分身 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087485196

作品紹介・あらすじ

函館市生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。最近、自分にそっくりな女性がテレビ出演していたと聞いた-。小林双葉は東京の女子大生で20歳。アマチュアバンドの歌手だが、なぜか母親からテレビ出演を禁止される。鞠子と双葉、この二人を結ぶものは何か?現代医学の危険な領域を描くサスペンス長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾のSFはやっぱり面白い。
    いまでこそ体外受精だけでなく顕微授精だって身近な話で聞くし、それはそれはすごい技術だと思うけど、本作が書かれたのはもう30年近く前。それでこれだけのこと書けるのも本当にすごいと思う。
    そして面白い。

    ただなぁ、東野さん、女性蔑視というか、女性性や妊孕性というか、そういうものに対する表現がなんか、私にはチクリとくるのは、この頃から同じなんだなぁ

  • 函館生まれの氏家鞠子。東京の女子大生小林双葉。
    この2人の立場に沿って物語は進んでいく。
    共通するのはお互いの出生の秘密。
    彼女達の家族の悲しい出来事。生まれた意味。運命。
    章を追うごとに明らかになっていきます。
    現代医学の危険な領域を描く物語。
    まさにこの言葉に集約された作品でした。

  • 自分と全く同じ人間が何処かに存在していることを認知した女子大学生2人が出生の真相に迫る物語。
    育ちも住んでるところも違い、お互いを知らない鞠子と双葉それぞれの視点での章が交互に細かく繰り返されていく構成が印象的。助っ人がかなり強い。

    北海道(函館札幌旭川富良野)と東京を何度も行き来するので、北海道民にとってはハッキリとそれぞれの場所の想像がつくという面白さもありました。

    医学や権力などに翻弄された主人公2人が、真実とともに家族の愛を求める描写とラストシーンの情景が何とも切なかったです。

  • 「パラレルワールドラブストーリー」の解説欄に東野圭吾”私”三部作とあり、気になって購入した。「私って誰?誰なの?」という展開は読む手が止まらず、数日で読み切ってしまった。

    不妊治療をしてた高城夫妻の受精卵がいつの間にか使われ、本人たちの知らないうちに分身が生まれていた。

    二人の出会うタイミングが絶妙。抜け出した施設の煙の白や炎の赤を背に、二人を繋ぐレモンの黄色、ラベンダーの紫、草原の緑などなど…沢山の色で溢れるキレイな風景が広がり、これから歩き出せるんだなと思って安心した。

    3作品とも研究者が好奇心や欲望のまま研究を進めた結果のストーリーだけど、国益とか本当に助けないといけない人とかの為にこっそりと進めている研究ってきっとあるんだろうな。

  • 互いに引き離され別々の世界で生きていても、導かれるように引き合っていく2人の主人公。その過程で見えていく、自分と分身とを繋ぐ秘密。

    面白くて読むてが止まらなかったです。

  • ラストがなんだかあっけない。
    え、終わり?ってなりました。
    しかし内容は面白いし、展開が気になって效範はどんどん読み進めました。
    両親に振り回された…二人とも可愛そうだと感じた。

  • 1990年代にここまでの最先端医療をテーマにする東野圭吾さんってほんとどんなこと考えて日々を過ごしているのか聞いてみたい。
    親子の形が多様化してきた現代において、遺伝子か出産か育児か、何が親子たらしめるのかは一意ではない。

    むしろ愛されていたのか、この一点が子どもにとって親に必要なことであり、長年母親に愛されていなかったと思っていた鞠子が最後に気付けた瞬間は救われたんだと思う。

  • 古本屋で50円で売っていたのを見て何も考えず買った一冊。

    クローンの話だった。

    難しい専門的な部分もなんとか理解できた。
    それだけ読みやすかったはなしだったと思う。

    ラストのシーンで2人でレモンを食べるシーンは良かった。
    でもラストがアッサリしすぎているような…
    いろんな人達のその後が気になる。

    特に初めて対面した2人のその後がどうなるのか?

    内容は面白かったが、ラストでいろいろモヤモヤがのこる小説でした。

  • 鞠子と双葉のW主演作品。

    「宿命」「変身」に通じるものがあり、いつもながら一気に引き込まれました。

    北海道と東京、全く別の地で全く同じ容姿をした2人の関係とは?

    北海道で育った鞠子と東京で育った双葉がお互いの出生の謎を追い鞠子は東京へ、そして双葉は北海道で自分の謎を解き明かしていく。

    「分身」として生み出され、「分身」だからこそ父に愛され、「分身」だからこそ母を失った私が、「分身」以外の何者かになることなんて、幻想に過ぎないように思えるのだ。

    現代医学のタブーを描く危険なサスペンスは読み応え十分でした。


    説明
    内容紹介
    私にそっくりな、もう一人の私がいる!?自分にそっくりな東京の女子大生・双葉をテレビで見て驚く札幌の女子大生・鞠子。2人を結ぶ宿命の絆とは何か?迫真のサスペンス長編。(解説・細谷正充)
    内容(「BOOK」データベースより)
    函館市生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。最近、自分にそっくりな女性がテレビ出演していたと聞いた―。小林双葉は東京の女子大生で20歳。アマチュアバンドの歌手だが、なぜか母親からテレビ出演を禁止される。鞠子と双葉、この二人を結ぶものは何か?現代医学の危険な領域を描くサスペンス長篇。

  • 面白い。飽きることなく最後までスラスラ読めた。
    現代医療の危うさによって生み出された分身の物語。物語の真相にふれ、筆者の造詣の深さに感嘆した。
    自分の分身がいたとしてその分身に向けられる自分の感情は愛なのか憎しみなのか少し考えてしまう。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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