怒りのブレイクスルー 「青色発光ダイオード」を開発して見えてきたこと (集英社文庫)
- 集英社 (2004年5月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087477047
感想・レビュー・書評
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正しい努力ができても、"正しい方向"でなければ意味がないのだと痛感しました。
私は上に言われたことは何の疑いもなくやる派なのですが、これからは少し批判的な見方をしていけたらなと思います。
星3の理由としては、「一人で完成させた」感が強すぎたからです。
たしかに、一人孤独に十何年間もコツコツ継続することは難しいですし、辛いことだと思います。そういった意味では一人で完成させたのかもしれません。
しかし、それができる環境があったからこそ青色LEDは生まれたのであり、曲がりなりにもその環境を作り出していたのは会社です。
決して一人の手によって生まれたのではないと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
依岡隆児先生(総合科学部国際教養コース)ご推薦
中村修二さんは、青色発光ダイオード(LED)開発に成功したことで2014年にノーベル物理学賞を受賞した人です。この明るく輝く高寿命のLEDは、いまや照明をはじめテレビ、オーディオ、カラーコピー機、パソコン、スマホなどに幅広く応用されています。本書は、徳島で学生時代を過ごしたこの世界的科学者の痛快な自伝です。
中村さんは愛媛県生まれで、自然が大好きだったため、「人生の進路を決めるとき、自然の豊かな徳島へ残る決心をした」と述べているように、わが徳島大学の工学部電子工学科に入学し、同大学院修了後、地元の会社に就職しました。博士論文は、本学機関リポジトリで閲覧できます。
LED開発をめぐって会社との確執もありましたが、2000年にアメリカの大学に移るまで徳島で研究を続けたので、四国・徳島が生んだ世界的な科学者といえるでしょう。ちなみに、徳島大学で知り合った女性と学生結婚をしています。
「黙ってじっと考え事をすることが趣味です」という中村さんは、授業にもあまり出ず下宿にこもったり、図書館に通いつめて本を読んだりして、学生時代を過ごしていました。「私の場合、経験と蓄積とそこから生まれた知識や直感を駆使し、実験の結果を正しく見極め、それを『自己流』に深く考えていきます。そして、ものごとを理解するときには、この自己流というのがとても大事になってくるのです」と、科学者には自ら培った「経験と勘」が大事であると言っています。また「自己流」にこだわった中村さんは、そのためには自由にとことん研究できる環境が大事だとも、述べています。本書はこのように、皆さんの大先輩の学生時代と研究者としての出発点を垣間見せてくれるでしょう。 -
配置場所:摂枚文庫本
請求記号:507||N
資料ID:95180499 -
(特集:「発光ダイオードを知ろう!)」
↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00034221 -
ノーベル物理学賞受賞者でカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二先生による著書。中村修二先生については、日本的な価値観や枠組みには収まらない、個性的で時には攻撃的、傲岸不遜にも思われがちな言動、以前の勤務先との訴訟問題を記憶している人が多いかもしれませんが、中村修二先生の研究に対する信念や情熱は本当に素晴らしくて、尊敬できます。研究者や研究者を目指している学生には特に参考になる点が多い良書だと思います。
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ノーベル物理学賞受賞のニュースを聞いた時、著者の中村さんの例の裁判のことを覚えていたので、マスコミはまた無邪気に「日本人3名快挙!」とかはしゃぐんだろうなと複雑な気持ちになったのは言うまでもない。典型的理系人間の彼はただやりたいことをやって今に至るんわけじゃなく、その間には様々な困難があったわけだし、怒りを原動力としてここまで突き進んだ情熱はやはり尊敬に値する。そして才能を潰し、優れたものつくり人を外に出してしまう日本の体質は昔も今も変わらないわけで、技術分野以外でも企業と個人の関係のあり方は良くなるどころかますます…と思ってどんよりするのだった。はあ。
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日本の大学受験制度を
「人間の個性と可能性を窒息させているシステム」
といいきってしまう。
すごいね。
それだけのことをしてきたのだね。
LED青色光を開発する。
窒素ガリウムを使っておこなう。
人がやらないところに向かって
突き進んでいったことが成功をもたらした。
結局同じことをやっても、うまくいくわけないじゃん。
ということなんだろうね。
自分を追いつめて、仕事をする。
自分の中で、観察し、アイデアを繰り返しだしていく。
熱く語るが故に、何が問題なのかがわかっておもしろい。 -
考えながら歩いて、電柱にぶつかる人が、本当にいるとは思いませんでした。
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苦しみの末にあるブレークスルーを目指して。
クリエイティブなことがやりたい人こそ理系の研究開発目指したらいいんじゃないかな、と思った。 -
青色発光ダイオードの発明者・中村修二氏が来し方を振り返りつつ、日本の企業・社会の持つ問題を提起している。裁判に至った経緯も書かれているが、それ以上に筆者の反骨精神に感じるところ大。