終末のフール (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464436

感想・レビュー・書評

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  • 「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
    はっとさせられた。この本を読み始めて自分がもしあと数年しか生きられないとしたらどうするだろうと考えてたけど、この言葉に確かにと思った。そのあとの
    「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
    という言葉に確かにと納得した。小惑星が衝突してこないとしても人間はいつか死ぬ。明日死ぬかもしれない。なのにどこかまだ死なないと思っていて適当に生きてるのかも、と少し自分が悔しくなった。
    いつ死んでも後悔がないくらい、今を必死に一生懸命に行きたい。
    今出来ることは今やる。生き方について考えさせられる一冊だった。

  • 「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ」
    この一言に胸を撃ち抜かれたような気持ちになりました。

    生きることは“嫌で、生々しい”けれど、この小説の登場人物達はあと3年で地球が消滅するという状況の中で、生々しくも心を温かくしてくれる生き方をしていると思いました。

    とんでもない状況設定なのに静かな作品だと感じさせる伊坂さんは素晴らしい。
    生きるということを考えさせてくれる一作。

  • やがて訪れる小惑星衝突による「地球滅亡」。
    残りの時間を、人はどのような時間を選択をするのか。
    あえて死のうと、抗って生きようと、変わらず毎日を過ごそうと、こんな「今」だからこそと思うことをしようと……自分はどうするかなぁ~。
    「今日という日は残された日々の最初の一日。」なのだから、毎日楽しく過ごしたいね。

  • 地球滅亡…大きいテーマですねー
    ラストをどう締め括るのか読中心配と期待がありましたが、ラストはこのパターンか…ていう感想です。
    でも難しいですよね、この展開は。
    無難なラストかと思いました。

  • いつか死ぬという事実はわかっているけど意識しないもの。明日死ぬとしたらどうする?というようなことは話したりしたことがあるけど、それよりももっとリアルだなと感じた。
    また、死を悲劇とも喜劇とも捉えず、生きることを義務のように捉えているところに救われる思いもした。死神の浮力の中での、日々を摘む生き方と通じる考えだなと思った。

  • 世界が終わるまであと3年。ある町に住む人たちが主人公ということで、主人公の違う8つの話が入っていて、それぞれがリンクしあい、そこで話が進んでいくという形。山はないとしても、うまいことできているなぁ~って思った。俺の中で一番面白かったのは最後の『深海のポール』。きっと俺も"じたばたするけど、許してくれよな"って思う。

  • 世界が滅亡するかもしれないという突飛な設定にしては
    淡々と物語は進んでいく。けれど、確かに現実の私たちも淡々と生きているし、無様にみっともなく生きている。

    改めて「生きる」ことを考えさせてくれた本でした。

  • 短編だし、あっさり読みやすいから、伊坂幸太郎作品の中でもあまり好きって人に出会わないんだけど、私はすごく好きな一冊です。
    "8年後に小惑星が衝突すると予告されてから5年後"という混乱も過ぎてあと少しという絶妙な舞台がすごく良い。


    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
    「鋼鉄のウール」より

    人の命に永遠も保証もない。あと8年と言われないと気付けないのか、頑張れないのか。いつ死んでも誇れる自分でいるような生き方をしないといけないと、この作品を読んで思えるのです。

  • 伊坂幸太郎が好きだ、と久しぶりに彼の小説を読んで思った。
    数多くの魅力的な登場人物が、それぞれのストーリーで同時並行に生きている。そしてそれが最後何気ない瞬間で絡み合う感動というのは、やはり伊坂幸太郎らしい演出だ。

    特に感動したのは「鋼鉄のウール」と「深海のポール」
    前者では家庭事情に苛まれる少年が、スポーツジムの選手に憧れ前に向き直るという、一種のスポ根のような話。
    後者では穏やかでありながらも、やはり粗暴な父に育てられた息子の漢らしさに痺れた。
    一章一章が短編であるにも関わらず、全員が主役となった映画を創り上げられそうな充足感は、舌を巻くしかない。

    隕石衝突、世界滅亡という重いテーマに服して、まるでバイオハザートような社会にも関わらず、「それでもなお生きる」ことに向き合う人間たちは、かっこ悪くも美しい。

    洒落た言葉遣いや表現、読後の爽快感。
    やはり、伊坂幸太郎。好きです。

  • 「太陽のシール」
    30代夫婦の話。残り3年の中、妊娠したことがわかる。優柔不断な富士夫は、産むことは子供にとって幸せなことなのかを考え、出産することを迷うお話。
    この夫婦の在り方、理想的すぎました。相手のネガティブなところを面白がってくれるって素敵。あと、冗談とツッコミがあるのも素敵。
    そして、最後の終わり方が素敵すぎた。初めて自信を持って大きな決断をした富士夫。しかし、妊娠がデマだったかもしれないと知り、自分の決意を後悔しながらも、その行動に満足もしている。そのあとのオセロを絡めた終わり方が本当に素敵でした。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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