ジェミニの方舟 東京大洪水

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712490

感想・レビュー・書評

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  • 東京で暮らしている方はサバイバルマニュアルとしても使用価値高いです。

  • 高嶋 哲夫さんの災害3部作。首都圏直下地震、東海・南海地震による津波ときて、今回は巨大台風の東京直撃。

    平成3年に体験した台風19号を思い出して手に汗かいた。
    職場から退避指示が出た時は、信号機が強風でクルクル回って、空にはカラスの大群みたいに瓦が飛んでた。

    エンターテイメントとして面白いが、現実には登場人物のようなスーパーマンが登場しないからなぁ。

  • 高嶋哲夫の災害小説シリーズの第3弾です。

    今回は地震ではなく台風。
    主人公は気象学者。

    第1作と同様にコンピュータシミュレーションを駆使して、
    台風の規模や進路を予測する研究をおこなっています。

    しかも、幼少時代から荒川の近くに住み、荒川が氾濫した記録や
    現在もし氾濫した場合の状況などを研究しています。

    時系列的には、第1作と第2作の間の話になります。

    第1作の登場人物ももちろん登場してきます。
    主人公は第1作の主人公の部下と言う立場・・・。

    日本の南海上で発達した低気圧は、進路がなかなか定まらない中、
    徐々に日本に接近してくる・・・。

    シミューレーションでも日本に上陸しそうな気配を見せるが、
    使用できるスーパーコンピュータの使用制限で、ハッキリした結果が
    導き出せない・・・。

    再演算して進めてみると、実際の観測データと一致し、
    気象庁の予報とも一致したが、シミュレーション結果は
    また途中で止まってしまう。

    しかし、そこには気象庁の予測とは違う異変が見え始めていた・・・。

    不正行為と知りつつ無断で地球シミュレータを使用して導き出した結果は、
    信じられないものだった・・・。

    まだ認知度が低いスーパー堤防を登場させたり、ゲリラ豪雨の影響も
    考察してあったりと、非常に勉強になる小説です。

    我が家は河岸段丘を南北に挟まれたほぼ頂点にあり、海抜も高いので、
    水災害には強いのですが、台風には豪雨以外にも風という凶器があるので
    気をつけなければと思わされました。

    地震と同様、台風も、日本に住み続ける限り避けられない自然の猛威。

    地震と同様日頃から備えておく必要がありますね。

  • 史上最大級の台風により、荒川・隅田川が氾濫の危機に。東京水没か?!
    という災害小説です。

    災害小説には、通常の小説よりも科学的なリアリティが求められると思います。科学的に観て、十分起こりうるからこその怖さであり面白さだと思うからです(もちろんそれは小説的なリアリティでよい)。
    その点からいくと、この小説は若干その部分が甘いように思います。

    地球温暖化「など」の原因により異常気象が多発して、史上例を見ない巨大台風が発生する。
    一読すると十分ありうることに見えますし、実際に毎年のように異常気象(毎年なのに異常とはこれいかに)が発生しています。
    しかしこの小説では、地球温暖化と台風を結ぶ因果についての描写はほとんどありません。
    台風が巨大化する藤原効果と呼ばれる過程についても、詳細に描かれているとはいえません。
    つまり、この台風が「現実問題として」怖いかという基盤が弱いのです。

    もちろん我々は現実世界で、豪雨の際には東京の機能が著しくダウンするということを目の当たりにしています。
    しかし「たかが台風」というのが我々の認識ではないでしょうか。この小説でも「たかが台風」という認識が浅いことに警鐘が鳴らされています。
    この小説が災害小説として成功するためには、「たかが台風」の認識を覆す必要があったでしょう。
    ですが、科学的なリアリティが欠如しているため、「たかが台風」を超えた現実的な怖さをあまり感じることができませんでした。

    また、被災した人間についての描写が驚くほど少ないです。
    被害状況に関してもほとんど描写はなく、その意味でも「台風の脅威」を感じることはありません。

    一方でこの小説は、主人公の家族を巡る問題に多くのページが割かれ、「家族の絆を再認識する物語」としての側面も持っています。
    この部分がこの小説の評価に大きく繋がると思います。
    個人的には、ただでさえ多いとは言えないページ数を個人的事情に割きすぎて、「災害小説」としての面白みを減じてしまっていると感じました。
    これは多くは好みによりますが、このタイプに小説はウェットではなくドライに描いて欲しかったです。

    「M8」「TSUNAMI」に続く災害三部作の締めですが、例に漏れず、一作目の「M8」が一番面白い作品であると思います。

  • 2008/12/11

  • パニックものを専門に書く著者の作品らしい。

    もちろん小松左京の日本沈没のスケールと較べることはできないのだが、これはこれで建設系の仕事に
    関わったことのある身としてはおもしろい。

    正直、いまは東京マグニチュード8.0のほうが楽しみなわけだが。。。

  • もし、史上まれな強風を伴う超大型台風が日本を襲ったら。
    もし驚異的な雨が降っていたら。
    もし…。
    埋立地、ゼロメートル地帯、網の目のように広がる地下街と地下鉄網。
    いつ起きてもおかしくない首都水没への警鐘。

    大型の台風23号と24号が合体、巨大台風ジェミニが東京を襲う。
    愛する家族は、都民は、首都水没の危機を乗り越えられるのか。

  • 巨大台風の来襲で荒川が氾濫。藤原の理論など取り上げる。

  • 台風13号と同時進行で読み始めた本。近来まれに見る超大型台風が東京に上陸、荒川の氾濫によって東京が大洪水見見舞われる。超高層ビルに地元住民が避難するくだり。台風を研究している学者と高層ビルを建てる建築技師の夫婦を対に、リアル感満載の台風の怖さを身近に感じた作品。

  • ジェミニとは双子座で,二つの台風が合体し,巨大台風になること・・そして方舟になるのは〜独立行政法人・防災研究センターに勤める玉城は静岡に単身赴任中,妻はジェネコンに勤めていて荒川のスーパー堤防上に超高層マンション建設に携わっているから,江東0mに住まう子ども二人の面倒は母が見ている。玉城は増水して氾濫したらという想定で「荒川防災計画」という論文を書き上げた。未だ発表していてないのに問い合わせは多い。妻の建てている建築会社からもお墨付きが欲しいという要請が来る。秋の長雨に続き,台風23号が発生。玉城たちのシミュレーションに寄れば,九州上陸がL字ターンをする。しかし,停滞した23号は24号と合体し,史上最大の台風となって,東京を襲い,荒川の氾濫と地下鉄網を伝って東京が水没する危機を孕んでいる。気象庁に先駆けて,各所に警報を流す一方,水没地域に住む家族を救うため東京へ戻る玉城は江東区の対策本部に招かれてしまう。地震を想定した避難所は水没すると考えた玉城は,危険避難所の住民を妻が建てかけているマンションに避難する様,各所に依頼する。隅田川が溢水し,放流経路である荒川も堤防が決壊した。消防署・消防団・自衛隊が出動し,破堤を防ごうとするが,住民の命を第一に対策を考えねばならない。最後の手立ては,台風の目に入っている1時間である〜風速50mで木造家屋は吹き飛ぶと云っているのに,訓練をしていないだろう自衛隊員が強風の中,鉄橋を爆破したり,自衛隊車両だけは走れたり,仕事より家族の安全を優先するか悩んだり,小笠原や八丈島の被害がどうだったか語っていなかったり,被害が小さくて英雄扱いされる主人公。ヒューマンドキュメントにすると,他のことには目を瞑らざるを得ないのだろう。新聞連載だから細切れで繰り返しの説明が多いのもわかるけど,腑に落ちない部分が多すぎるってのさ。読んでいる最中は「みんなどうしてそんなに落ち着いていられるんだ」「のんびりしている場合じゃないぞ」という気持ちになって,「おっ,現実には台風は来ていないだ」と思い出すことしばしであったが。第二の日本沈没を狙って,CGを使えば,このまま映画にもできそうな小説だった。借りてあって,朝日の書評に書名をみつけて慌てて読んだのだが,他の作品には,巨大地震や津波を扱った災害モノがある

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著者プロフィール

一九四九年、岡山県玉野市生まれ。九四年「メルト・ダウン」で第1回小説現代推理新人賞、九九年「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞を受賞。他に『ダーティー・ユー』『ミッドナイトイーグル』『M8』『TSUNAMI津波』『東京大洪水』『風をつかまえて』『乱神』『衆愚の果て』『首都感染』『首都崩壊』『富士山噴火』『日本核武装』『神童』『ハリケーン』『官邸襲撃』『紅い砂』『決戦は日曜日』など著書多数

「2022年 『落葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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