広瀬正・小説全集・1 マイナス・ゼロ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.00
  • (199)
  • (231)
  • (141)
  • (18)
  • (7)
本棚登録 : 1763
感想 : 245
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463248

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • おもしろかった!!
    後半、どんどん過去と現在(どこを現在というのかはアレだけど)が繋がっていって、えっ、あ、そういうこと!?へええ〜!と腑に落ちていくのが爽快だった。
    最後の最後は何が何やらでぐちゃぐちゃだけど、勢いに任せて読了。笑

  • かなり前からワタシのウィッシュリストにありながら手を出していなかった一冊が、往来堂書店「D坂文庫 2013夏」にリストアップされていたので、即買い。
    SF長編の金字塔とも言われているだけあって、極上の一冊。タイムトラベルものについて回る「歴史を変えてしまうのでは?」という疑問をうまくクリアしてエンディングにつなげてゆく流れは唸るしかない。先週睡眠不足に陥り、昼間の集中力が落ちたのは他でもないこの一冊のせいだ。
    この長編がこれだけ支持されるのは、単なるSFものではないからだろう。戦前の日本の様子や、そこに生きる市井の人たちの人情の厚さを描いた歴史文学作品の味付けが、この長編の価値を上げ、読者の間口を広げていると思う。

  • 素晴らしい.
    タイムマシンものの秀作と思う。
    50年経ても、古さを感じない。映画化、ドラマ化は何故されないのか不思議。

  • 物語の中心であるところのタイムトラベルにまつわるエピソードが、え?人の反応ってこんな?って腑に落ちなくて、ちょっとスムーズに入ってこなかったんだけど、戦前の東京と昭和38年の東京がノスタルジックで、面白かった。みんな、のんびりしてみえる。こんなにすぐ人を信じちゃって、大丈夫?って感じ。

    なんだけど、物語が終わりに近づくほどに、無限ループの流れにはまり込んだ感じになって、軽く混乱する。のんびりした世界が、実は伏線だらけの複雑な世界だったことがわかる、捩れっぷり。

    08年の本屋大賞で「この文庫を復刊せよ!」のリクエストNo.1となった作品。全集復刻の担当編集さんが墓前に報告に行こうとしたが、どうしてもお墓が見つからなかったと、10年4月の読書欄で読んだけれど、その後墓前報告はできたのだろうか?

  • タイムマシン本との事ですが、だいぶ想像と違ってました。
    章立てが、プラスゼロ、プラス18、マイナス31、ゼロ、マイナスゼロ、な所が気になりましたが、読み進めるにつれ謎が解けていき最後に一気に畳み掛ける!気持ちのいいラストです(^^)

  • 再読。実際に読んだのは再刊版ではなく、昭和57年の集英社文庫の広瀬正全集版。

  • タイムスリップ物。もう、タイムパラドックスしまくり。けど、細かなことはどうでもいいです。とても劇的に、情緒たっぷりに、ロマンチックに物語は展開します。
    この小説のメインは昭和7年の、戦前の平和な風景です。とても詳細にリアルに描かれており、まさにタイムスリップした気分で没入するように読みました。当時の状況を知る貴重な史料とも言えるのではと考えます。
    マイナスゼロ地点である昭和37年の状況ですら読み手の現代から見たら過去になるわけで、色々な年代の錯覚にめまいを起こしそうです。
    未来から来たタイムマシンの設定が10進数ではない故、それを使う登場人物達を誤った年代に飛ばすアイディアも秀逸。意外だったのは伝蔵さんが徴兵に取られてそのまま終戦まで生きるところです。先が見通せなくなり不安になります。ひねりがきいています。
    しかし、啓子さんが実は美子さんで自分が自分を産んでその子供にとってはお母さんとおばあちゃんが同一人物なんてなんてやり過ぎですね。タイムマシンの存在が否定される最たる例えの1つになりそうです。それにしても俊夫さん、手が早すぎ。
    更にこの先戻ってくるタイムマシンでその娘が考える過去と未来がパラドックスを深めそうです。
    昭和7年から37年に来た警官はどうなるのでしょうね。
    未来から来た伊沢先生は?ヨーヨーの特許ネタはほったらかしですね。結局ほぼ働かずに浪費するだけの俊夫さん。
    音響機器の事情にやたら詳しいところは作者の造詣の深さではなくお話の都合ですね。
    いつかまた読み返したい傑作です。

  • 333p南京町へ行ってたらふくご馳走を食べるところや、394p邪魔者が頭を上げたところ。おもしろい。

    銀座の描写など緻密であり、熱気を感じる。もれなく帽子を被った人々、目が痛くなるようなけばけばしいネオン、顔が真っ白の女たち、自転車の往来、などなど生き生きとしている。元々の設定にあぐらをかくことなく、こういう描写がしっかりしているからなおおもしろい。

    人々の住む街での描写も、所々おもしろい表現があり、テンション高く読み進めた。

    怒涛の終盤は手に汗握るスピード感。主人公の感じるもどかしさにみごとにシンクロしてしまった。混乱しながらも丁寧に読む必要がある、しかし早く先が読みたいというせめぎ合いの中読み進めた。

    戦争から帰ってきたあとの主人公から、心理描写が減った気がする。それが気味悪く、この先どうなるのかという不安と期待が湧き上がった。後半の奔走はなんだかマヌケでおもしろかった。

    啓子の最後の行動は少し無理があったかと思うし、蛇足な気がする。

    レイ子、健気な子だ。みんな、ノーパンしゃぶしゃぶとか言ってないで、パンティは履こう。

  • 昭和一桁時代ものとして面白い
    構造の仕掛けが終盤に掛かり過ぎ
    さらに結末も強引

  • 何年か前に知り合いにこれ面白かったからと本を貸した。いや戻ってきてないので、あげたのかも知れない。最近になってあれ面白かったから再読することにした。すると初めて読むような新鮮な感じ。そう。初めて読んだのだ。こんなバカなことがあるだろか。読んだこともない本を他人に面白いからとあげる。こんなバカな奴がいるだろうか。

    1945年、空襲が激化した東京。浜田俊夫中学2年は、美人の娘啓子の父親の大学の先生から18年後にこの場所に来るように頼まれる。先生が作ったのは、タイム・マシンだったのだ・・・18年後、過去からやって来る人がいた・・・そして浜田は31年前の世界へ。戦前、戦中、戦後を前後する時間旅行のたび・・・

    うーむ。もしこれを前に読んだことがあったら絶対に覚えている。そんな強烈なインパクトがあった。そして猛烈に面白かった。

    昭和初期から1960年代までの風俗がかなり詳しく書いてあって、それを読むだけでも楽しい。

    タイム・マシンに関しても伏線が巧みに張られていて、回収される様も見事。出版されたのは1974年だそうだけれど、全く読みにくくない。詳しいわけではないけれど、タイム・マシンものの小説の中で傑作と呼ばれるのがよく分かった。

全245件中 21 - 30件を表示

広瀬正の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
東野 圭吾
あさの あつこ
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×