コンビニ・ララバイ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.17
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本棚登録 : 1988
感想 : 286
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478297

感想・レビュー・書評

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  • 決して清らかでは無い、人間らしさを感じるドロッとした内容の短編集。

    おそらく、物語の内容を実際に体験したことがある人は少ないだろうけど、こんな世界もあるのかと活字から画の浮かぶ作品でした。


  • 賑わってるけど乾いた場所。コンビニ。
    オーナーは珈琲店を開きたかったが、妻の希望でコンビニを始める。しかし、その矢先、子供が轢き逃げに遭い他界。間も無くして、まるで後を追うように妻も交通事故で鬼籍に入る。
    生きる意味を見失い、なりやげな経営のコンビニに人々は集う。七篇の物語。
    コンビニで働くバツイチのパートに恋に落ちた極道。「ユビ、ゼニ、ケジメ」本気ならまず堅気になりなさいと言われ...
    女優を夢見て上京し、舞台監督に体を許すが失声症に...
    博打打ちの天性のクズ男に、これじゃいけないと分かっていながらも別れられない水商売の自分。そんな中生真面目な中年に結婚を申し込まれるが、クズ男が刺し殺され...
    オヤジ狩り少年と援交娘。ある日、犯行現場を押さえられ、それを見られた誰かに鞄の中に入れられた手紙は中原中也を引用した恋文が...
    60代狭窄症の淑女と70代初老の恋。純潔を貫く爺さん、本当は抱かれたい淑女。何故もそんなに爺さんは手を出さぬのか。敬虔なクリスチャン...最期は命を賭して...
    読者に余韻を与えるこの筆力、凄いな。
    人間模様、悲喜交々だな。久しぶりに良書です。

  • どうも好きですね、こういう優しい話。
    無常観から来たような主人公の優しさと、それに癒されて行く客たちの物語です。「賑やかだけど乾いているから・・・」と始めたはずのコンビニのはずが、思いっきり湿度が高い客と店主の交流の場になるわけで、甘ったるいと言う人も多いでしょうけど。。。。

  • 妻と子供を事故で失った男が経営する個人経営のコンビニに、色々な過去を負った人々が訪れる。借金で首の回らないホステス。店員に惚れるやくざ。万引き常習の女子高性。皆このコンビニの薄暗い優しさに惹かれて足を向けるのだった。

    珈琲屋の人々でも感じた人生のレールを外れてしまった、心弱い人々への優しさを感じます。でもどの登場人物も心の奥底に消しきれないドロドロとした情念が燃えているのを描いています。そう、何歳になっても欲望も恋情も有るはずですよね、諦めてしまうだけで。
    点数に反映できない魅力のある本でした。

  • 優しすぎるコンビニオーナーと、その周りの人たちの話。

    最後に亡くなった息子と妻が出てくるところはほっこり。

    コンビニオーナーは、若い頃は浮気もたくさんして、息子が死んで変わったようだが、人間はそう簡単に変わらないと思うし、いまはいい人だけど奥さんかわいそうだなと思った

    その分、いろんなひとを救っているのかな

    性的表現や男女の愛情表現が全話共通で何かを表現してるみたいだけど、よくわからん。

    2016.1.23

  • 小さなコンビニで起こる、事件(とまではいかない、日常の一コマ)を連作で書かれた本。
    大事件は起きないけど、だからこそ小さなよくある風景が短に感じておもしろいなと思う。妻と子供を失った店長が淡々とこなす毎日。
    好きなのは、最後の「ベンチに降りた奇跡」「パンの記憶」かな。
    ベンチの方は、結婚はしていない老夫婦の奇跡を描いたもの。こんなことはないけど、素敵だなと思う。
    パンも記憶はまったく違う話だけど、自分を変えて再生させるという意味では、なにも言わずにそばにいてくれた店長の存在がありがたいなーって思う。

  • 息子と妻を失ったおじさんが店長を務めるコンビニを舞台に繰り広げられるヒューマンドラマの数々。

    腑抜けとなったおじさんが徐々に魂を取り戻していくストーリーでもあるように思う。
    そんな、ちょっぴりホッとする、お話集。

  • #読了。連絡短編集。コンビニ、ミユキマートのオーナーの幹郎は妻子を事故で亡くしてしまった。家族を幸せに出来なかったことを悔いる日々の中、店に集まる人々とのかかわりを描く。優しさの形は様々だが、心温まるストーリー。

  • 「温かさが心にしみる連作短編集」との紹介文があるが、温かいのは幹郎だけでは。人間くさいのかもしれないけど、何となく好きになれない人ばかりだった。締め方もものすごいご都合主義な気がした。いきなり変なファンタジーにするのではなく、幹郎が妻と息子の死をに折り合いをつけて、自力で乗り越えた方がよかったと思う。

  • 穏やかな中に静かに存在する死の雰囲気。読者に想像させる終わり方が余韻を残す。主人公の後悔からくる無気力が、他者にとってはある種の癒やしになるという面白さ。

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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