プリズンホテル 4 春 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087473780

作品紹介・あらすじ

義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。これでもう思い残すことはない…。忽然と姿を消した富江。その行方を気に病みながらも、孝之介たちは選考結果を待つべく「プリズンホテル」へ。果たして結果はいかに?懲役五十二年の老博徒や演劇母娘など、珍客揃いの温泉宿で、またしても巻き起こる大騒動。笑って泣ける感動の大団円。

感想・レビュー・書評

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  • H30.12.28 読了。

    ・木戸先生には泣かされてしまった。富江さんへの思いも伝えられて良かった。この世界観が好きです。

    ・「極道てえのは、まずやさしくなけりゃいけねえ。強くなくちゃならねえ。強くて優しい男てえのはつまり、辛抱のきく男ってえことだ。」
    ・「いいか、てめえの人生てのは、てめえで変えようとしなけりゃ変わるもんじゃねえ。お天道様が下さる幸せなんざ、どこにもありゃしねえんだ。運はてめえの手で掴め。」
    ・「負けを決して考えるな。誰にどう呼ばれようと、悪い目の出ることたァ考えるな。」
    ・「強くって、やさしくって、辛抱のきくてえのが本物の男なんだぜ。」

  • 今回は、いい話だったなあ。
    しみじみと、そう思わせてくれる。これ迄通りのドタバタなのだが、何処かに哀愁と懐かしさを覚える静けさの中で物語が進む。
    ラスト、残りの紙幅でどう納得のいく終わり方をするのかと、ややハラハラしながら読んでいたが、物語のクライマックスは、突如、鋭い鋭角でもたらされた。素晴らしい大団円。非常に納得のゆく、美しい終わり方であった。
    主人公がずっと抱えていた毒。語れなかった、自認すら出来なかった感情。それらに気づき、吐露できたことで、生まれ変わっていく。
    大いなる再生と救済の物語。

  • や〜、賭博のところでは笑わせてもらったw
    人それぞれだけど私はこの春の巻が一番好きだなぁ面白かったぁ。
    さすがです浅田次郎先生。

  • 最後は良かった!
    全てがハッピーで本当に良かった。

    大嫌いな木戸先生も、この巻は感動した!!

    わがまま、暴力、自己中、最低の先生だったけど、このホテルはそんな心に傷だらけの人をほっこりさせてくれるホテル。

    読者の傷も知らずに癒えているのかも?

  • あー読み終わってしまった泣
    楽しかったプリズンホテルの日々。

    もう…
    支配人や孝之介やお清やミカや黒田にも、板長、服部、仲蔵親分、大曽根 アニタ ゴンちゃん…
    もう皆んなに会えないんだなぁ

    寂しい…。

  • 富江はすでに亡くなっているのだろうか?血は繋がらない孝之介の全細胞には富江の愛情が沁み渡っているに違いない。富江との人生の和解の日、プリズンホテルには暖かな南風が吹いていた。和解のきっかけは孝之介の日本文芸大賞受賞の報告とともに懺悔することで、富江に残された短い時間で孝之介は幸運にも間に合った。このやんちゃな孝之介が富江からそうされたように清子・美加には今後最大の愛情を注いで歩むべきだ、富江との和解に誓って。4巻通して、人生にけじめをつける者はプリズンホテルに集い、南風とともに去っていく。⑤

  • 完結編。
    プリズンホテルの世界観もこれで終わりかと思うと、ページを捲るのがもったいなくてもったいなくて・・・。

    今回ほとんど登場することのなかった、だけど全編通してそこに“存在”しつづけた、富江の愛。

    シリーズ4冊を通して描かれた、血の繋がらぬ親子の愛は、まさしく母が子を想う無償の愛だったのだなと思う。

    クライマックスでの美加の叫びが、本シリーズの全てを語る筆者の渾身の一球だったのだろう。

    故郷の母に電話をかけたくなる、そんな読後感が清清しい。

    ★4つ、9ポイント半。
    2018.07.31.新。

    願わくば・・・小説家と養母との再会場面も描いて欲しかった。

  • プリズンホテル最後の一冊。勿体ないので少しずつ読もうと思ったのに一気に読んでしまいました。まったくの大団円、よかったよかった。特に服部シェフと梶板長のくだりには泣きました。私も浮世の垢を落としにプリズンホテルに行きたいです。

  • 数々の笑いと感動をくれたプリズンホテルが終わってしまった(T-T)今回もドタバタで楽しめたけれど「富江は何処に…?」と心配が心の隅に( ´△`)そして最後は大団円!(^^)だけど、やっぱり「富江~(ToT)」と思ってしまった(..)いつからこんなに富江のファンになっていたんだろう?(--;)

  • 普通に面白い。夏、秋、冬、そして春。コメディタッチだけど、感動しました。浅田先生の文章にはところどころ、馴染みのない熟語が出てくるので、その都度調べる。国語の勉強になります。

  • ようやく読み終わりました。お腹いっぱいになりました!
    1巻から読み始めて4巻まで長かったけど、温泉宿に泊まって癒されたような気分です。

    小説家先生は偏屈だけど、優しくて暖かい一面もあったんだなあとしみじみ思いました。
    ラストは感動してしまいました。

    嫌なこと、苦しいこと、辛いこと、悩み事があったらプリズンホテルに戻ってこよう。

  • 大円団。任侠ものが好きな人は、この感じが好きなんだなとよく分かった。
    板長とシェフの職人魂がいい。本当に美味しい物を食べると人は笑う、とか、大統領にだって家族に作るように作ればいい、とか名言だらけ。

  • 主人公「僕」のDVの違和感。

    「人を思いやること」は 
    体験のないものにとっては
    理解することも、その大切さを想像することもできないのかもしれない。

    私たちにとって当たり前の人との関わり方。

    主人公「僕」のDVは
    彼の環境から得た成長の果てだったと思った時
    単なるめめしい被害者意識だと
    自分も、主人公を、自分の価値観に落とし込んで
    随分と見下していたことに気がついた。

    他人を尊重することは、案外と難しいことなのかもしれない。

    清子さんの純真さ、富江さんの温かさ。
    おそろしく時間はかかったけれどなんとか届いて良かった。

    はちゃめちゃな展開のあちらこちらに
    グッとくる言葉がきらきらと散りばめられていて
    昭和の匂いも満開にプリズンホテル、
    楽しませていただきました。

  • 木戸孝之介はクソ野郎だったな。

  • 完結。
    終わってしまったな。

  • 全4巻の最終巻。最初の1巻では期待していなかったが、4巻はとても面白い。様々な人間模様を抱えた人の心が雪解けのように悩みが溶けていくことがよく伝わってきて、感動的だった。

  • ついに終わってしまった。
    名残惜しい。
    まだまだこの物語を続けてほしい。
    ハチャメチャでドタバタだが、ホロっと涙を誘う。
    まさに、浅田次郎の真骨頂。
    まだまだ、描き続けてほしいシリーズだった。

  • 義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。これでもう思い残すことはない…。忽然と姿を消した富江。その行方を気に病みながらも、孝之介たちは選考結果を待つべく「プリズンホテル」へ。果たして結果はいかに?懲役五十二年の老博徒や演劇母娘など、珍客揃いの温泉宿で、またしても巻き起こる大騒動。笑って泣ける感動の大団円。

  • プリズンホテル、ラスト!

    偏屈な作家とその家族、編集者たち
    50年余ものオツトメを果たした老侠客と破産寸前の町工場の経営者
    大部屋女優とその娘、そして恩師

    今回もプリズンホテルは大騒動

    笑って泣いて(号泣して)大団円。
    あーー。私も泊まりに行きたい・・・

  • 掉尾を飾る本作は、短編をミルフィーユのように積み重ねながらクライマックスへと進む。本作で52年の懲役を勤め上げた老侠客と破産寸前の町工場の経営者、大部屋の女優とその娘という新たなキャラを登場させながら、その結末は読者に知らされることなく、本来の主役である小説家・木戸孝之介の解脱で締めくくられる。ある意味、未完の作品と言えるし、その後の物語を読者に想像させる終わり方であった。終盤の富江に寄せる孝之介たちの想いに涙ぐんでしまった。

  • プリズンホテル最終巻の「春」。
    夏には「夏」、秋は「秋」、冬は「冬」の巻を読み、「春」を読み終えた。
    最初から理由はどうあれ、あの小説家だけは好きではなかったけれど、
    彼の最後の登場シーンを読んで、心落ちついた(笑)。
    任侠コメディの馬鹿らしさと同時に、登場人物たちの真摯な心がツボだった。
    双方が上手く融合されていた作品だと思う。
    (はっきり言って最初に「夏」を読み終えた時、そのまま最終巻まで一気読みしたかった)

  • シリーズの締めに相応しくまとまった内容になっていました。
    ただ孝之助の破天荒っぷりが余り見られずちょっとガッカリ。

    プリズンホテル、思いのほか楽しんで読んでいたので終わってしまうのが淋しく
    チビチビと読み進めていました。

    やっぱり浅田次郎好きだなぁ。

  • ああ、名残り惜しい。プリズンホテル。
    なんて面白い話だろうか。すっかりプリズンホテルに集まる妙な縁にとりこです。終わってしまって残念。
    人情溢れるキャラクター達。52年間刑務所居たって人に出会ったら、「俺の悩みなんて…ハナクソだ。耳くそ野郎」って思うかな?

    また、泊まりに行こう行きたい。

  • むちゃくちゃ面白いゲームが終わってしまった感じ。

    これはまた読み直そう。

  • 大人の素敵なおふざけ、終了。みかちゃん、しあわせになってね。

  • この物語が終わってしまうのが寂しくて、
    先に先に延ばしてた最終巻。
    木戸先生の印象が、夏の時と全然違った(最初はただのクソヤロウ)
    あー面白かった。
    また最初から読み直そう。

  • プリズンホテルシリーズ最終巻です。

    私の願い通り最後はみ~んなが幸せに終わったので本当に良かった!
    春を最終巻にしたところに著者の狙いがあらわれていましたね。
    私が許せないと思っている木戸の暴力癖もまあまだ健在だとは思うけど、夏の頃の彼とは違うし、何よりプリズンホテルはずっとそこにあるから安心できます。

    舞台も一緒だし、毎回同じパターンを描きながら全く飽きさせない展開・・・さすが浅田次郎!!
    この小説のことを皆さん、笑いあり涙ありと言うけれど、本当に声に出して笑い、彼らの人生哲学に涙しながら感動する究極の任侠エンタメ小説でした。

  • プリンズンホテル…人情あり、笑いあり、哀しみあり。人生の喜怒哀楽が凝縮されたシリーズ完結編。必読。

  • ★★★☆☆

  • 木戸孝之介は、極道小説の売れっ子作家である。今回日本文学大賞にノミネートされたという。その候補作品は、極道小説の「仁義の黄昏」か、それとも恋愛小説の「哀愁のカルボナーラ」か。二つの出版社の編集担当が競う。また木戸孝之介の母代わりの冨江は何処ともなく消えた。同じころ、五十年以上の懲役を務めた小俣の弥一は府中刑務所から出所した。これらの出来事が錯綜して、またまた極道ホテルでは大騒動となるが、最後はいかように…。プリズンホテル・シリーズの結末はいかに。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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