- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087475852
感想・レビュー・書評
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ああ、よい。ゆっくり流れているようで、心の中はいくつもの矛盾する感情が渦巻いてる日常。料理、花、レコード、家具、犬、空…全ての言葉の響きが香ばしく、芳しく、どこかほっこりする心地よさ。なんてことない身の回りのモノや場所、人の表情に煌めきと意味を持たせる描写がすごい。読後、もっと彼ら彼女らの日々を覗き込みたかったのにって思える。
結婚生活を幸せと思えるには、恋心の延長にあるものとしてではなく、安心という心の形態を確保するもの、と割り切る必要があるのかも。それはある意味ただの誘惑だし、結婚してからも恋情・愛情を求めてしまう限りは罠とも言えるし、一つの選択でしかないんだろうなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
様々な人生の枠を広げどうしようもない夫をもつ4人の女性の個々の生活。
幸せにみえてもそうではなく不満を胸に秘めている。
日常の何気ない生活。
描写が上手いので何回読んでもほんわかとなる。
何回読んだのか分からないけど、久々に読んでも新鮮に感じる。 -
珈琲が出てくる小説はよくある気がするけれど、紅茶がよく登場する小説だなと思いました。
檸檬はレモンティーのレモン、? -
長編楽しみ、解説も唯川恵さん(恋せども、愛せども)で楽しみと思って読み始めたものの、登場人物が多い短編集みたいって最初思った。そして登場人物多すぎて頭こんがらがって関係図を紙に書き出した笑
人間関係が複雑に絡み合って、でも作り物でエンディングに持っていくために絡み合ってる感はなくって、淡々と道徳的に良くない方向に転がっていったり行ったり行ったり。終わり方も終わったような終わってないような。起承転結とかもなくゆるりと坂を転がっていく描写イメージ
山籠り中に気分転換がてら読んでいった
感情輸入できなかったけど、解説で書かれている通り、もしかしたら私にもこういう世界線もあり得たのかもしれない、と沿っていって読むのかな -
生活も性格も違う複数の女性たちの目線から、代わる代わるに語られる日常。
激しい恋をしてる彼女、静かな恋をしてる彼、彼女。希望、しがらみ、愛情、仕事、家族…
住む家、集い方、散歩や買い物に至るまで、雰囲気がとにかく洒落てる。
キャラクターとしては共感しにくいんだけど、陶子ちゃんが小ぎれいな自分のマンションの床をぴかぴかに掃除して、その床に寝そべるところがなぜかとっても好き。あと、花屋の友達のくるくるパーマと何度も水をくぐったエプロン、れいこさんがエプロンしないで実はろくでなしの土屋さんにささっとごはん作るところもなぜか好き。
何回読み返したかわからない小説。 -
私が江國香織にハマるきっかけになった本。
恋愛のイヤらしさや、エロさをこんなにも切なく描けるのか思った。
読みやすくて、小説初心者の私でも読めた。 -
過去ブログで書いた感想文の転記です↓
結婚前、随分前。
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林真理子さんが好きな私は、この手の話が好きです。とくにこの小説は「かき分ける江國さんってすごい!」と思うくらい登場人物が多いです。
しかも人間関係が複雑に絡んでいたりして、作家さんはどうやってこんな構成を考えて物語を作るんでしょう。
読みながら私は、自分がこの物語に登場してくる誰に近い女なのか考えながら読んでみたのですが「基本的には・・・草子のような気もするけど・・・でも陶子の部分も多々あるな・・・桜子の一部分も否定できないし・・・」と結局曖昧でした。
読み終わった後、あとがきで唯川恵さんが「自分をあてはめるという読み方は、あまり良い方法ではないかもしれない、と。私の中にはそう生きられなかったけれど、もしかしたらそういきていたかもしれないいくつもの人生があり、それを登場人物の方が先に見つけ出し、するりと入り込んで来て、気がつくとその人物と自分が重なっている、という具合なのである」と言っていました。
うーん確かに。でも私には衿の行動はちょっと理解しがたいけれど・・
それは衿と私の選びとった人生が、生まれてからここまで来た環境が違い過ぎるからだろう。
私が、小説を読むのが好きなのは「自分の知らない考え方、生き方を疑似体験できるから」です。時に、切ないくらい共感したり、1mmだって理解できないよ、と反発したり・・・あくまで「疑似」体験ですけれども。
でも、これだけの生き方を実際に体験しようと思ったら、寿命をうんとのばしてもらうか、何度も生まれて知識を蓄積していかなくてはならないです。
それを本は、簡単に体験させてくれる。(作る側は大変でしょうが汗)
この江國さんの本も、女性の気持ちから結婚した男性の気持まで!疑似体験できました^^(こういうの読むから、結婚に夢とかなくなってしまったり?しまう部分もあるのかもしれませんが・・・)面白かったです☆
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いつもの「江國ワールド」とは少しテイストの違う作品。 女性の主要人物が9人も出てきて、次々に場面が変わる、見る角度によって表情を変えるタペストリーのような小説です。タイトルにある檸檬の木が登場しないのが少し気になりました。花言葉は、《誠実な愛》や《熱意》と書いてありますが、日本ではとくに、檸檬は「初恋」にたとえられますね。甘酸っぱくて少しほろ苦いとなると、ちょっと分かったような。こんなふうに読後、いろいろと想像してみるのも楽しい。
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いくつものカップルの重なり合いが面白くて、現実に起きたら嫌だな、と思いつつどんどん読み進めてしまう。衿が妊娠を覚悟したのも途中で分かったし、陶子が結局はもとの場所にもどるのも予想がついた。
それでもどんどん読み進める。
何もかもを分かって結局は自分の場所に落ち着く陶子が、本当は一番素のままで生きているのかも。
6年付き合った夫と結婚したばかりなので、枇杷の木の家に住み続けたいと思う。
薔薇のとげとげしさよりも、檸檬のみずみずしさを心に持って。 -
登場人物を整理してもう一度読みたい。
恋をするエネルギー、頑張ろうかなと思った今。