意味」を考え続けたところに、ノーベル文学賞のト二・モリスンが生まれた。
     まあ、そんなふうな感慨を持ちました。何気なく口にする「わたし」が、もうすでに「あなた」を排除していないか。そこから考え始める位置に立ってみること。まあ、めんどくさくても、それしかなさそうです。
     ブログにも、あれこれ。覗いていただけると嬉しいです。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202110160000/

  • ラジオ 高橋源一郎の飛ぶ教室 で覚悟して読むよう紹介された本。いま「自己とは何か」という哲学の公開講座を聞いているが、他者から自己の枠組みをつくる事は意識したことがなかった。黒人問題以外の言葉もグサグサと身に刺さる。

  • 明晰で、容赦ない分析。歴史や事件を知れば知るほど悲しくもなるが、悲しいなどという情緒では、みっともないほど無力だ。冷静で力強い言葉が迫ってきて、我が身をも問いただされる。

    最近亡くなって残念だと思ったけれど、彼女も88歳だったんだね。最近のを読んでいなかったので読みたい。

  • 第82回アワヒニビブリオバトル「【往路】お正月だよ!ビブリオバトル2022」第9ゲームで紹介された本です。オンライン開催。
    2022.01.02

  • 鋭い洞察が散りばめられた一冊。
    人は誰しも、図らずとも社会生活を送る中で「他者(=自分とは違う存在)」を自ら生み出し、他者に対して恐怖や違和感を無意識的にも抱きつつ、それを前提にして終いには人種差別を生み出してしまう。
    社会生活を送る中で、無意識的にも周囲の環境や常識といったものに自分が縛られていってしまうこと。そそのような固定観念が他者という存在を自分の中に生み出し、自分と違う存在=自分を否定されることの恐怖感などに繋がり、排他的な意識(人種差別など)へ繋がる。

  • 翻訳部分がちょっと読みづらい。講演録の翻訳なので仕方ないところはあるのかもしれないけど、最初の森本あんり氏と最後の翻訳者である荒このみ氏の解説で理解が助けられる感じは否めない。
    とは言え、アメリカの人種問題を理解するうえで、非常に参考になる1冊であることは間違いない。もっと勉強していかなければと思いました。

  • 72ページまで読んだが、米国の人種問題の歴史や、人種問題の中で描かれる米文学に疎い私にはあまり理解できない。以前読んだ作者の「ソロモンの夜」でも同じ感覚を抱いた。巻頭に森本あんり氏が書くように、「他者」の起源は、人間に根源的な問題であり、正面から捉えるべき課題であるのは分かる。米国事情に偏っているため、私に十分理解できないのが残念だ。

  • 3と4の間の⭐️

    トニモリソンは青い目がほしいを大昔に読んだきりなので、ほかも読んでみたいなぁ。

    すこし趣旨と違うかもだけど、
    冒頭と訳者解説がとてもよかった。


    「文学の虚構を通して、擬似的に他者の視線を持つことができ、その他者の視線を通して自分を見つめ直すことができる。
    自分では開くことのできない窓を開ける働きをしてくれる。その窓を通して、読者は自分を取り巻く現実とは違う世界に目を向けることざできるようになる。」

    一度読んで、また戻ってくると、とても腑に落ちる。
    白人と、アメリカの黒人の共依存の関係。

    訳者解説は、アメリカがとても分かりやすくまとまっている文章だと思った。
    また忘れてしまった頃に読み直したい。


     

  • 著者の作品をある程度読んでいて、文学論を理解していないと結構キツイ本だった。
    また、講演録をまとめたものからなのか、文体に馴染みがなくて、どうにも理解がなかなか進まない。まだ自分には勉強が足りないので、ここでは評価はせず。
    もう少し経ってから再読しよう。

    一方、序盤の森本あんりによる「日本語読者に向けて」は非常にロジカルで多くの示唆に富んでいた。
    ここでタイトルにもある「他者」とは何か?アメリカにおける他者がどのように機能しているのか、の指摘は刺激的だった。
    なので次は森本あんりの著作を読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1931-2019。アメリカ合衆国の作家。小説に、『青い眼がほしい』(1970)、『スーラ』(1973)、『ビラヴド』(1987)、『ジャズ』(1992)、『ホーム』(2012)など。彼女の長編小説はすべて日本語に翻訳されている。絵本に、スレイド・モリスンとの共著『子どもたちに自由を!』(1999、長田弘訳、みすず書房、2002)『どっちの勝ち?』(2007、鵜殿えりか・小泉泉訳、みすず書房、2020)、『いじわるな人たちの本』(2002)、『ピーナッツバター・ファッジ』(2009)、『小さい雲と風の女神』(2010)、『カメかウサギか』(2010)、『ほんをひらいて』(2014、さくまゆみこ訳、ほるぷ出版、2014)など。写真絵本『忘れないで――学校統合への道』(2004)はモリスンの単著。ノーベル文学賞(1993)のほかに、全米批評家協会賞、ピュリツァー賞、大統領自由勲章など数々の賞を受賞。プリンストン大学などで教鞭をとった。

「2020年 『どっちの勝ち?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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