鏡の背面

著者 :
  • 集英社
3.59
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本棚登録 : 659
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711523

感想・レビュー・書評

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  • 夢中で読めました。
    施設にいる女性への暴力とか差別とかの境遇は読んでて辛かったですが、考えさせられるものがありました。それに、小野先生の謎に迫るところが気になって気になって。
    途中で心霊ものとして終わるのでは…?とか思いましたが、他人に成りすます人間の落ちる姿に納得できました。
    読み応えありました。

  • 平成時代を切り取った社会派ミステリー。

    成り済ましに始まり、保険金殺人、毒婦、霊感商法などの事件や、女性のシェルター、フィリピンの貧困、リゾート地のバブル破綻など社会問題をてんこ盛りにした大作でした。
    探偵役もシェルター代表優紀、フリーライターの知佳
    、元雑誌記者の長島がそれぞれの立場や考えで推理を議論して深みのある展開だったと思います。
    ラストの落としどころが難しかったと思いますが、少しモヤっとするものの、「生き直す」というテーマに対してそれなりに納得できました。

  • これはフィクションなのか。

  • 広がりの割に、なんかきゅーっと
    しぼんだ終わりだった。

  • あらすじ
     事情を抱えた女性たちが共同生活を送りながら自立を目指す施設。キリスト教会と連携しながら付属ではない。運営する小野尚子はその高貴な生い立ちから半生・活動によって知られた人であった。施設で火事が起こり、彼女はスタッフで全盲の女性とともに亡くなる。しかし、DNA鑑定の結果、彼女は小野尚子ではなかった。歯型から別の人物が浮かびあがる。それはかつて、複数の男性を殺害した疑いを持たれ、証拠がないままだった劇場の女優だった。
     施設のスタッフと、以前小野尚子を取材したライターの女性たちは、入れ替わった女性や、小野尚子の消息を調べていく。

     一言ではあらすじを説明できない。ミステリーではあるけれども、いろんなミステリーの要素が入っている。小野尚子の消息について、フィリピンの田舎まで出向く。老練ライターから女優の経緯を調べる。施設に暮らす女性たちが騒動を起こす。そのうちの一人はオカルトっぽいことになる…など。さらに犯人半田明美にしても、小野尚子を殺害し、入れ替わったあと、結局は小野尚子に浸食されて行く様子が手記に残っていたりで、細かい要素がつまった作品。最初の印象に比べて読後感は悪くない。

  • R1/9/20

  • とても面白かった!最初はどんな話しなのか
    全然知識がなく読みすすめたので、まさか小野尚子と
    犯罪者の半田明美と言う女が入れ替わり最後は犯罪者の半田が善人の塊の様な小野尚子として人を助け死んで行く
    冒頭部分、次々と人を騙し殺人を重ねた半田明美が
    どうやって小野尚子にすり替わったのか、そして最後に
    小野尚子として人を助けなぜ自分を犠牲にして死を選んだのか?
    稀代の悪女が最後は小野尚子として生きる内に改心したのか、はたまた小野尚子と言う人物に飲み込まれたのか
    最後は読者に委ねる形になるのか?

  • すっきりしない。納得いかない。長い物語の末に辿り着いた結論に説得力がない。これならむしろオカルト的な結末のほうが良かった。そう思うのは僕だけだろうか。また、真摯な謎の究明経過の中で、長島の存在は過剰で邪魔者でしかない。
    冒頭の謎をただひたすらに追い続ける展開にも関わらず、その結末に納得がいかないのでは、たとえそのディテールの細やかさやスケールに圧倒されたにしても、満足感を抱くことができなかった。残念です。

  • 久しぶりの篠田さん!めちゃ分厚いけど、一気読み。

    半田明美の狂気のような執着心に、とりつかれるように読み進めたけど、あまりにも特殊な人すぎて最後までハラオチしきれないところはあった。
    そこまでしても、自分の人生を捨てたかったのか、お金が欲しかったのか、、最終的にご本人としては幸せな人生だったのか、結局よくわからなかった。
    でも、その「わからない」ということが、半田明美なんだろう。

    途中でオカルトっぽくなったときは、どうしちゃったのかと思ったけど、、、長島さん、ありがとう。
    知佳さんが言うように「きわめて男性的な」視座で語る人だけど、昭和のオジサンな感じが憎めないし、女性が多い物語の中でいい感じのスパイスになってた。

    読み終わって思い出したのがマザーテレサの言葉。
    +++++
    思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
    +++++
    半田明美は、小野尚子の思考を自分の中に取り込むことで、言葉が変わり、行動が変わり、習慣、そして性格が変わり、最終的に運命を変えたのかもしれない。

    人は自分が心底のぞめば、どんなふうにでも変われるのかもしれない。

  • 20190712

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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