- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087464436
感想・レビュー・書評
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「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ」
この一言に胸を撃ち抜かれたような気持ちになりました。
生きることは“嫌で、生々しい”けれど、この小説の登場人物達はあと3年で地球が消滅するという状況の中で、生々しくも心を温かくしてくれる生き方をしていると思いました。
とんでもない状況設定なのに静かな作品だと感じさせる伊坂さんは素晴らしい。
生きるということを考えさせてくれる一作。
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やがて訪れる小惑星衝突による「地球滅亡」。
残りの時間を、人はどのような時間を選択をするのか。
あえて死のうと、抗って生きようと、変わらず毎日を過ごそうと、こんな「今」だからこそと思うことをしようと……自分はどうするかなぁ~。
「今日という日は残された日々の最初の一日。」なのだから、毎日楽しく過ごしたいね。 -
地球滅亡…大きいテーマですねー
ラストをどう締め括るのか読中心配と期待がありましたが、ラストはこのパターンか…ていう感想です。
でも難しいですよね、この展開は。
無難なラストかと思いました。 -
世界が終わるまであと3年。ある町に住む人たちが主人公ということで、主人公の違う8つの話が入っていて、それぞれがリンクしあい、そこで話が進んでいくという形。山はないとしても、うまいことできているなぁ~って思った。俺の中で一番面白かったのは最後の『深海のポール』。きっと俺も"じたばたするけど、許してくれよな"って思う。
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短編だし、あっさり読みやすいから、伊坂幸太郎作品の中でもあまり好きって人に出会わないんだけど、私はすごく好きな一冊です。
"8年後に小惑星が衝突すると予告されてから5年後"という混乱も過ぎてあと少しという絶妙な舞台がすごく良い。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
「鋼鉄のウール」より
人の命に永遠も保証もない。あと8年と言われないと気付けないのか、頑張れないのか。いつ死んでも誇れる自分でいるような生き方をしないといけないと、この作品を読んで思えるのです。 -
伊坂幸太郎が好きだ、と久しぶりに彼の小説を読んで思った。
数多くの魅力的な登場人物が、それぞれのストーリーで同時並行に生きている。そしてそれが最後何気ない瞬間で絡み合う感動というのは、やはり伊坂幸太郎らしい演出だ。
特に感動したのは「鋼鉄のウール」と「深海のポール」
前者では家庭事情に苛まれる少年が、スポーツジムの選手に憧れ前に向き直るという、一種のスポ根のような話。
後者では穏やかでありながらも、やはり粗暴な父に育てられた息子の漢らしさに痺れた。
一章一章が短編であるにも関わらず、全員が主役となった映画を創り上げられそうな充足感は、舌を巻くしかない。
隕石衝突、世界滅亡という重いテーマに服して、まるでバイオハザートような社会にも関わらず、「それでもなお生きる」ことに向き合う人間たちは、かっこ悪くも美しい。
洒落た言葉遣いや表現、読後の爽快感。
やはり、伊坂幸太郎。好きです。