新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 181
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465174

感想・レビュー・書評

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  • 章ごとに語り手が変わるのが、それぞれの考え方の違いが浮き彫りになる点や、それぞれの隊士の葛藤や他の隊士に対する感じ方が面白かったです。でも、話が結構飛びがちなので、この本はある程度、新撰組を知っている人でないと、楽しめないとも思いました。印象的なのが山南の描かれ方。他の本はもっと活躍してるのに、この本ではかなりの冷遇ぶり。でもやはり沖田と山南の最後のシーンは、しっとりとしていていいなぁと、思いました。最後の方の斉藤と土方の関係も良かったし、新撰組好きにはオススメの一冊です。

  • ここまで頻繁に視点が変わる小説は初めてだったので最初は戸惑ったけど、ひとつの出来事を複数の眼で見ることができるのはとても面白い体験だった。白だと思ってたものが、別の誰かから見たら黒かったり、他の何色かだったり。
    視点がコロコロ変わるのに、しっかり感情移入もできる。新撰組の行く末を知っているから、隊士たちに親しみが湧けば湧くほど切なさが増す。
    一人ひとりの人格を繊細な心理描写で描き分けられる木内昇さん、本当にすごい作家さんだと思う。

  • 「浪士組」の章で、早くも挫折。そもそも歴史小説が苦手な私。これなら大丈夫と勧められ挑戦。
    ・・・「上洛」?「天領」?「御落胤」? 1ページで3回も?マーク。今はスマホ片手に読めなくないけど、はてなが多すぎる。
    歴史のお勉強し直そう!

  • 貧しい百姓に生まれ、長男でもなかったので実家も継げず、自分探しに明け暮れていた若者たち。が、時代は幕末だった。幕府に代わって朝廷が支配する世の中が来るかもしれない。何でもアリの動乱の時代。ひょっとしたら武士になれるかもしれない。自分で自分の生き方を決めることができるかもしれない。若者たちはわずかに見える希望の光を頼りに、幕末の嵐の中へ飛び込んだ。

    近藤勇、土方歳三、沖田総司など新選組の主要メンバーを主人公とした短編作品をつなぎながら、新選組の存在価値を追求していく連作小説。

    新選組とは不思議な集団だ。個性の強すぎるメンツが思うままに行動し、入隊と脱退を繰り返し、組織内での抗争もあった。頼りにしていた幕府もなくなった。戦いも剣から銃に代わった。それでも新選組は存在し続けた。その最も大きな要因が土方歳三。彼は幕府のためでも出世のためでもなく、自分のやりたいことをやりたかった。それが新選組という組織の強化と維持だった。

    なぜ、土方は新選組にこだわったのか。その理由はとくにない。なぜ山に登るかと問われた登山家が「そこに山があるから」と答えるようなものだろう。

  • 新選組 隊士 一人一人を知る事が出来る構成。
    土方さんの、情の深さを読みながら感じると、泣けて来た。不器用故に生きづらさを抱えていたのだろうなと思いながら…。

  • 十代から新撰組に興味を持っていました。きっかけは栗塚旭さんの「燃えよ剣」。司馬遼太郎さんの原作を読みました。続けざまに「新撰組血風録」「新撰組始末記」を読みました。テレビドラマの「新撰組始末記」大河ドラマの「新撰組」などなど。
    最近は少し飽きたなあと感じていたのですが、この作品は面白いです。切り口が斬新です。登場人物たちの主観でストーリーが展開して行きます。筆者が登場人物像を、しっかり持っており筆を進めています。当然、後半に進めば悲しくはなってくるんですが登場人物が、実際にその様に感じていたのではないかと思わせます。

  • 「燃えよ剣」とは違う土方歳三に会えました。
    歴史の勉強にもなるので、子供に読ませたい本です。

    新撰組という新しい組織を、前に進めよう確立させようと苦心している様子に、今の自分の仕事状況と重ねて大変共感でき、良い本に巡り会えたと思っています。

  • 一つの歴史上の出来事を様々な人物の視点から描かれているのでとてもおもしろいです。ただの紙の上の文字が立体となり、自分の周りを回っているように感じました。新選組の小説でよく表現されている、近藤さんは素直で武士という夢に一直線、土方さんは目的のためなら手段を選ばない策士家、沖田さんは剣の腕は立つが、どこかふわふわしているというイメージの根本の部分がこの小説ではまるで本人の口から聞かされているようにわくわくしながら感じ取れました。
    初めて新選組の小説を読む方も、何冊も読んでいる方にもおすすめの一冊です。

  • 新選組の末路を重々承知していても山南の最期あたりからは泣けて泣けて仕方ない。視点が変わるからそれぞれの思いが垣間見える。特に永倉が語る油小路は読むのが辛いほど。実際に彼らが存在した時代があったのかと思うとなんとも切ない気持ちになるけど、みつの「それでも弟の生きた姿を、心の底から羨ましいと思っていた」って言葉に少し救われた気がする。

    はぁ、それにしても久々に徹夜して読んだ。木内さん、恐れ入りました。

  • 歴史小説と聞くと、読みづらいとか難しそうという印象を抱きがちだけど、この小説は軽やかな筆致でものすごく読みやすい。幕末という過激な時代でありながら、登場人物の考え方が現代人でも共感できるように描かれているからだと思う。新撰組について知りたい人がいたらまずこの本をオススメしたい。

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著者プロフィール

1967年生まれ。出版社勤務を経て、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年『茗荷谷の猫』が話題となり、09年回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、11年『漂砂のうたう』で直木賞、14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞。他の小説作品に『浮世女房洒落日記』『笑い三年、泣き三月。』『ある男』『よこまち余話』、エッセイに『みちくさ道中』などがある。

「2019年 『光炎の人 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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