- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087460193
感想・レビュー・書評
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6作品どれも濃密な人間模様。その中で展開される物語に夢中で読んでしまった… たまに警察小説を手にするけど格好良すぎ、ドラマありすぎで熱い!
横山秀夫さん、出口のない海も素晴らしかったし、クライマーズ・ハイ、ノースライトも読んでみようか…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これもまた会社の方にお借りした一冊。
刑事もの。
短編集は本当に苦手で、沢山借りた本の中でも、短編かぁ、、、と後回しにしていた。
F県警強行犯シリーズものらしい。
一班、朽木
二班、楠見
三班、村瀬
それぞれ個性のある班長の嗅覚が事件解決へと導いていく。
それぞれの個性も面白いのだが、そのプライドのぶつかり合いも見もの。
短編嫌いの私でも、同じ県警の刑事の物語ということで、読みやすく感じた。
一編一編も精緻に作られており、短編でもかなりの満足感を得られた。 -
R4.2.1-3.12
いやあ、時間がかかった。
読書の時間がyoutubeと音楽に取って代わられたことで、なかなか読み進められなかった。
第1編を読み終えて気付く。
「これって、短編集?」
F県警捜査一課の3つの強行班係がしのぎを削る。
これまで読んだ横山秀夫の警察小説は内部抗争ばかりで少し辟易していたが、これはそれほどでもなく、意地と知恵とプライドをもって事件に向かっていく物語だった。 -
F県警刑事課を舞台に数々の事件を解決するオムニバスストーリー。洗練された文章で、飽きることなくすいすいと読めた。警察署内の競争といった視点は初めてで面白かった。各班の班長達も個性的。
すぐにでもドラマなりそうだなと思ったら、すでにドラマ化していましたね。
改めて実写でみてみたいです。 -
およそ一年ぶりの横山秀夫先生。
相変わらず面白い。そして、いちいち格好良い。
今作は警察物ですが、新聞記者を描いたクライマーズハイに近い、男たちの矜持を描いた物語にぐっとくるものが有ります。
ミステリーとしての謎もしっかりと楽しめましたし、特に囚人のジレンマではジリジリするような心理面の描写が素晴らしい。
ドラマも観たいからサブスクで探さないとね。 -
強烈な個性を持つ捜査1課の班長たち。イライラするほど激しい覇権争い。
重厚で読み応えのある、これぞ警察小説!
(でも、警察小説は苦手で感想もうまく書けなくて申し訳ないです)
どの話もタイトルがうまい。
「沈黙のアリバイ」
沈黙…怖い。
「第三の時効」
第一の時効、第二の時効、第三の時効とは…。
「囚人のジレンマ」
囚人のジレンマに陥ったのは?
「密室の抜け穴」
密室の抜け穴はどこに?
「ペルソナの微笑」
微笑みの仮面を被っているのは。
「モノクロームの反転」
黒と白。ちぐはぐなパズル。
1番面白かったのは「囚人のジレンマ」、『64』を思い出す。
新聞記者たちとの熱い戦い。腹の探り合い。攻防。
まだ発表していない事を聞いてきた新聞記者に対して、捜査一課長は瞬時に答えを出すさなければならない。
誰が新聞記者に情報を流したのか捜査一課長は考える。
捜査一課長は「囚人のジレンマ」に陥いってしまうのか? -
ブクログのオススメ欄で知った1冊。
横山秀夫さんの著書も何冊か読んだことがあったので、話の雰囲気は読む前から想像できたけれど、それでもとてもおもしろかった。
本書はF県警捜査一課を舞台とした連作短編集である。
捜査一課は三班で構成されており、お互いの班を目の敵にしながらも凶悪事件の解決に尽力していく。
笑わない刑事・朽木率いる一班が主軸
→「沈黙のアリバイ」「ペルソナの微笑」
元公安刑事・楠見率いる二班主軸
→「第三の時効」
たたき上げの刑事・村瀬率いる三班主軸
→「密室の抜け穴」
一〜三班を束ねる捜査一課長の田畑が主人公
→「囚人のジレンマ」
一班と三班が競り合う
→「モノクロームの反転」
どの話も重い事件を扱っているのだが、短編という短さにも関わらず物語の厚みを感じた。
また、読み終えてみると各タイトルと物語の呼応性が絶妙であることがよくわかる。
どの話も納得の結末であり、次も読みたいと思わせるものばかりで、第二弾はないのかと検索してみたが、まだ書籍化はされていないようである(残念)。
泥くさく、怨念と情念がうずまく重苦しい刑事ドラマであるが、その重厚さを味わってみたい方にはオススメである。 -
「第三の時効」
どれも面白い。
F県警強行犯シリーズ第1弾。高い評価を受けるのはごもっともな作品。恐らく警察小説が好きな人は、読了済率90%はあるんじゃなかろうか。どんでん返し、警察内の駆け引きが、ぐぐっと詰まった濃度が高い連作短編集である。読みながら、面白いな面白いなーとか、げげっ、こうきたのか!?とか、楠見エゲツないけど凄腕だな、とか感想がぽんぽん頭に浮かんできた。書評としては、以上、読んでみて下さい。であります。
テクニカルな面では、複数の事件が同時に進行するいわゆるモジュラー型警察小説を採用している。日本では敬遠されるのは、卓越したストーリーテリングと巧緻プロットが要求されるからとのこと。横山秀夫はこの二つを兼ね備えている。だからこそ凄い。
朽木、村瀬、楠見の主要キャラだけでなく、彼らの上司や部下も良く描かれている。特に「ペルソナの微笑」が印象深い。犯罪に利用された過去を持つ矢代が、抱える苦悩と刑事としての責務。男達の矜持だ。
また、文庫に辺り随分加筆がされている。それ故に単行本読者でも楽しめる。この加筆により、ストーリーがぐっと深くなっているらしい。専門的なところは分からないが、朽木、村瀬、楠見と言う癖強キャラに負けない味があるのは、こう言うところの要素もあるのだろう。 -
面白い!!!
<警察小説の最高傑作>みたいな謳い文句も誇張なんかじゃないと分かる。
本作は全六篇の連作短編から成る、「F県警強行犯シリーズ」と称される刑事物。その第一弾(後に、短篇が二作品)。
主な登場人物は、警視庁捜査一課強行犯捜査一係の面々
一班の班長「朽木」…論理的で、笑わない男「青鬼」
二班の班長「楠見」…犯人の追い詰め方が容赦無い冷血、冷徹
三班の班長「村瀬」…二人とは異なる閃き、天才肌
そんな愛想のない、コミュニケーションもへったくれもない彼らを束ねる課長の「田畑」と、各班の部下たち
とにかく、この我の強い各班長3人のキャラクター性が抜群!
(ここ数年テレ東で不定期に放送されてるドラマ版のキャストも完璧でした。というかそれきっかけで本書を手に取った次第。朽木は中村トオル、楠見は松重豊、村瀬は岸谷五朗。その他、田畑は平田満、矢代は風間俊介。今にして思えば、キャラの具現化が素晴らしい。ドラマとしてのアレンジも絶妙。)
それぞれが内に秘めた熱いものを持ち、手柄を他所には譲らんと対立し合っているものの、その実力は認め合っているような関係性。
その闘争心、競争心、悪人に対する強烈な憎悪が不協和音となって事件を解決に導く。
凄く複雑な事件を描いているというわけでもなく、その事件解決までの過程、真相から見えてくる人間性がとても魅力的。
いつになってもいい。また彼らの活躍を拝みたい。