風花

著者 :
  • 集英社
3.15
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712070

感想・レビュー・書評

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  • 初の川上弘美作品。

    33歳ののゆりが、夫の浮気を匿名の電話で知らされ、夫から離婚したいと切り出されるも、日々の生活を続け二年の歳月をかけて、本当の自分の気持ちに気付くお話。

    ふわふわして、何となく緩いのゆりの行動が、同性としてチト鼻につく。
    離婚したくないと言いながらも、年の近い叔父と温泉旅行や、講座で知り合った大学生と食事や飲みに行ったりする。
    色っぽい関係は望まないが、旦那さんを解放しないくせに、他の異性で隙間を埋めてる行動が意外としたたかな女に見える。

    小説としては、淡々としていて退屈なのに、のゆりに心の中で突っ込みながら、最後まで読んで納得いったから良しとしましょう。

    それにしても、旦那さん情けないな〜(-.-)

  • 大好きな川上弘美さんの新作。

    ―ひややかなものが、こみあげてくる。卓哉とは、きちんと別れよう。決意のようなものがやってくる。けれど、決意しようとしたとたんに、悲しみが体を満たす。
    この人をずっと好きでいることができるのは、きっと、わたしだけなのに。

    33歳、のゆり。夫に恋人がいた。そのほかにも関係を持った人。無言電話、嫌がらせ。叔父にあたる真人の存在がどれだけ救われたか。
    もしあたしだったら身もこころもダメにしてしまうだろう。のゆりが強いのか定かではない。
    ただ、21で結婚歴もないあたしにはまだわからない。わからないけど『この人をずっと好きでいることができるのは、きっと、わたしだけだ』というのだけは理解でき、苦しく切なくなる。

  • のゆりは卓哉と結婚7年目の夫婦。その卓哉が里美と浮気をしていた。卓哉はのゆりとの離婚までほのめかしながら里美との浮気を話す。のゆりは里美にあい、里美の気持ちを聞くが、里美は離婚は望んでおらず、離婚したとしても自分は結婚する気持ちはないという。思い悩んだのゆりは自分と年の離れていない叔父の真人と岩手の温泉場に旅行に行き相談する。自分自身の気持ちがわからないのゆりは苦しみ悩み、徐々にすすむ方向を見つけていく。

    のゆりのおぼつかない足取り、どうしていいかわからないという気持ちがもどかしくて、読んでいて歯痒かったけど、きっとそうなんだろうなって思えた。

    何かが起こったとき、すぐに感情が爆発できるとは限らない。それが大切なもの、身近な物であるほど、思考は停止してしまうように思う。

    その中で時が解決してくれるように、ゆっくりだけどのゆりは1歩1歩すすんでいく。

    頑張れって言葉にしないで、ただじっと見守ってあげたい気持ち。

    読んでいくと、のゆりの成長と共に、私の気持ちの歯痒さも楽になっていったように思う。

    静かな時の流れの中で、でも真剣に自分の気持ちに向き合えたのゆりは、とても強い女性だと思う。

    また叔父の真人との関係も不思議。

    相談したいのが女友達でないのが、なんとも「良い味」なのかもしれない。

    きっとまた少し大人なった私が読んだら、違う感想を持ちそうな本です。

  • 友人がもやもやしたとブクログに記していたのを見てどれどれと購入。読んでみた。

    ツイッターでよく夫婦のもめごと(主に夫のグチ)が炎上しているが、クソリプといわれるリプライに「そんなにいやならなぜ結婚したのか」「離婚すればいい」などの短絡的なリ
    プがつく。

    結婚とは夫婦を続けるか離婚かという単純なもので切り離せない呪縛とも家族ともいえる不思議なものだ。

    …というのが、大変よくあらわされている本だった。

    ただ★2つにしたのは主人公(女性、サレ妻)にイライラさせられたから。

    本当は自分の本音が分かっているくせにおうむがえしをしてみたり、この女性は大層したたかだなと感じた。気弱でどっちつかずのふわふわした妻を演じているように感じた。

  • 階段を一段登るのにものすごーく遠回りをしてるような。不倫されているのに明確な態度が取れないでいる主人公に終始イライラするし、結局結末どうなるのか気になるのに決定的な出来事がいつまでも起きないしで、何故か読むのをやめられない不思議な作品だった。

    主人公にイライラしてたけど、会話や感情の瞬発力低めな所は自分にもある。こういう所が周りをイライラさせてんのかな…となんか身につまされた。
    もっとサバサバしていたかった。

    不倫の旦那は最低だし最後もどうしたかったのか。

  • なんだこれは?いつか面白くなるのか?と我慢して読んだけど、何も面白くなかった。

  • のゆりがハッキリしなくてぼやぼやしてて、すごくイライラした。でも川上さんの文章は綺麗で好きです。

  • どうしたらいいんだ。
    別れたくなかったのに、
    本当は別れると知っていたんだ。

    終わるという瞬間と、
    終わるという経験とが、
    いちどきに来てくれるのならば、
    どれだけ、楽だろうか。

    二つの間に時間と距離があることが、
    結局別れの苦しさとイコールになるのだと思う。

  • 離婚する前の話で、だけど、離婚した後に読んだらいい話だ、と思った。

  • ひさしぶりに川上弘美の本を読んでみた。主人公も夫も優柔不断だけど。みんな外では普通の人で。でも夫婦とか家族それ自体は変だったり愚かだったりするもんだと思った。でもただ、一緒にご飯を食べたり買い物したりテレビを見たり日々を重ねることが幸せなんだと思う。結構気になってどんどん読んだ。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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