- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087473582
作品紹介・あらすじ
阿部看護婦長、またの名を"血まみれのマリア"は心に決めた。温泉に行こう。雪に埋もれた山奥の一軒宿がいい…。大都会の野戦病院=救命救急センターをあとに、彼女がめざしたのは-なんと我らが「プリズンホテル」。真冬の温泉宿につどうのは、いずれも事情ありのお客人。天才登山家、患者を安楽死させた医師、リストラ寸前の編集者。命への慈しみに満ちた、癒しの宿に今夜も雪が降りつもる。
感想・レビュー・書評
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四部作の三作品目。
安定した面白さでした。
最後どの様に纏めるのか楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H30.12.21 読了。
・任侠とは「弱い者を助け強い者をくじき、義のためならば命も惜しまないといった気性に富むこと。」と辞書にあるような生き方をしている面々が今回も人情味あふれる話を展開していた。ひそかに気になっていた孝之助先生とお清の恋の行方は?救急外来婦長の血まみれのマリア、世界的なクライマーの武藤嶽男やいじめられっ子のの太郎と元暴走族総長の友情など見どころもいっぱい。
浅田さんはキャラクター一人一人にスポットを当てても全体が見えるような作風なので、読んでいても迷子になりにくい。やっぱりこの世界観が好き。
・「叱られるのを待っていたんです。ぶん殴られるのをね、ほっぺたを差し出して待ってやがったんですよ。」
・「ひとことだけです。『おい花沢、頭下げるんなら、世話かけた順にしろ』って。思わず女房の横顔を見て、もう何も言えずに泣いちゃいましたよ。」
・「死にたいっていうのと、死んでもいいっていうのは大違いだ。」
・「あれこれ考えるな。男の選ぶ道は迷うほど多くはない。」 -
今回の物語は、また角度を変えて、生と死を描いたもの。一般社会での価値体系よる一元的な評価だけでは人間は測れないということを、アウトローの任侠と触れることで解体し敷衍してきたのがこのシリーズ。しかし、そんな異なる価値体系、見えや粋、面子と言ったものを大切にして生きている男たちも、死を前にして、命と向き合うと形無になってしまう。
『死にたいことと、死んでもいいってことは、全く別物』という言葉の重さを知る。
イジメを苦にする少年や次作を求める編集者の姿から、生きることは、苦しく、さまざまなことを縁にして人は生きていることが浮かび上がる。その一方で、その命をめぐる、マリアと平岡の対立、そして山男の姿勢に命の尊厳、峻厳さを改めて気づかされる。
命は儚く頼りない。が、とてつもない力強さと光をも同時に宿している。
そんなメッセージを貰う生命賛歌の物語だった。
そして、そんな中で、徐々に主人公の作家の内面が前に出てくる。子どもで止まってしまい、愛情表現の方法を知らぬその姿に、漸く共感できるとっかかりが見つかった。次巻、最終巻で、この作家の魂も救われるのだろうか。
シリーズものながら、全く異なる展開でワンパターン化しない浅田次郎の筆力を感じさせられた。 -
プリズンホテルの面々は相変わらずドタバタでほっこりするし今回のお客もまた色々あるしで楽しめた。
次は最終巻の春へ! -
ここまで来てやっと!
やっと木戸の人間らしさを垣間見た!
良かった!!とホッとできた。
あと一冊、この後の物語はどのように紡がれるのか!? -
すごく面白いのに読み終えると、はぁ〜っとため息が出て切ないような安堵のような気持ちになった。
天才登山家、血まみれのマリア、平岡医師。生と死が隣り合わせた状況に何度も置かれた人たちは、やっぱりこんな考え方になるんだろうな。
私なんて甘っちょろい。太郎と変わらない。
もしかしたら偏屈な小説家の方に近いのかもしれない…
パート4春では お清と結婚した孝之介がどうなってるんだろうか?
楽しみッ! -
「冬」ですごいキャラが現れた。阿部マリア・20年の救急センター婦長。
「20年の間に1万5千人を助けた聖母マリア、そして5千人を殺した「血まみれのマリア」。「死んだかどうかは私が決める。ここでは私が法律よ。」 -
巻を追うごとに、登場人物の魅力やらストーリーやらに魅了される。
最終巻が楽しみでもあり、終わるのが寂しくもある。 -
アルピニストと少年の交わり。作家と清子が結婚?
娯楽に最高です。春編が楽しみです。 -
また一気に読んでしまいました。マリアさんカッコいいです。もう一回『きんぴか』を読んでみたくなりました。木戸孝之介、今回もなんとも始末に負えない男でまいったね。でも少しずつ変わりつつある感じに目が離せない。武藤さんは男の中の男ですね。あと一冊(春)すぐに読んでしまいたい気持ちを抑えつつ、もったいないので少し温めておきます。