父の遺産 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605891

作品紹介・あらすじ

驚異的に頑強な86歳の父の顔面を麻痺が襲った。検査の結果、脳に腫瘍があることが判明したが、私は高齢の父にリスクの高い手術を受けさせる決心がつかない。ユダヤ系移民2世として人生を闘い抜き、家族を護るために身を粉にして働いた情愛深い父が、病魔に蝕まれていく。そして壮絶な介護の日々、私は驚くべき"遺産"を受け取った。感動の全米批評家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 脳腫瘍に蝕まれ、少しずつ身体の自由を失い死に侵される父親の記録。傲慢で独善的だけれど、家族を誇りに思い、反ユダヤ主義の時代と闘い富を築いた精力的な父が
    日に日に弱っていく…。
    題材が父親の死とはいえ、なにも包み隠そうとせずに率直に語るロス節は健在。死につつある人の惨めさから目を逸らさず、感傷でごまかすこともしないため、強烈な場面もありますが、それだけにいつか自分が父の死と向き合う時を思わずにはいられませんでした。

    自分が死にかけているにも関わらず、息子が抱えてしまった病気を黙っていたことに対し、叱りつける。ロスの親父さんは最後まで強かった。

  • 映画「シリアスマン」がそうだったように、アメリカのユダヤ人は父親を通して自分の所属する社会やルーツを確認したくなるのだろうか。老いた父親を見守るストレートな文章。

  • 名訳、さすが。

  • 途中読み

  • 久しぶりにアメリカ文学読んだ。
    父と息子の関係の変容を作家である息子が語る。
    父は一見気難しいやなやつだけど読んでるととてもチャーミングな人物。くすくす笑ってしまう場面もある。具体的に登場した父の遺産になるほどと笑ってしまった。良い小説って感じ。

  • 著者はNYのユダヤ移民3世の作家。メトロポリタン生命の保険外交員をして一家を支えた父が80代後半になり脳腫瘍に罹患し、闘病の末に亡くなっていくまでの期間の記録。家族のエピソードのみならず、NYのジューイッシュ・コミュニティの人間関係についての記述が興味深い。

  • ジャンルは小説ではないかもしれない。
    だからといって自伝だと決めつけるのは早すぎる。
    なにしろ、フィリップ・ロスの作品だからだ。

    裏表紙に「私は驚くべき遺産を受け取った」と書いてあるので、
    ものすごく期待して読んだら、これまたすごい遺産であった。
    まさかまさか。
    絶対誰にも予想できない遺産だ。すごいよ、ロス一家。

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著者プロフィール

フィリップ・ロス(Philip Roth)
1933年3月19日、米国ニュージャージー州ニューアーク市に誕生。1959年、短編5作と中編1作を収めた “Goodbye, Columbus”で全米図書賞を受賞。1969年、4作目の小説 “Portnoy’s Complaint”(『ポートノイの不満』)を発表すると、批評的にも商業的にも成功を収める。著書は全31点。ピューリッツァー賞、マン・ブッカー国際賞などを受賞。全米批評家協会賞と全米図書賞は2度ずつ獲得している。2012年に執筆活動を引退し、2018年5月22日に85歳で死去。
注:本書では中編小説“Goodbye, Columbus”のみの日本語訳を収録

「2021年 『グッバイ、コロンバス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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