- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087467864
作品紹介・あらすじ
かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。第21回小説すばる新人賞、第37回泉鏡花文学賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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閉塞感と名付けるにはあまりにも残酷なのに、汚さを感じさせず世界が描かれていました。
「時間や生活、悩み、葛藤、矛盾、一切のものからふっと一瞬離れていける。」
「どうして私達は試されなければならないのかしらね。」 -
ファンタジー遊郭&イケメン無罪で−5,000点のところを健気な船漕ぎと健気なキッズと緻密な描写、あと表紙で+になる感じの短編だったよ。
何処にも行けなさというのはここ15年くらいずっとトレンドね -
読者に委ねる部分の多い本に感じました。今の私ではその期待に応えきれていないように思うので、いつか再読したい。
白亜とスケキヨにかぎらず、相手に向ける感情が重たく特別であればあるほど、感情のままに行動できない。そこになんともいえないかなしさと、色気を感じました。その中で、ただひとり子どものハナが新笠のために蓮沼に立ち向かう姿が鮮烈でした。幼い白亜とスケキヨが互いのためなら何も恐れなかったように、がむしゃらに動けたハナを見て、白亜はどう思ったのでしょうか。
後半の白亜と蓮沼のやりとりにはしびれました。白亜にとって、特別はスケキヨただひとりなのだろうけれど、蓮沼の存在も無視できないもので、そこにはたしかな情があったのだろうと思いました。 -
千早さんは香りと不思議な少年を題材にするのが好きですね。らしさ全開の一冊。
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圧倒されるカバーが印象が強くて手に取りました。序盤はファンタジーを思わせるような展開でしたが…これはミステリーなのでは?容赦ない表現もありますが、読みやすくてどんどん引き込まれてしまいます。欲を言えば、主人公以外のエピソードが物足りなかったです。
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著者の文章表現が一定水準以上であることは分かるのだが、その技術を弄する感がして好意を持てなかった。描きすぎで行間が薄いのが残念だ。