パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087481631

感想・レビュー・書評

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  • 椎名さんの著作によく回想されるパタゴニアの風景、それを刻みつけた旅の記録である。しかし、パタゴニアの「でっかい空」の下、筆者の気持ちは精神的危機に陥った東京の妻、渡辺一枝さんの元へ飛びがちだ。サラリーマン生活から一転、34歳から全力疾走を続けてきた来し方、半ば意図的にほったらかしてきた家庭との距離など、不安な内省。ゴリゴリの力押しでバクハツするパタゴニアの自然、気のいいチリの人びととのやり取り、内心の重し、対比がよい。
    椎名さんが「風」のように自由になる、と独立を心に決めたのは27歳のとき、実現して会社を辞めたのは34歳のときだという。

  • 相も変わらずシーナさんの作品を読んだら旅に出たくなりますなあ
    随所に見られる奥さんへの愛に心動かされますなあ

  • 椎名さんってほんとに不思議な人だ。文系的であり、かつ体育会系であり、豪快でありながら繊細であり、極めつきの行動派なのに、不安定な心の持ち主でもある。奥さんを心から愛しているようなのに、おそらく実際のことであろう女性との関わりを本に書いたりする。

    久しぶりにこれを読んだら、あらためてそんなことを思ってしまった。新刊の「ぼくは眠れない」、読もうかな、やめとこうかな…。読むのがつらい内容のような気がするんだけど。

  • 文庫交換会でもらった初椎名誠エッセイ・旅行記。今までちょっと食わず嫌いやったんですよね、椎名誠。何かこう「がはは」とか大声で笑いながらこちらのパーソナルスペースに踏み込んで来そうなところが、ひ弱な文科系おじさんとしては。「武装島田倉庫」とかの、いわゆる「椎名誠」キャラクターと切り離されたSFは読んでて、嫌いではないんだけど。
    で、この本。案外「がはは」とか言わないのね。「パタゴニアについてはほとんど資料がない」みたいなこと書いてて、セプルベタの「パタゴニア・エクスプレス」とかチャドウィンの「パタゴニア」とか邦訳出る前か、と驚くなどしながら。基本テレビロケなので軍隊の協力とか仰いじゃって、その辺りはオイラの好きな類の旅行記ではないので、ちょっとあわないかなぁ。まぁ単純に好みの問題ですけどね。

  • いつか再読する予感を持たせられる本。

  • ルームメイトから借りて読了。

    椎名誠氏の名前はもちろん存じていたのだけれど
    あまり冒険記や旅行記に興味のない私は
    自らの手で選ぶこともなく、今まで過ごして来た。

    ある種の人々が椎名氏の作品や
    こういった紀行ものに心底惚れ込んで
    実際に自分が旅してみたりする気持ちは分からなくもない

    私にこの本を貸してくれたルームメイトの彼女は
    三線とウクレレ片手にライブをし
    ベビーシッターで日銭を稼ぎ、
    ニューヨークでたくましく生きていた。
    (私たちはブルックリンの1バスルームの
     決して広くはないアパートを4人でシェアしていた)

    そんな彼女が敬愛する作家の一人が椎名氏であり
    この作品は、中でもお気に入りだと言って貸してくれた。

    なるほど、読んでみて分かった
    人を引きつける、的確で詳細な表現力
    そしてその旅行記を支える行動力と逞しさ。

    到底一般の日本人が行き得ない場所へ行き
    やり得ない行動をし、交渉をし
    己の道を行く、力強さと潔さ。

    格好いいと賞賛され敬愛されるのも分かる気がした。

    ただ、その光の裏側に佇む はっきりとした陰。

    この作品では、椎名氏の奥様とその病状などが
    私には心の中に重く重くのしかかり
    楽しむことが出来なかった。苦しくなってしまった。

    もし、そういう陰を微塵も感じさせない
    痛快冒険記の様な椎名氏の作品を見つけたら
    もう一度挑戦してみようと思うけれど
    多分、この作品を読むことはもうないと思う。

    それくらい、私には光の裏にある陰が哀しすぎた。

  • 椎名さんのパタゴニア旅行記。
    ただの旅行記ではありません、夫婦の関係性の変化や互いを思う必然性について書かれています。

    椎名さんにとってパタゴニアの旅が大きな意味を持つことは過去の作品から知っていましたが、なるほどそういうことか。

    岳物語で出てきたパタゴニアのチャンピオンベルトが本作でも触れられており、随分とひさしぶりに続岳物語の桜のラストシーンを思い出しました。

  • 行ってみたい!

  • おそろしく青くてでっかい空だ

  • 軽くてすっと読めるから、たまーに再読する。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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